- Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065184479
感想・レビュー・書評
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ロースクールに通う清義と美鈴のもとに届いた過去の告発文。またロースクールで行われる無辜ゲーム、と内容盛りだくさん。法律用語が難しいながらも説明が丁寧で分かりやすかった。第2部は展開がどうなるのか全く最後まで読めなかった。なんだか最後が悲しい終わり方で引きずる…。
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てっきり、あらすじを見る限り、ロースクール時代を中心とした物語かと思っていました。
しかし、この作品は2部に分かれていて、ロースクール時代が第1部で、そして第2部は、時が経ち、ある殺人事件を中心にした物語になっています。所々「この話いる?」と思っていたエピソードが、後になって活かされていることに驚きの連続でした。最終的に全てが繋がっている実感があり、作者の発想力が素晴らしいなと思いました。
第1部が、正直退屈かなと思っていたら、第2部での殺人事件を皮切りに第1部のエッセンスを加えながら、怒濤の展開になっていくので、色々楽しめました。
作者が法律に携わっていることもあり、難しい法律用語はあるのですが、噛み砕いて柔らかく解説されています。
多くの法律用語が飛び交うので、その分リアル感がありました。特に法廷のシーンなどでは、緊迫感が漂っていました。
次から次へと意外な真相、登場人物たちの隠された真実など登場していくので、最後の最後まで目が離せませんでした。
鮮やかに伏線が回収されていく分、期待値も上がっていったので、なんとなく最後はざらっと歯の奥に何か残ったような
感覚があり、うーん・・・と思わず思ってしまいました。 -
僕も法律がわりと好きで、その理由は感情が入り込む余地が排除されるからだ。感情に流される人間なので、枠組みが明確になるのがありがたい気がするからかもしれない。
少なくとも僕が携わっていた仕事に民法の知識は役に立った。もしかしたらどんな仕事にも役に立つのかもしれない。
ただしその知識は卒業した法学部で得たものではなく、公務員試験と就職後の研修で得たものだったのだが。
読み始めた最初は、最初に出てくるゲームにリアリティが感じられないし、話は暗いしなんだかなと思ったが、だんだんパズルのピースが揃ってくると面白くて、また読んでいて頭に浮かぶ疑問が解決のキーになっていたり、本当によく考えられた構成だと思った。
著者がこれを書いたのは司法修習生時代だという。
著者は若いんだな、若くで社会的地位を得たんだなと思われる部分も、少々感じた。
#読書記録 -
【最後の1行まで気が抜けない リーガルミステリー】
法律家を志した三人。一人は弁護士になり、一人は被告人になり、一人は命を失った。謎だけを残して。メフィスト賞受賞作。
リーガルものは専門用語が多く難しく思われがちだが、本作は法律に疎い読者でもわかり易く描かれていて読みやすい。
主人公が次々と論破していく様子は、読んでいて気持ちがいい。
伏線回収と後半にかけての数々のどんでん返しに一気読みだった。
裁判で人間が人間を裁く神のような行為と問われる罪と罰。
裁判員制度がある現代だからこそ考えたいテーマだ。
こんな人におすすめ.ᐟ.ᐟ
・どんでん返しが好きなひと
・リーガルものが好きなひと
・東野圭吾 【白夜行】が好きなひと
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途中、どこに向かうのか分からなくなったり、
内容的に読むのがしんどくなる部分もあったけど、
全体的にすごく面白かった。
特に、最後の最後まで意外な結末になっていて、
終盤は一気に読んでしまった。
内容的には、
無罪と冤罪への考えを軸に、
国内の貧困な子どもや、青少年の犯罪など、
読みながら考えさせられるものになっている。
ただ、読み終わった後、なんとなく釈然としない気持ちになった。 -
法廷サスペンス?特に法廷編に入ってからの展開、巧みに絡んだ事実が明らかになる過程は面白いのだが、主要人物の世界に入りづらと感じるのは何故か。抱えているものを共有できずに、苦しんでいる人物ばかりだから?
映画になると、面白いストーリーかも知れない。最後まで、結末が分からない展開で。
主人公は久我清義(きよよし)、底辺ロースクールの最終学年。同学年の織本美鈴(みれい)とは、同じ児童養護施設出身。ロースクールの模擬法廷では、無辜ゲームが行われている。特定の被害を受けた告訴者が、決められたルールに従って、刑罰法規に反する罪を犯した人物を犯人に指定。審判者が抱いた心証と告訴者の指定が一致した場合は、犯人が罰を受ける。そうでなければ、告訴者自身が、罰を受ける。罰は犯した罪が跳ね返る同害報復。毎回、審判者を務めているのは、優等生で既に司法試験に合格している結城馨。
むこ【無辜】:罪のないこと。また、その人。「辜」は罪の意。