ノワールをまとう女

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 198
感想 : 36
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  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065170977

作品紹介・あらすじ

第65回江戸川乱歩賞受賞作!

それは破戒の罰なのか?
大手医薬品メーカーに仕掛けられたデモを鎮圧すべく市民団体に潜入した西澤奈美。
そこでリーダーから同志として紹介されたのは、恋人の雪江だった。

新ヒロイン誕生!
西澤奈美。自宅は大久保の雑居ビル。冷蔵庫にはビールと栄養ゼリー。日課は筋力トレーニング。音楽はオールディーズ。話し相手はAIのユキエ。仕事は企業の炎上鎮火請負人。服は黒尽くめ。

<内容紹介>
日本有数の医薬品メーカー美国堂は、傘下に入れた韓国企業の社長による過去の反日発言の映像がネットに流れ、「美国堂を糺す会」が発足して糾弾される事態に。
かつて美国堂がトラブルに巻き込まれた際に事態を収束させた西澤奈美は、コーポレートコミュニケーション部次長の市川から相談を持ちかけられる。新社長の意向を受け、総会屋から転身して企業の危機管理、トラブル処理を請け負っている奈美のボスの原田哲を排除しようとしていたものの、デモの鎮静化のためにやむを得ず原田に仕事を依頼する。
早速、林田佳子という偽名で糺す会に潜り込んだ奈美は「エルチェ」というハンドルネームのリーダーに近づくと、ナミという名前の同志を紹介される。彼女は児童養護施設でともに育ち、二年前に再会して恋人となった姫野雪江だった。雪江の思いがけない登場に動揺しつつも取り繕った奈美は、ナンバー2の男の不正を暴いて、糺す会の勢いをくじく。
その後、エルチェは美国堂を攻撃する起死回生の爆弾をナミから手に入れたというが、ナミ(=雪江)は奈美と約束した日に現れず、連絡も取れなくなった。起死回生の爆弾とは何なのか?

感想・レビュー・書評

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  • 読み始めてから…んーこれは私の苦手な話か?だいぶ混みいってるし。
    読み進むにつれ、状況がスッキリ整理されて、それから純粋に面白かった。
    炎上の火消し屋を仕事にしている人がいるのは知っていたけど、こんな裏工作はしていないだろう。ある種のハードボイルドな感じで読んでいてヒリヒリした。
    奈美のまとうノワールは喪服の黒なのかもしれない。

  • 第65回江戸川乱歩賞受賞作。企業のトラブルを解決する女、奈美(目立たぬよういつも黒い服を纏っている)は、大手医薬品メーカーを攻撃するデモを鎮圧しようとする。デモのリーダー・エルチェに近づくと、エルチェよりナミという女を紹介される。ナミは奈美と一緒に児童養護施設で育った仲で、現在の恋人であった。エルチェはナミより美国堂を叩く情報を得たというが、その後、ナミと連絡が途絶えてしまう。ナミ、そして奈美のボスである元総会屋の原田の運命はいかに。
    元総会屋のお話ということ、目新しく興味深く読めたかな、それにハードボイルドだしね。最後の原田とのやりとりは読み入ったけれど、全体的にどうも盛り上がりというか、魅力にかけたかな。AIとか嫌韓とか時代の流れのものと、昔を感じさせるようなもの、チグハグを感じた。内容だけでなく奈美ももう少し深く、魅力的に描かれていたらね。

  • 企業の暗部を世間の批判にさらされないようにする仕事とでもいうのでしょうか。そんな仕事を生業としている人たちがいるかはわかりませんが、本のイメージとしては江戸川乱歩の世界観っぽいダークなイメージを受けました。
    嫌韓という微妙な社会現象をうまく取り入れています。
    ミステリとしてよくできていると思いました。ラストも良かったと思います。
    巻末の選考委員のコメントを読んで自分の感想とどれくらい差があるのか読み比べてみることのできるのも、この本の面白さですね。

  • (図書館本)お勧め度:☆6個(満点10個)最初、どういう展開になる小説なのか想像できなかった。タイトルからしてちょっと暗めの青春小説かと思ったが、さにあらず、企業の炎上案件を解決する裏家業の物語だとは・・・。中盤まではなんとなく読み進めていたが、終盤辺りから、結構面白くなってきた。最後の黒幕との対決もなかなか面白い。さらに今どきのAIと昔の「総会屋」との関わりもなるほどと思わせる。ただ、残念なのはリアリティが薄く。主人公の女性が裏社会を模索するには、ちょっと迫力が足りない気がする。少し読みにくさもある

  • 元総会屋のボス原田の下で企業に起きる後ろ暗い事件を人知れず消し去るハードボイルドな職業の西澤奈美。韓国問題で炎上した企業からの依頼で炎上元のデモ組織に潜入して活動しているうちに過去の事件や懇意の店の店長の自殺の経緯が関係してくる。そしてデモ組織では恋人の雪絵と顔を合わせる羽目になり、彼女の立ち位置に疑問が生まれる…。一人称が時々鼻につくがクールに強くあろうとし時に脆い奈美には魅力ある。最後の黒幕との対決も緊迫感あって良い。ただ性別違うと確かにありきたりだし闇要素薄いかなー。その分軽く読めるともいえる。

  • 残念ながら自分にはあまり合わなかったみたい。
    近未来的なところは面白かったけど…

  • 現代の日本でハードボイルドを描くとこうなるのか。ハードボイルド自体が死語に近いからなあ。

  • 巻末の選評が怖いシリーズ。今回も安定しています。

  • 9章後半から一気に面白くなった。
    前半は、だらだらと長く活動家達の目的もよくわからないまま読み進めていたけど、最後まで読むと江戸川乱歩賞受賞に納得できる。

  • 医薬品メーカー美国堂をめぐるトラブルを収束させるべく、西澤奈美は相談を持ちかけられます。
    糺す会の起死回生の爆弾を無効にすべく、奈美のとった行動は。
    複数のストーリーが展開し、すべての伏線がある一点を目ざして収束していきます。
    江戸川乱歩賞受賞作。
    楽しめました。

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著者プロフィール

1960年、愛知県生まれ。國學院大學卒業。化学品メーカーに三十五年間勤務。1996年、『裏平安霊異記』でデビュー。2011年、『人魚呪』で遠野物語百周年文学賞、19年、『ノワールをまとう女』で江戸川乱歩賞を受賞。著書に『石燕夜行』(全三巻)、『償いの流儀』がある。



「2022年 『影と踊る日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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