無限の中心で

著者 :
  • 講談社
3.20
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本棚登録 : 175
感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065197059

作品紹介・あらすじ

通称、ゴン高――。校舎が六角形(ヘキサゴン)をなしていることから、インフィニティ総合学園高等部は、そう呼ばれている。普通科文系コースのとわは、友人の美織に頼まれて新聞部の助っ人を引き受けることになった。数学オリンピックに挑戦する数学研究部の取り組みを取材するのがミッションだ。部室に行ってみると、イケメンだけど制服の着方と粘着質な性格が残念すぎる在(あり)、美を追究するロン毛の音楽男子・響(ひびき)、そしてとにかくなんでもがぶり寄る相撲部兼務の巨漢・章(しょう)が、1枚のプリントを前にして、妙に興奮しているところであった。なんでも数学の難問が出題されたプリントを月曜日に置いておくと、何者かが解答したプリントが木曜日に戻されているというのだ。しかも、その解法がとても個性的で……なんて言われても、数学はからっきしのとわには、何を言っているのやらさっぱり……。さて、取材を適当に切り上げて、と逃げる算段を整えていると、セクシーな数学研究部の顧問に見込まれ、あれよあれよという間に数学研究部の活動に巻き込まれてしまった。ホントは物語の世界に浸りたい文系少女が、変人ぞろいの数学男子たちとともに、まるで関心のない「木曜日のミステリー」に迫る……!? マスマティックな青春ストーリー。

感想・レビュー・書評

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  • 高校2年生のとわにとって、数学は苦手というより恐怖。なのに新聞部の友人美織に頼まれて数学研究部の取材をすることになってしまった。数学オリンピックを目指しているという3人の部員は、とわにはまったくわからない言葉で話している。しかも顧問の先生は超個性的な美女。目下のところ、数学研究部での話題の中心は「木曜日のミステリー」。解きかけの問題を置いていたら、なぜか木曜日の朝に回答がおいてあるというのだ。とわは、その筆跡に覚えがあったが…。
    まっすぐな青春ストーリー。

  • 数学オリンピックの参加を目指す数学研究会のメンバーは男子3人。指導教諭も含めてユニークです。とわは、小学校の算数の頃から数学は苦手。それが新聞部の助っ人として数学研究会を取材に行くことになる。数学研究会には、毎週のように未解決の数学問題を解いて置いていく人がいるという。いったい何者なのか?

    工業高校や弓道部などの、ちょっとマイナーな(失礼)高校生を描く著者。今回は、嫌われがちな(失礼)数学。期待して読んだものの、ちょっと宙ぶらりんな感じで終わってしまった気がする。

  • 数学を美しいと唱える人はたくさんいるようで、博士の愛した数式とか…、私はもっぱらトワちゃんの感覚と1ミリとも違わないんだけど、そんな取り憑かれる程の世界を知っているのは正直羨ましい。トワの幼い頃からのカンちゃんに対しての妬みや罪悪感はとても正直でリアルで、自分の身を守るためにやってしまう行動にも、本能的なあまり妙に納得してしまった。トワの母親の態度も、なんだか自分を見ているようで反省させられる。

    Q大の関口博士の言葉、人知を超えたものに脅かされるとき、あらゆる才能が力を合わせないと、人間の営みが保てない…。文化や文学、芸術が切り捨てられようとしている現代、若い世代の芽が脅かされないように、大人は守ってあげなきゃいけない。

    それにしても、カンちゃんはおじいちゃんからの問題を解き続けていたとは。身内のトワちゃんが一番の理解者になれたのは嬉しい。2人とも未来へ向かって新しいドアを開けられそうだ。

  • 新聞部の助っ人で数学研究部に取材に行った、とわ。
    木曜日のミステリーというネタを拾う。

    数学が大の苦手だったけど、取材を続けるうちにほんのりと親しみを持つように。
    そして、胸の奥にくるんでいた痛みと向き合いはじめる。

    数研三人組が、音楽・スポーツ・研究者気質とそれぞれの個性で数学に取り組む。

    とわちゃんの作中の物語が、数学者が問題を美しく整えていくのと同じように感じた。

    かんちゃんの物語でもあったんだけど、かんちゃんのお話は読者に委ねられてるように思った。

  • たまたま数学ものが続いた
    数学で世界を救うと豪語する数学屋さんから打って変わって、数学なんて何の役にも立たないとしながら数学オリンピックを目指す数研が舞台
    具体的な数学要素が出てくるわけでなく、数学アレルギーな女の子が数研の個性的なメンバーに触発されながら少しずつ物の見方が変わって、内的な問題を解決するというよくあるようなプロット
    読み心地はさっぱりと、一気に読める
    後腐れなく楽しめてこれはこれで

    わからん薬学事始と同じ作者

  • 数学が大の苦手な私には、主人公の気持ちに共感しか無かったです。
    もっと読みたいので続編希望です。

  • おもしろそうなのになんだか物足りないと感じるのは読み手の方の問題かもしれない。
    とわのように、黒板に書かれた図形からハッとしなかったし、わだかまりのあったおじいちゃんのことはスッキリしなかった。マイナス同士の計算の説明とマイナス1は180度回転の説明もわかりづらくて残念だけれど、これも自分の理解が足りないせいかもしれない。
    とわの気持ちに乗り切れまま終わってしまったが、「無限の先には未来がある」「何事にもそれ相応の時が熟さないと、事は成らないようにできているの。変化は時が足りれば、内側から自然に起こるものよ」「タンチャが本の世界に入り込んでいるので、ナンジャカンも安心して算数の世界に入っていきました」など魅力的な文章がたくさんあった。
    現実にとわの創作を挟む構成も、物語の進行やとわの気持ちを説明するのに効果的だった。
    もっとおもしろくなりそうなのに……なんだか残念。

  • 数学オリンピックを目指す数研メンバーの話は、
    めちゃくちゃ長いフリだったのか?

    最後の最後で、こういう終わり?と
    あっけなく終わった感じ。
    数学をこんなふうに使うなんて、
    なかなか新鮮な発想。

  • 数学が苦手な私は数学が題材……というだけでどうもとっつきにくく感じてしまう。主人公のきもちはよくわかる。

  • 「わからん薬学事始」「伝説のエンドーくん
    以来の、久々のまはら三桃作品でした。

    高安陽子「天と地の方程式」を読み終わってからの話しだったので、今度は六角形の校舎がどこに繋がるの?と思っていたら、
    数学研究部の話しでした。

    関口教授の話しは、昔みた映画を思い出しました。オードリー・ヘップバーンの美しい天使の姿を。

    それにしても、数研のメンバーだけが笑えるアレを知りたいような?忘れたいような。



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著者プロフィール

福岡県生まれ。講談社児童文学新人賞佳作『カラフルな闇』でデビュー。作品に、『青(ハル)がやってきた』、『鉄のしぶきがはねる』(坪田譲治文学賞、JBBY賞)、『たまごを持つように』 、『伝説のエンドーくん』、『思いはいのり、言葉はつばさ』『日向丘中学校カウンセラー室1・2』『零から0へ』『かがやき子ども病院トレジャーハンター』など。

「2023年 『つる子さんからの奨学金』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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