したたか 総理大臣・菅義偉の野望と人生 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065217924

作品紹介・あらすじ

緊急出版! 
第99代内閣総理大臣・菅義偉を知る一冊。秋田から出てきた若者は裸一貫から、いかにして最高権力の座を射止めたのか生い立ちから、法政大学の学生時代、横浜市議、衆院議員当選、安倍総理の右腕として「影の総理」ともいわれた官房長官時代までを、菅本人へのインタビューや地元・永田町関係者らの徹底取材をもとに描く人物評伝。

はじめに 菅総理、誕生す
第一章  血涙の歴史の落とし子
第二章  集団就職の世代
第三章  小沢一郎と菅義偉
第四章  権力闘争の渦中で
第五章  安倍政権の中枢で
第六章  権力を体現する政治家

感想・レビュー・書評

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  • 【絶妙のタイミングで上梓された謎】
    『緊急出版』と新聞広告に活字は踊るも、本書は「影の実力者 内閣官房長官 菅義偉』を改題した新装刊。総裁就任するや否やの上梓…、どおりで手回しの良すぎるなぁと訝しんだ通り。田崎史郎や大下英治あたりなら臆面もない礼讃横溢で端から手にしないが、著者ならと思い読み出す。

    【著者について】
    著者は小沢一郎の『陸山会事件』が明るみに出る前から追求、妻・和子からの『離縁状』を確か週刊文春だったかにスクープ。『淋しき越山会の女王』で田中政権を倒した児玉隆也を彷彿とする『ペンは剣より強し』を地で行くかのように小沢を筆誅。

    時の権力者に臆することなく挑む著者だけに、地盤看板カバンを持たぬ、東北の豪雪地帯の寒村から集団就職で上京…『たたき上げの政治家』と喧伝されている以外の何か〈掘り出し物〉があるかと期待したものの、さしたる釣果はなかった。

    【東北が生んだふたりの大物政治家】
    小沢に関する膨大な取材を再利用しながら、菅と小沢を同じ東北出身の政治家として、対比するように話は進む。岩手県出身 小沢への私憤も混じり強い非難はあっても秋田県出身 菅にはそれはない。

    確かに小沢一郎の政界での来歴と菅義偉のそれは比べるべくもない。田中角栄の秘蔵っ子として、中選挙区時代の自民党にて『擬似政権交代』と言われる、派閥政治バリバリ時代の王道を歩んできた輩。権力あるところに金と情報は集まる。ジャーナリストから見れば、小沢は向こう傷を含め『汚れ方』からして違う〈叩けばホコリが出る政治家〉の最右翼。

    その小沢を著者は20年余り追いかけ、下した評価は政治家である以前のひとりの人間として、〈冷徹かつ人への愛情が著しく欠如した人物〉と断言。

    小沢に比べてツッコミ所が乏しい菅に対しては横浜市議時代及びその周辺取材を通じて菅義偉の人物像を浮かび上がらせる手法で話は展開していく。

    【党人政治家の系譜】
    菅義偉は政界入りした後、ふたりの大物政治家から薫陶と影響を受け、それが政治家としての礎となっている。

    ひとりは田中派七奉行のひとりである梶山静六。梶山が総裁選出馬時には1年生議員ながら選挙参謀に抜擢される。もうひとりは菅同様地方議員から政界入りした野中広務。ただ『加藤の乱』では、野中の逆鱗に触れ、菅は激しい弾圧を受ける。

    梶山・野中・菅の三人に共通するのは『党人派政治家』であるということ。地盤看板カバンは無く、自身の嗅覚と無手勝流というか徒手空拳で切り開く。当選回数は僅かながら政界の実力者に乗していく。その『勇猛さ』に向ける著者の眼差しは小沢に向けるものとは比較にならぬほど、寛容である。

    【本書の総括】
    ◉昭和〜平成にかけての自民党暗闘史を総覧。
    ◉今や希少のある党人派政治家の命脈を継ぐ菅義偉。
    ◉菅義偉は安倍政権が掲げた〈戦後レジームの総決算〉といった派手な命題を持たず、眼前の課題に粛々と対峙していく超現路線を歩む。
    ◉いざ権力闘争となれば、巧みに時を読み、白兵戦前に既に雌雄を決しているという、実に『喧嘩慣れ』した人物である。

    政界には『神輿に載る人 担ぐ人 そのまた草鞋を作る人』という言葉がある。本書を読む限りにおいては派閥を持たず属さず、それを菅義偉ひとりでやり切り、首相の座に登り詰めた感がある。

    軍略を練ることに長けた参謀がトップになり、安倍前首相が語った『菅政権のアキレス腱は内閣に菅義偉がいない』という見立て。あくまでも孤高の司令官として君臨するのか、お友達内閣ではなく〈チーム菅〉を形成するのか…。この視点で、菅政権を眺めるのは面白いかも。

  • 政権のNo.2でありながらも、世間一般からしたら弱々しく温厚なイメージであった菅義偉が、意外にも自身の信念を持ち、戦いを辞さない漢だという事。この事の根拠には少々著者の主観が散見されるも、梶山や小沢との関係で語られるその人物像は確かなもののように感じる。

  • 物事の動かし方について学びたくて購入。菅さんの生い立ちを記者が書いているだけで菅さんの思いが伝わらなかった。半分ちょっと読んでやめた

  • 口数の少なさは実務家ゆえか、東北の雪深い寒村出身ゆえか。あまり語られることのない前総理について語られる1冊。小沢一郎氏や故野中広務氏の話もあり、丁寧な取材に基づきよく描かれてる!

  • 裏の話はあるけれど、そこまで具体的な話がなく退屈になってしまった。

    菅さんの人柄の根源的なところは良くわかった

  • 菅さんの本、読み終わる前に総理大臣引退しちゃった…笑

    菅元総理の出生から総理大臣に就くまでの過程を描いた本。著者は官邸筋の記者なので政治の世界の生々しいお話がたくさん描かれてます。

    なんというかまぁ、また菅さんには戻ってきて欲しいなぁと素人ながらに思ってしまいますね(´・ω・`)

  • タイトルは総理大臣だが中身は官房長官時代に書かれたもの。なーんだ。

    菅首相は母校の大先輩。日本をよい方向に導いてほしい。

  • うーん。
    菅さんのルーツを知ることが大事と言いながら、菅さんの話じゃないとこが多すぎかなあ。先祖の話、親の話、地元が貧しいとのこと。

    政治的にどういうスタンスか、何がすごいのか、何がリスクか、そんないことを知りたかったなあ。

  • 総理大臣まで上り詰めた菅議員を、生い立ちから丹念に取材した書。

    二世三世という世襲政治家が生業として跋扈する国会。その中で3バンを持たない徒手空拳の状態から市会議員、国会議員となり、ついには総理大臣にまでかけ上がったその姿は、似たような出自も含め、今太閤と呼ばれた田中角栄を彷彿とさせる。

    中盤から後、国会議員になってから権力闘争に揉まれた経験と、雪国生まれの反骨精神というかもって生まれた負けん気の強さが相まって、今の権力に結び付いているのだろう。

    願わくば安倍さんに菅さんのような、良質な参謀に恵まれることを期待したい。

  •  松田賢弥 著「したたか 総理大臣・菅義偉の野望と人生」、2020.9発行、文庫。読み始めてすぐ、あれ、読んでるなと思いました。(2020.10.8に読了) この文庫本は「影の権力者 内閣官房長官 菅義偉」(2016.1刊行)の改題・文庫化でした。「したたか」なのは、著者の松田賢弥氏、そして、発行所の講談社だと思いました。巻末にその旨記するのではなく、表紙に記するべきではないでしょうか。官房長官のことを書く内容と、総理大臣のことを書く内容が同じでは、読者は納得しないと思います! 失礼しました。

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著者プロフィール

1954年、岩手県北上市生まれ。業界紙記者を経てジャーナリストとなり、『週刊現代』『週刊文春』『文藝春秋』などを中心に執筆活動を行う。政界に関するスクープ記事が多く、小沢一郎衆院議員については20年以上取材を続け、その後の「陸山会事件」追及の先鞭を付けた。妻・和子氏からの小沢氏への「離縁状」をスクープしたことで、第19回「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム大賞」を受賞。
著書に『絶頂の一族 プリンス・安倍晋三と六人の「ファミリー」』(講談社+α文庫)、「小沢一郎 淋しき家族の肖像』(同)ほか多数。

「2020年 『したたか 総理大臣・菅義偉の野望と人生』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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