異世界誕生 2006 (講談社ラノベ文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 68
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065170021

作品紹介・あらすじ

「なにせクソ・オブ・ザ・クソだからな。まずジャンルが悪い。今どきファンタジー小説なんてあり得ないだろ」

2006年、春。小学六年の嶋田チカは、昨年トラックにはねられて死んだ兄・タカシの分まで夕飯を用意する母のフミエにうんざりしていた。たいていのことは我慢できたチカだが、最近始まった母の趣味には心底困っている。
フミエはPCをたどたどしく操作し、タカシの遺したプロットを元に小説を書いていた。タカシが異世界に転生し、現世での知識を武器に魔王に立ち向かうファンタジー小説だ。
執筆をやめさせたいチカは、兄をはねた元運転手の片山に相談する。しかし片山はフミエの小説に魅了され、チカにある提案をする――。

どことなく空虚な時代、しかし、熱い時代。混沌極めるネットの海に、愛が、罪が、想いが寄り集まって、“異世界”が産声を上げる。

感想・レビュー・書評

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  • >皆さんは、ご存じでしょうか?実は、昨今流行の異世界転生ものライトノベルのうち多くは、わが子を交通事故などで失った母親の手で書かれているということを……。


    出オチかと思ったらめちゃくちゃ読み込ませる本だった。

    トラックにはねられて死んだニートの息子が、異世界に転生したと信じた母が綴る、異世界の冒険。その母フミエと、妹チカと、トラックの運転手片山のお話。
    転生トラックなどという言葉が出て来る前の西暦2006年が舞台。

    幕間に何度か出て来るあまりにも拙いフミエの小説は、劇中で評されるような「生命を持ったキャラクター」描写がされているようにはとても思えないので、そこだけもうちょっとなんとかなったらなあというのが残念ポイント。
    聡い小学生チカが賢いムーブするのはいいんだけど、大人の事情を背負わされすぎていて不憫で仕方がない。
    ハッピーエンド風に終わるのはいいけど、大人たちは許されないと強く思う。

    続刊2007のあとがきによれば、この話は「理想の著者」を書いたものだそうです。
    つまり、一冊の本にその人のすべてが込められているような、そんな本の著者。なるほど。確かにそれは理想の著者だ。

    他に挙げられているテーマの「家族のあり方」はどうかな…。兄を亡くし父が逃げた過程で壊れた母を支える小学生の妹、それが家族のあり方を伝えるための家族像かと言われると、どうなの。嫌だ。

    いや面白かったよ。一気に読んじゃったよ。面白かったからこそ、気になる点が気になってしまっただけです。
    「魔法少女禁止法」も面白かったし、逆サイドを行こうとする作家性好き。


    >母です。お元気ですか。
    >あなたが異世界に行ってから、もうずいぶん経ちました。
    >そちらは住みよい世界ですか?
    >今も冒険の旅の途中ですか?
    >それとも、もう魔王を倒して、楽しくみんなで暮らしていますか?やはりハーレムを作っているのでしょうか?

  • 異世界転生のテンプレはどう出来上がったか。目のつけどころがいいが、感情移入できる登場人物がいなかった。

  • 面白かった!伊藤ヒロ先生は夢幻廻廊とク・リトル・リトルしか知らず、ライトノベルは初めて。他の作品もまた目を通さねば……!本当に良かった!!
    初めの方はチカちゃん「絶対母許さない」って感じ、普通の小説だったらここまで性格キツくないだろう……みたいな感じで伊藤ヒロ先生らしい雰囲気な気がする。でも最後の方が割とご都合主義でまとまっちゃって本当に悲しい。短いからかなあ……。
    ゼロ年代の説明ちょっとくどい。2006年ってこんな時代だったかなあとか頑張って思い出そうと思ったけど小学校にも入ってないくらいだから何も覚えてない……。調べてたらこの頃にはもう異世界ものがあったんだって感動する。
    ヨシエの書いてる文章あまりに稚拙だけど、この文章が本当に流行る時代だったとしたら感動する。時代すごい。

    「HAWK・C」の意味は何ですか……?ずっと考えてるけど馬鹿だからわかんない!!とっても気になる……!!

  • メッチャ泣いた
    心が弱っているのを感じる

  • 話としては面白いとは思ったのだが、作中に出てくる『とても面白い』とされる作品が、演出とはいえ稚拙に過ぎて読むのがツラい。全部読み飛ばした。これが出版されてそれなりに人気が出るという設定は無理があるのでは……?

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著者プロフィール

ライトノベルにゲームにアニメと、マルチに活躍中の小説家兼フリーライター

「2016年 『ラスボスちゃんとの終末的な恋愛事情《ハーレム・ルート》2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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