日本文法 口語篇・文語篇 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
4.00
  • (0)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 62
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (776ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065190098

作品紹介・あらすじ

日本を代表する国語学者の代表作「口語篇」(1950年)と「文語篇」(1954年)を1冊に収録した初の文庫版。
ヨーロッパの言語学に依拠した明治以降の国語学に抗して独自の体系を築いた稀代の学者・時枝誠記(1900-67年)。人間の心の中で起きる言語の働きに注目し、言語を実体的な対象として捉えることを拒む時枝は、文の構成要素となってそれに対応する意味を生み出す「詞」と、それを心の中で生きさせる働きそのものである「辞」を区別する。そして、「辞」が「詞」を包含し、そのまとまりがより大きなまとまりに包含されていく「入れ子構造」を基本に据え、「言語過程説」と呼ばれる独自の理論を築き上げた。
言語過程説は『国語学原論』(1941年)として発表されたが、この一般理論は具体的な日本語を説明できなければ、単なる理論で終わってしまう。だから、時枝は口語と文語のそれぞれについて、文法の詳細な解説を形にする必要があった。それこそが、本書にほかならない。
「時枝文法」の全容を明らかにした本書は、日本語に潜む文法の実相を、広い読者に向けて、全力で説き明かそうとした渾身の作であり、日本語について考える上で避けて通ることのできない不滅の古典である。読みやすさに配慮して旧字体は新字体に変えつつも、かな遣いについては時枝自身が望んだ「旧かな遣い」を保持した本文庫版を、前田英樹氏による情熱あふれる「解説」とともに味読する喜び。

【本書の内容】
[口語篇]
はしがき
第一章 総 論
第二章 語 論
第三章 文 論
第四章 文章論

[文語篇]
はしがき
第一章 総 論
第二章 語 論
第三章 文 論
第四章 文章論
注意すべき動詞活用例

解 説(前田英樹)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ⒈鳥鳴く。花咲く。
    ⒉鳥鳴き、花咲く。
    ⒊鳥鳴いて花咲く。

    この三つの文のうち⒉の連用形止めを陳述の未完結形式としているけど、違うと思う。
    個人的に、⒊は助詞テがある以上、完了の意味合いが含まれていると感じる。つまり鳥が鳴くという行為を完了して後に花が咲くという順序付けの意味を裏に感じる。
    ⒉は必ずしも順番の意味はなく、同じ場所で鳥の囀りと花の綻びが起こっているという感じ。
    ⒈に関してはさらに、同じ画面の中に入るか、同じ場所なのか、それすら怪しい。
    だから、上の三つの表現を一緒と言ってしまうのは乱暴だと思う。

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

1900-67年。国語学者。東京帝国大学卒業。京城帝国大学教授を経て、東京帝国大学教授。ヨーロッパの言語学に依拠した明治以降の国語学に抗して独自の考察を深め、「時枝文法」と称される体系を築いた。本書(「口語篇」1950年、「文語篇」1954年)は、その集大成である。他の主要な著作に、『国語学史』(1940年)、『国語学原論』(1941年)、『国語学原論 続篇』(1955年)など。

「2020年 『日本文法 口語篇・文語篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

時枝誠記の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×