地上生活者 第6部 最後の試み

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (674ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065178720

作品紹介・あらすじ

執筆二〇年。
連綿たる生のつらなり。
「民族」「在日」から、
人間の根生いをもとめる、
巨いなる日本語文学。

サハリンから始まった趙愚哲の人生の旅は
作家としての行き詰まりから、やがて超克へ――

近代朝鮮に資本主義の萌芽はあったのか。
朝鮮のブルジョア革命をめざそうとした金玉均とは何者だったのか。
若い時代から漠然と思考し続けてきた考えが、作家自身のなかで少しずつ増殖していた――。
一九八〇年代、小説を書かなくなった趙愚哲は、物理学者・安淑伊との関係を妻・洪玉姫に打ち明け、別れを告げられている。
家を出たものの離婚に踏み出せずにいるぼく愚哲は、三人の息子を気にかけながらも、民族文化運動「統一クッ」の公演、新しい雑誌「民涛」の創刊のために奔走する。

感想・レビュー・書評

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  • 初めは667頁に及ぶ本の厚みと3,600円という辞書並みの価格に驚きながら読み始めたが、どっこい止まらなくなった(笑)
    趙愚哲チョ ウチョルと言う名前に置き換えての作者自らの自伝的私小説を刊行中の大作 第6部を読了。何しろ作者の自伝なので在日朝鮮人(今は韓国籍になった)たる彼の哀しい心情がよく伝わってくる。在日には貧困と差別しか無かった日本の対処や偏見等うっすらとしか知らなかった背景や状況が分かり他人事ならず心が痛む。また並行していまだに南北に分断中のそれぞれの思いや温度差やもどかしさや平和的統一への希求やがなんだか解る気がする。作者は意図的に、深刻にならずに淡々と事象を繋ぐに徹する私小説にしているようだ。さて漢字が一部置き換えてはあるのも多いけど私達がよく知る作家やジャーナリストや映画人や俳優や政治家等々の大勢の日本人も出てくる。実名のままの人物と一部置き換えてある人物の違いは何か意図があるのかしら?
    読み終えて あ〜読んだ〜という達成感を味わったのは久しぶりです(笑)お腹いっぱい。
    立派な大作にしては誤字誤植とおぼしき箇所が幾つかありました。

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著者プロフィール

1935年樺太(サハリン)・真岡生まれ、早稲田大学露文科卒。小説「またふたたびの道」にて群像新人文学賞を受賞。その後、「砧をうつ女」で芥川賞を、「百年の旅人たち」で野間文芸賞を受賞。他の著書に、「伽椰子のために」「見果てぬ夢1~5」「サハリンへの旅」「流域へ」「四季」などがある。

「2020年 『地上生活者 第6部 最後の試み』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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