江戸前エルフ(1) (マガジンエッジKC)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 109
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065176252

作品紹介・あらすじ

東京都中央区月島。江戸時代より400年以上の歴史を刻む『高耳神社』。祀られたるそのご神体は、異世界から召喚され、すっかりひきこもったエルフのエルダでした。「自分の代わりにーー、江戸をーー、この国を見届けてくれ」と約束したのは、なんと徳川家康!? 不老不死がゆえに、江戸から令和へと伝わる伝統はさることながら、オタク的知識もどんどん蓄え、文明生活を満喫中です。

感想・レビュー・書評

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  • 神社で祀られてるエルフと小さな巫女さんの、ほのぼの日常。
    もし400年前の日本に、異世界からエルフが転移してきたら?……っていうifの描き方としてちゃんと説得力があって、もし本当に築地にエルダさんがいたら……なんて楽しい想像も膨らんじゃう。
    エルフを主役にするなら避けては通れない「長命の種と人間の時間の違い」も丁寧に物語に盛り込みつつ、決してシリアスになりすぎなくて安心して読めます。

    1巻時点では、類似作品なら妖怪や狐が収まりがちなポジションがエルフになっただけ?って印象も正直あるのですが(それだけでも充分斬新だし、現代日本にエルフが馴染んでる図が可愛いから全然アリなんだけど!)
    2巻以降、エルダさんがどんな世界から来たのか?ってことが物語に絡んできたりするのかな?

  • 現人神ならぬ現エルフ神(?)の、変わらない日常。

    エルフ――、ファンタジーではすっかり定番となった種族ですね。
    長くとがった耳介、ほっそりとして美しい四肢、森に住んだり住まなかったりするけれど、とにかく自然と親しむ清浄で美しいいきもの。

    余談めいて言っておきますとそんなエルフのネーミングや大まかなイメージの直接の源流となったトールキン先生の設定では、大体の種族の長所を併せ持った完璧な存在ともされています。
    なによりエルフはほぼ神代の住人で、人の世の訪れとともに歴史より姿を消すことが定められているのでした。

    そんなわけで築地から豊洲へ魚市場が移り変わった令和の今頃ですが、なぜか東京「月島」におはす神の社に一柱のエルフあり。
    高耳毘売命(タカミミヒメノミコト)としてまつられし彼女の名は「エルダ(以下略)」。

    エルダは四百年前になぜか異世界から召喚されて、そっから自分の社に引きこもってゲームやったりプラモ作ったりと、別の意味で現代社会に順応したのでした。

    そんな困った神様エルフのお世話役の巫女を引き継いだ女子高生「小金井小糸」は、エルダの自堕落っぷりにツッコミを入れたり、久々に外に引っ張り出してみたら意外な奔放っぷりに振り回されたり――。

    などなどと、本作はそんなふたりの掛け合いに、小糸の友人の「桜庭高麗」や小糸の妹「小柚子」を時折加えつつ、日常を演出するほのぼのコメディーです。
    話としては数度の場面転換を挟みつつ一話を構成する形になっており、オチの挿入が巧みでテンポも良好です。

    ところでエルダは長命の者特有の周囲から取り残されてしまうがための諦念も見せることは見せます。
    その一方で刻一刻と姿を変える浮世と、変わらずそこにいてくれる「エルダ」というテーマが一話から置かれているのが日常モノとしての安心感につながっているのも確かです。

    そこにいてくれる「尊さ」ってわかる気がします。
    個人としてのエルダをないがしろにすることなく、確かに地域に根付いている信仰として謎のリアリティーを感じるのですよ。

    「長命者」と「定命の者」の対立項は意外と多くのジャンルで見られますが、本作に対しては別に対立せずにむしろ融和しています。
    こういう二項対立って大体長命者が妙なサゲを喰らうことも多いのかもませんが、娯楽の充実した現代なら別に永遠の命を持っていても倦むことはありませんし、

    別にダラダラ生きてもいいよねってメッセージ性は現代を生きる我々にも通じているようなそうでないような。
    長身のエルダはしゃんとしてればサマになる一方で、ナチュラルにデフォルメ絵になってだらけようとします。
    一方で小糸がツッコミで流れを引き戻しつつ、子どもな自分を大きく見せようと無理します。

    その辺で何をするわけでないけど、見守り見守られで持ちつ持たれつな小糸とエルダとの関係性が好きです。

    あとは、声が小さいのでかすれ気味でちょちょ切れ加減、だけど好きなことに対しては饒舌に早口になるエルダのセリフが好きです。
    人見知りでごく親しい者以外とは話さない人特有の口調を思わせて、現代日本に溶け込むエルフのありかたと、彼女の親しみやすさを担保してくれています。ここ、セリフ回しとして地味に技量がいりますよね。

    なんにせよ、少しは引っ張るかなーと思った幼少の小糸のあこがれの人の正体が「エルダ」だったという、話のクライマックスを脱力気味に持ってきた一話は衝撃でした。
    シリアスを脱力気味にいなしつつ、ストーリーライン自体はきちんと引っ張られている気がするので不思議なものです。

    もっといえば異世界に召喚されたエルダにとって大切な友人だったのが「徳川家康」というのは逆に新鮮な気がします。
    この手の話で出るのは「織田信長」と思っていただけに、なぜか出オチ気味。
    それでも家康くんは今の東京、もっと言えば関東平野を広大な湿地帯から日本の中心に育て上げた偉人ということで、本作のテーマを考えると重要だとわかるのですが。

    その辺を現代のサブカルチャーと照らし合わせつつ、ご当地「月島」や江戸時代についての蘊蓄を語るエルダと重ね合わせると趣深い。歴史をエルダの過去と絡めることで展開に幅を出せるのも面白そう。

    総じて妙な説得力と女の子の可愛さと食玩「カエルせんしゃ」のデザインの良さに目が惹かれる第一巻でした。
    二巻からは関西、小柄、ダークエルフ、色々エルダと対になってそうなライバル(?)が本格的に登場するようですし、掛け合いの大枠は見えても先が読めない驚きが期待できそうです。

  • ■書名

    書名:江戸前エルフ(1)
    著者:樋口 彰彦

    ■概要

    東京都中央区月島。江戸時代より400年以上の歴史を刻む『高耳神社』。
    祀られたるそのご神体は、異世界から召喚され、すっかりひきこもった
    エルフのエルダでした。「自分の代わりにーー、江戸をーー、
    この国を見届けてくれ」と約束したのは、なんと徳川家康!? 不老不死がゆえに、
    江戸から令和へと伝わる伝統はさることながら、オタク的知識もどんどん蓄え、
    文明生活を満喫中です。
    (amazon.co.jpより引用)

    ■感想

    個人的に月島というのが、親近感わいた。まあ、内容には関係ないけど。
    エルフがご神体というよくわからない世界観ですが、江戸時代の知識が少し
    だけ得られます。
    長寿ならではの悩みを持ちながら、オタクとして生きるエルフとのやり取り
    が楽しめる漫画です。

    個人的には好きですが、長くは続かないだろうな・・・・・

  • 雑誌「少年マガジンエッジ」で連載中の樋口彰彦の「江戸前エルフ」第1巻です。2023年4月からTVアニメが放送されてます。月島で400年以上続く高耳神社を舞台に、ご神体のエルフ エルダと巫女の小金井小糸による日常を描いた作品。なぜエルフが徳川家康に召喚されてるのか謎ですが、2人の会話のテンポも良く面白いです。「継承の儀」のラストはほろりとしました。小柚子や高麗ちゃんも良い感じです。アニメは、ほぼ100%原作準拠になっていて丁寧に作られてるなと感じました。ラストで大阪のエルフが登場したけど、どうなることやら。

  • 結構面白いよねぇ

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