田島列島短編集 ごあいさつ (モーニング KC)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 309
感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065182475

作品紹介・あらすじ

「どうすればお金のもらえる漫画が描けるのかそればかり考えていました。
それでも今見れば好き放題に描いて幸運にもお金をもらえた漫画たちです」
(田島列島)

連載デビュー作『子供はわかってあげない』で各マンガ賞に上位ランクインし、
現在は別冊少年マガジンで話題作『水は海に向かって流れる』を連載中の
田島列島、初の短編集。

表題の「ごあいさつ」は、姉の交際相手の奥さんが
突然部屋を訪ねてくるという”大事件”を瑞々しい感性と言葉で切り取り、
かわぐちかいじ氏、さだやす圭氏に絶賛された2008年の新人賞受賞作。

その後10年の月日をかけて発表され続けた珠玉の短編全7編に加え、
「モーニング」誌上に時々掲載されていた1P漫画やイラストも収録。
ファン必読、オールアバウト田島列島とも言える一冊です。

感想・レビュー・書評

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  • 7短編。
    ・ごあいさつ ★
    ・官僚アバンチュール
    ・おっぱいありがとう ★★71ページの1ページ2コマ!
    ・お金のある風景
    ・ジョニ男の青春
    ・花いちもんめ~おらが村にUFOが落ちた~
    ・Not found
    ・おまけ 蔵出し田島列島

  • 『水は海に向かって流れる』、『子供はわかってあげない』を読んで好きになった作家さんの短編集。

    やはりこの著者の選ぶ言葉遣いと、そのセンス、空気感が気持ちよく、不倫とかドロドロしそうなテーマを扱っていても嫌な気分がしない。
    雰囲気は柔らかいけど、曲げられない芯はある感じ。
    好きだな~

  • 土嚢決壊からの「それゆけ!陳情くん」が良かった。読んでいて心の底からクスリと笑えるの楽しい。

  • 2008年から17年にかけての7作品を収録した初短編集。『水は海に向かって流れる』で魅了され、『子供はわかってあげない』を経て、ここまで来てしまった。同様の人は少なくないはず。

    表題作「ごあいさつ」と「おっぱいありがとう」が特に印象的。あと「官僚アバンチュール」も。ほかSFチックなものや初恋的なものなど、多様である。

    と同時に、贈与や手助けを通じた感情のやり取りや、セリフやト書きに頼りすぎない繊細な心理描写など、のちの作品に通底するものも各話で垣間見られる。なかでも後者は、『水は』でさらに徹底されていった。きっと、読者を信頼されているのだろう。

  • 「いざ動いてはみたものの自分でもどうしたらいいか分からない」という感覚はその後の作品にもちょこちょこ見られる感じがするなあ。初期からそういう描写好きだったのかな。
    止まらない恋愛感情をお役所に例えるってのは独特としか言いようがない。そして「もう知らんって言いたい」という締めが見事(笑)

  • あーすきだなー
    ほんとにすき
    ふっと笑っちゃうし、気持ちをゆるめてくれる

    とりあえず、水は海に向かって流れるは超絶楽しんでるので引き続きたのしみだ

  • 10年以上前でも、作風は全く変わっていないと思いました。人間の描写がこと細かく、シリアスな問題も、ユーモアを持たせて、何とも言えない味のある感じになるのが、いいですね。言葉遊びも相変わらず、面白いです。個人的に好きなのは「Not found」で、田島先生の恋愛ものは、本当に切なくて好きです。

  • 飄々としたような漫画なのに、あたたかでキャラクターの気持ちが行間から伝わるような、そんな不思議な作品。
    表現はこんなにもマンガチックなのに、どうしてか人物たちの気持ちはもの質感を伴って伝わってくる。
    ゆるい漫画のように読めるのに、その実重たいテーマの短編ばかり。感じたことのない読み心地の漫画である。

  • 田島列島著『田島列島短編集ごあいさつ』(講談社)
    2019.12.9第1刷発行

    2022.5.7読了
     全体的に重い主題を扱っているのだが、キャラクター造形や台詞回しに作者独特のユニークさが際立ち、面白ろおかしく読むことができる。その一方で、軽薄という感じに陥ることもなく、ストンと心に残るものがきちんと用意されている。『水は海に向かって流れる』があまりにも良すぎたので、かえって作者の他作品を敬遠していたのだが、そのような心配もなく思う存分楽しむことができた。

    「ごあいさつ」
     夫に不倫されたこの奥さんは、自分自身の夫への気持ちを見つけるために、足繫く不倫相手の家に通っているのだろう。イヤなことを直視したくないのは、妹の千佳も同じ。まだ子供だからと自分に言い訳して、巻き込まれないようにしている。しかし、それではいつまで立っても前に進めない。膠着状態という安定状態のまま時間だけが過ぎていく。家に侵入してきた虻を千佳がハエ叩きで瞬殺するシーンがなんとも象徴的だった。直視したくないものは見えなくするということなのだろう。

    「官僚アバンチュール」
     陳情くんのポンチ絵が完全にNUMOの住民説明会用ポンチ絵で笑ってしまった。個人的には千佳が不倫を思いとどまるよう止めても止めなくても結果は変わらなかったと思う。友達に被害者というレッテルに貼って、自責を嘆くことは容易いし心地よいものだ。友達の成長を信じるというのは、エンパワメントに通ずる話でもあるなと思った。

    「おっぱいありがとう」
     坂下さんは婚前交渉で妊娠していたわけで、シングルマザーになる可能性があった。宮本さんは世の中をくるくる回すことが自分の役割だと言っていたが、おっぱいを吸うという行為は、何の覚悟もなく子を授かってしまった坂下さんにとって、必要不可欠な通過儀礼だったのだろう。

    「お金のある風景」
     五円を糸で結ぶことから「ご縁を結ぶ」という五円玉手芸は縁起物としてよく言われる。このお姉さんは損得関係なく元カレが好きだったのだろう。新しい女にはできて自分にはできないというのはさぞかし辛いに違いない。消化されない感情を昇華させるという意味で、この作品も通過儀礼的な要素を感じる。

    「ジョニ男の青春」
     どうしようもない同棲相手の子を妊娠したと分かったとき、産むべきかどうか判断を迫られる場合がある。そうしたときにパートナーとして相応しいかどうか値踏みできる仕組みがあるとよい。こういう発想から生まれた作品なのかなと思っていたが、標題を見ると、ロボットが玉代に恋をしたみたいな付け方がされており、目の付けどころがユニークだなと感じた。

    「花いちもんめ~おらが村にUFOが落ちた~」
     ギャグ回。冒頭と最後に出てくるおばあちゃんが狂言回しのようでいい。NUMOといい作者は東北出身なのかもしれない。

    「Not found」
     恋愛が苦手な幼馴染のお話。「恋愛」という言葉にイメージされる男女の色恋沙汰に翻弄されている二人が何とも若くてよい。色々な形の恋愛があっていいのではないかと私は思う。それにしても犬に「犬楠」なんて名前を付けるかな、普通(笑)

  • 田島先生が紡ぐ優しくて心温まる言葉・作品観が好き。一つ一つの話に人間の温もりを感じられ、先生の人柄も良いんだろうなあと思うなあ。ファンなら必読。

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著者プロフィール

2008年に新人賞受賞作『ごあいさつ』でデビュー。2014年に開始した連載デビュー作『子供がわかってあげない』は実写映画化もされる人気作となる。2020年に『田島列島短編集ごあいさつ』『水は海に向かって流れる』が評価され第24回手塚治虫文化賞新生賞を受賞。『水は海に向かって流れる』は2023年6月に実写映画の公開も予定。現在「モーニング・ツー」にて『みちかとまり』を連載中。

「2023年 『みちかとまり(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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