世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス (講談社+α新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065187234

作品紹介・あらすじ

「007」で知られるMI6の元幹部スパイをはじめ世界100人のインテリジェンスへの取材で解き明かす、日本の日常生活を脅かすさまざまなリスク!
あなたのデータを監視するのはこいつらだ!

第一章 あまりに脆弱な日本のインテリジェンス――なぜ日本にMI6が必要なのか   
第二章 MI6と日本との交わりと、日本での活動と実態
第三章 知られざるMI6の実力とその諜報力     
第四章 CIAの力と脆さ
第五章 暗躍する恐るべき国際スパイ モサド、そして中露へ
第六章 日本を襲うデジタル時代のサイバーインテリジェンス

感想・レビュー・書評

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  • 「はじめに」に、日本の現状への問題提起があります。

    ・日本は世界から喰いモノにされている
    ・日本には国外のような対外情報機関がないために、日本の情報機関は国外に渡航する邦人に協力をもとめることもある。そうすることで邦人をリスクに晒すにもかかわらず、そうした邦人が相手国で拘束されてしまっても、救い出すことすらできない。
    ・日本において、今ほどインテリジェンスが必要になっているときはない。

    前半は、最初に誕生した情報機関である、MI6をベースとして、情報機関とはどういうものか、後半は、CIA、モサド、中、露のサイバーインテリジェンスの現状を解説しています。

    気になった点は次の通りです。

    テロに無力な日本の情報機関、自国の利害のかかった作戦に邪魔になりかねないプレイヤーをゲームに参加させることはない。つまり、友好国とはいえ、ただで助けてくれることはないということだ。

    対外諜報機関がなければ国を守れない。
    MI6は、今回の日韓両国関係悪化で、韓国内にいる大手企業の幹部らが、反日デモに参加していることを把握している。
    情報機関の目的は、国家の安全のためにライバル国の情報を得ること

    国際社会の常識 ゼロトラストとは、すべて疑ってかかり、誰も信用しないこと

    世界最高の情報機関は、CIAであり、次が、ロシアのFSB、SVRである

    トップクラスの情報機関モサド(イスラエル)が成功した秘訣は、『大規模な戦略』である。その戦略とはイスラエルの置かれている過酷な地政学的環境から生まれたものであり、質で優位に立つことだった。

    イスラエルの情報機関が優秀なのは、徴兵制による。優秀な若者を選抜し、育成できるから。

    常に攻撃するという姿勢が大事だ。攻撃が行われてからでは遅い。何か起きる前に潰す。ロケットが飛んでくる可能性があるとしたら、阻止しようとするのが情報機関の役目。

    ロシアの情報機関の潜在的力は、産業力、および国防力の強化に集中しなければならない。

    ロシアと日本との間には、領土問題がある。それがゆえに、ロシアは日本でスパイ活動を重点的に展開していた歴史がある。

    中国のサイバー能力は世界のトップクラス。その力は、台湾、アメリカ、日本に向けられている。

    通院記録、健康状態など諜報機関は、個人の「弱み」をさぐり、隙をみつけようとする。

    中国は、キャッシュレスサービスをつかって、個人情報を収集しようとしている。サイバ―工作の足がかりになるのがカードやアカウントである。

    結論は、「ゼロトラスト」:すべて疑ってかかり、誰も信用しないということ。それが国際情勢の裏にある世界の常識だ。です。

    目次は以下の通りです

    はじめに
    第1章 あまりに脆弱な日本のインテリジェンス なぜ日本にMI6が必要なのか
    第2章 MI6と日本との交わりと、日本での活動と実態
    第3章 知られざるMI6の実力と秘密の掟
    第4章 CIAの力と脆さ
    第5章 暗躍する恐るべき国際スパイ モサドそして中露へ
    第6章 日本を襲うデジタル時代のサイバーインテリジェンス

  • 【引用】
    以前筆者が取材をしたCIAの元幹部も、CIA局員の仕事は、リポートや書類の作成といった作業がかなりのウェイトを占めると述べていた。情報は集めるだけでは意味がない。それを集約して、インテリジェンスとしてまとめてはじめて、価値を持つ。  
    リサーチもそうだが、スパイの仕事には忍耐力が必要になると、この元スパイは主張する。
    「この仕事は忍耐が重要だ。待つことも多いし、監視で、ターゲットを根気よく見ていることも多い。我慢が必要だ。指令を達成できなかったり、問題を解決できなくて、たくさんの同僚がストレスを抱えて諦めるのを目の当たりにしてきた。  
    MI6で私が学んだ最大のことは何かと聞かれれば、間違いなく、問題を解決に導くには、時に問題が自然と展開していくのを待つ時間が必要になるということ。もちろん解決までにはイライラもするのだが、忍耐が必要になる。情報機関ではそうした忍耐力も訓練する。忍耐で、感情をコントロールしなければいけない」  
    これは、ビジネスパーソンにも当てはまるのではないだろうか。ビジネスの現場でも予測しなかったことは起きるし、やるべきことを根気よく、ひとつひとつ準備してこなしていけば、必ずゴールにはたどり着けるはずだ──。少なくとも、そう信じて待つしかない。そんな時も少なくないはずだ。

    【感想】
    MI6のスパイの問題を解決に導くには、忍耐が必要という言葉は、重くてかっこいい。
    現実社会に生きるスパイの生き様を学べる本。すごく面白く、勉強になるので。スパイ好きな方は、必読書だと思います。

  • ●イギリスMI6アメリカCIA、イスラエルのモサド、中国のMSS(中華人民共和国国家安全部)、ロシアのSVR
    ●日本では内閣情報調査室。内閣総理大臣官房調査室として発足。警察や省庁からの出向含めて400人ほどが勤務している。とは言え本格的な国外での情報活動や工作はしていない。その他は警察署の公安警察、法務省の公安調査室、防衛省の情報本部など
    ●情報活動を行いながら、情報をギブアンドテークすることが基本ルールとなっている世界で、有益な機密情報を「give」できる対等な能力を備えた組織が必要なのである。
    ●ロシアはあえてファーウェイの通信インフラを、わざと北方領土に設置している。
    ●MI6は2014年までに、南アフリカで、北朝鮮の核開発に関与する北朝鮮高官に接触し、スパイにすべく何とか交渉をしていたこともある。
    ●日露戦争の開戦前夜には、満州でビジネスマンを装いながら、イギリスと日本政府の二重スパイとしても活躍していた。シドニー・ライリー。明石元二郎が、ライリーをリクルートして運用していたと言う。
    ●MI6には公式ウェブサイトがある。
    ●CIAは、テクノロジーに対する依存が強すぎる。

  • 【はっきり言うと、日本は世界から喰いモノにされているのである。残念ながら、それが世界の情報機関関係者らの見方であり、実態なのだ】(文中より引用)

    熾烈を極める国際インテリジェンスの世界を紹介しながら日本の立ち遅れを指摘する作品。米や英などの元諜報関係者へのインタビューも収録しています。著者は、気鋭の国際ジャーナリストとして活躍する山田敏弘。

    かなり辛辣なタイトルに一見すると見えますが、本書を読むとその内容も宜なるかなと思えてしまうほどの内容でした。分量的にはサクッと読めるほどですが、他書にはないオリジナルの情報や視点もふんだんに盛り込まれていたように感じます。

    まずは丸裸ですよと気づくところからでしょうか☆5つ

  • 海外の諜報機関の諜報活動のレベルに驚いた。
    日本はまだ諜報機関というものが作られていないので
    早く作るべきなのではないかと思った。
    世界の情報から遅れている日本が心配。
    題名の意味がよくわかる。

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著者プロフィール

山田 敏弘(やまだ としひろ)
岐阜大学教育学部国語教育講座教授。博士(文学・大阪大学)。国際交流基金派遣日本語教育専門家、富山国際大学講師、岐阜大学助教授を経て、2013年より現職。専門は、日本語学、岐阜方言研究。主著に、『日本語のベネファクティブ―「てやる」「てくれる」「てもらう」の文法―』(2004、明治書院)、『国語教師が知っておきたい日本語文法』(2004、くろしお出版)、『国語教師が知っておきたい日本語音声・音声言語』(2007、くろしお出版)、『国語を教える文法の底力』(2009、くろしお出版)、『日本語のしくみ』(2009、白水社)、『その一言が余計です。―日本語の「正しさ」を問う―』(2013、筑摩書房)、『あの歌詞は、なぜ心に残るのか―Jポップの日本語力―』(2014、祥伝社)、『日本語文法練習帳』(2015、くろしお出版)など多数。

「2020年 『国語を教えるときに役立つ基礎知識88』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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