エスカレーション (星海社FICTIONS)

  • 星海社
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065216521

作品紹介・あらすじ

紫綬褒章作家・稲葉真弓がかつて別名義で著した『くりいむレモン』の絶品ノベライズ、復刊第2弾! 百合ノベルの原点にして金字塔。

感想・レビュー・書評

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  • 本書は、アダルトアニメ『エスカレーション 〜今夜はハードコア〜』(1984年)、『エスカレーション2 〜禁断のソナタ〜』(1985年)、『エスカレーション3 〜天使たちのエピローグ〜』(1987年)のノベライズ作品。作者である倉田悠子の正体が、紫綬褒章受賞者である小説家・稲葉真弓であったことが、著者本人から晩年になって明かされ話題になった。長らく絶版となっていたが、この度星海社より復刊された。

    厳粛なミッション系全寮制女子高校「アザレア女子学園」。憧れていた家庭教師の男が母親と不倫関係であることを知り、男性に対して不信感を抱いた小松崎リエは、通っていた共学高校を辞め、「アザレア女子学園」へ転入する。そこで、麗しき生徒会長・早川なおみと出会い一目惚れするリエ。それは、秘められた甘美な関係の始まりだった――――。

    短編アダルトアニメのノベライズ作品なので、内容に物足りなさはあるが、物語の雰囲気を盛り上げる文体や言い回しが素晴らしく、「女学生の秘密の関係」を一時堪能できる。これはノベライズに留まらずに描かれていたら、最高の作品が生まれていたのではないだろうか。今は願っても叶わないこと・・・。

  • ミッションスクールで寮生活をする女の子たちが
    夜は百合セックスで友情を深めている
    そんな話
    彼女らはそれぞれに家庭の問題を抱えているのだが
    親の悲しむ顔を見たくないばかりに、感情を内へと抑え込み
    そうやって持て余した反抗期を
    はしたなくもSMプレイにぶつけていくのだった

    サークルの中心人物であり、生徒会長でもある「なおみお姉さま」は
    男たちの優しさに苛立つあまり
    父と弟を、自分たちの饗宴にむりやり巻き込もうとするのだが
    それを拒絶されて傷つき
    死んだ母親の淋しさを受け継いだ自分自身と向き合うことになる
    そういったところに
    「エンドレス・ワルツ」へと至る覆面作家の足跡を
    見ることもできるだろう
    しかしこの段階では、お姉さま自身が百合サークルの長として
    後輩たちの成長を見届けることにより
    自らもまた、家庭の呪縛から独り立ちしていくのだった

    こうして考えると
    長めの濡れ場にかえって興ざめを感じる部分もないではない

  • エロアニメの先駆けかつ金字塔と言える『くりいむれもん』について調べていたら、ノベライズが出ていて最近復刊したことや、まさかの紫綬褒章受章作家・稲葉真弓が別名義で書いた作品と知り、読んでみずにはいられなくなった。解説によれば百合は当時珍しかったとか。SMは古くからあるモチーフで、そのせいか団鬼六先生あたりの古き良きSM小説をも思わせる内容。エロアニメのノベライズだというのに文章はどこか格調高く、昨今の擬音ばかりで埋め尽くされたなろう系小説とは一線を画す本格派。人物描写もしっかりしているのがまたすごい。

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著者プロフィール

1980年代半ばから90年代初頭にかけ、『くりいむレモン』シリーズのノベライズをはじめとする“美少女小説”を数多く執筆する。代表作である『黒猫館』『続 黒猫館』は、2020年に『黒猫館・続 黒猫館』(星海社FICTIONS)として復刊された。その他に『エスカレーション』(富士見文庫、のち星海社FICTIONSより復刊)など作品多数。長らく覆面作家として活躍してきたが、2014年、紫綬褒章受章作家・稲葉真弓の別名義であったことを明かした。同年、逝去。

「2021年 『サマーウィンド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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