おはなしSDGs 貧困をなくそう みんなはアイスをなめている (おはなしSDGs 1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (80ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065216200

作品紹介・あらすじ

【物語の概要】
あのとき美波が指さした画面には、大人に混じって働く子どもの姿も映っていた。勉強することも友だちと遊ぶこともできず、道ばたにしゃがんで物売りをしたり、歯を食いしばって材木を運んだりしていた。
あれが真の貧乏なんですよと言われたら、確かにうちは貧乏じゃない。
(本文より)
小学六年生の陸、三年生の妹の美波は母親と三人で暮らしている。父親は陸が小二のときにいなくなった。給食費も学童保育のお金も払えない。お風呂は三日に一回。兄妹は五百円玉をもってスーパーのお総菜売り場に夕食の買い物に行く。ハムカツとチョコとスナック菓子。テレビに、うす汚れた外国の子どもたちが映った。やせこけて、汚れた水を飲んで、病気になれば簡単に命を落としてしまう。美波は、こういう子どもたちの姿を見て、「うちは貧乏なんかじゃない!」と言う。でも、本当にそうなんだろうか。うちは、貧しくないのだろうか……。

【シリーズ「おはなしSDGs」の特色】
・各児童文学賞受賞作家やベストセラー作家など、現代を代表する一流童話作家の書き下ろし作品です。「物語の楽しさ」を第一に書かれた作品は、どの一冊をとっても、すぐれた児童小説として楽しむことができます。
・実力のあるイラストレーターによる挿絵が多数掲載され、確実に物語を読み通す手助けとなります。
・各巻とも、SDGsが掲げる17のゴールのうちの一つがテーマとなっており、いま世界が協力してその目標に向かわなくてはならない理由が自然と理解できるストーリーが展開されます。
・本文中に、物語とリンクさせるかたちで、関連する図表、グラフ、年表などが入ります。さらに、各巻の巻末で、テーマとしたSDGsのゴールについてくわしく解説しますので、テーマ学習の教材としても使用できます。
・SDGs全体について解説する「総論編」も刊行します。さまざまなゴールをテーマにした物語と、「総論編」を併読することで、SDGsについての理解がさらに深まるように設計されています。
・A5判、80ページ(一部カラー)。朝読書にもぴったりのボリュームです。

【シリーズ「おはなしSDGs」のラインナップ】
総論SDGsとは何か(那須田淳)/貧困をなくそう(安田夏菜)/ジェンダー平等を実現しよう(戸森しるこ)/安全な水とトイレを世界中に(石崎洋司)/エネルギーをみんなにそしてクリーンに(森川成美)/つくる責任つかう責任(小林深雪)/気候変動に具体的な対策を(楠木誠一郎)/海の豊かさを守ろう(佐藤まどか)/陸の豊かさも守ろう(吉野万理子)/平和と公正をすべての人に(小手鞠るい)

感想・レビュー・書評

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  • 貧困の子への理解につながった。ありがとうございます。このシリーズの全部買って子どもが読めるようにしておくわ。

  • #みんなはアイスをなめている
    #おはなしSDGs
    #安田夏菜
    #講談社

    相対的貧困についてよくわかる話。こういう子が7人に一人はいるということだ。この話のように親が悪いわけじゃないのに子が親を責めてしまうことはあると思う。大人だってつらいのだ。じゃあどうしたらいい?難しい問題ですね。

  • せつない。でも実際世の中にたくさんある話。自分たちにできることはなんだろうか、と深く考えさせられる1冊

  • 3.0ついに児童文学に子どもの貧困が描かれる時代に。現代版泥の川。泥の川が、いかに文学として優れているかがわかるな。

  • おはなしSDGsというシリーズで、17目標のうちのひとつめ「貧困をなくそう」を題材に描かれたストーリー。

    父は失踪し、体を壊している母が介護のパートで小学6年生の陸と3年生の美波を養っています。
    物語は陸が郵便受けから給食費滞納のお知らせを見つけるところから始まりました。つぶやくことばは「またかよ」。今日食べた給食が思い浮かび「ただ食い」という言葉が頭をよぎり、うしろめたくなる陸。
    そこを皮切りに、払えない学童のお金、3年生になるのに絵本しか読めない妹、3日間変えないバスタブの水、少なく栄養の偏った晩御飯のおかずなどなど、小学生の子どもにはキツい現実が次々と明かされます。
    買い物の帰りに、よその子どもがレストランで誕生日を祝ってもらうのを無言で見つめる妹。美波の誕生日はあさってなんです。最初、葛藤を抱える兄と違って、妹はまだ家庭の経済状況は理解していないのかなと思って読んでいましたが、こういう所からいろいろ感じ取っていることがわかります。それを察している陸は、予算の500円と努力で可能な限り豪華な晩御飯を用意します。喜ぶ美波ですが、せっかくのごちそうをほとんど食べることができません。原因は虫歯。歯医者に行くのにも治療費がかかる。日々晩御飯用の500円しかないのにどうするの?
    という流れ。

    挿絵が多めで、文体もストーリーもとても読みやすいため、暮らしの厳しさやつらい現実は理解しやすいと思います。
    ただ、外国の貧困と飢餓にあえぐ子どもを見て「うちは貧乏じゃない」という妹に兄が抱く複雑な思い。「みんながアイスクリームをなめているのに自分だけ胃薬をなめている」ということばの持つ意味。挿絵と同じように挿入されているグラフから得られる情報。物語の希望であり、SDGsシリーズとしてのこの本のテーマ「貧困家庭を支えるための制度」。これらに関してはある程度の読解と共感と知識が必要かなと感じます。

  • 「小学六年生の陸、三年生の妹の美波は母親と三人で暮らしている。父親は陸が小二のときにいなくなった。給食費も学童保育のお金も払えない。お風呂は三日に一回。兄妹は五百円玉をもってスーパーのお総菜売り場に夕食の買い物に行く。ハムカツとチョコとスナック菓子。テレビに、うす汚れた外国の子どもたちが映った。やせこけて、汚れた水を飲んで、病気になれば簡単に命を落としてしまう。美波は、こういう子どもたちの姿を見て、「うちは貧乏なんかじゃない!」と言う。でも、本当にそうなんだろうか。うちは、貧しくないのだろうか……。」

    平和学習会で、子どもたちが地域のお年寄りから昔の戦争の話を聞いた。
    「もちろん、つらかったわねぇ。けれどね、当時はみんながそんな暮らしだったから、なんとか耐えられたと思うのよ。もしもみんながアイスクリームなめてるのに、私だけ(味のついたものが食べたくて)胃薬なめてたら、もっとつらかったでしょうね。」
    ーそれって、うちのことかなー。そう感じる、主人公。

    「言わないでしょ。うちは貧乏で、ひどい生活してるんですなんて。わたしだって言わない。だって、みじめな気持ちになるもの。今だって、ものすごく勇気出して声かけたんだよ。だから、きっと、ほかにもいるんじゃないかな、そういう子。」
     そっかーみょうに納得してしまった。
     言わないよな。俺だって今まで誰にも言ったことがなかった。
     また校庭を見下ろす。相変わらず、歓声や笑い声が響いてくる。誰もボロボロの服なんか着てないし、はだしでもない。やせこけてもいない。 
     けれど、あの中にもいるんだろうか。人に言えないつらさを、だまって耐えているやつらが。ここから見ただけじゃわからないし、どのくらいいるのかもわからないけれど。 (本文より)

  • 子供の貧困は知られていない場合が多い。何らかの形で手を差し伸べたいと思う。

  • 子ども向けの貧困についての話。
    海外だけでなく、日本の貧困について、知らないといけないけど、今は目に見えにくくなっている。
    お金がないと教育にも差が出る。すると、その子の将来にも影響する。
    努力が通用する社会であって欲しい。

    お金がないとやはり辛いよね。

  • 具体的な資料も所々に載っているので、貧困について、理解しやすかったです。
    タイトルからは、どんなお話か、想像しにくかったですが、読み進めていくと、そうだなぁと考えさせられました。
    日本社会にも広がる貧困、即効性のある政策と継続的な支援が不可欠なんだと思います。見捨てない社会にしていきたいです。
    親の所得の差で、子どもたちの受ける教育や医療に差がついてしま受ける社会はおかしい。何とかしたいです。

  • 貧乏のことについて知りながら、陸くん、美波ちゃんとそのお母さんの生活について読める、お話。お話の最後に、貧乏について詳しく書かれている。

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著者プロフィール

兵庫県西宮市生まれ。大阪教育大学卒業。『あしたも、さんかく』で第54回講談社児童文学新人賞に佳作入選(出版にあたり『あしたも、さんかく 毎日が落語日和』と改題)。第5回上方落語台本募集で入賞した創作落語が、天満天神繁昌亭にて口演される。『むこう岸』で第59回日本児童文学者協会賞、貧困ジャーナリズム大賞2019特別賞を受賞。国際推薦児童図書目録「ホワイト・レイブンズ」選定。ほかの著書に、『ケロニャンヌ』『レイさんといた夏』『おしごとのおはなし お笑い芸人 なんでやねーん!』(以上、講談社)、『あの日とおなじ空』(文研出版)などがある。日本児童文学者協会会員。

「2021年 『セカイを科学せよ!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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