世界が注目する日本の介護 あおいけあ で見つけた じいちゃん・ばあちゃんとの向き合い方 (介護ライブラリー)
- 講談社 (2021年1月14日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065218051
作品紹介・あらすじ
●Ageing Asia Global Ageing Influencer 2019 獲得
●日経ビジネス「次代を創る100人」選出
●第1回かながわ福祉サービス大賞 受賞
国内外で講演歴、多数。
NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」でも取り上げられ、
映画『ケアニン~あなたでよかった~』のモデルにも採用!
国内外で高く評価され、今一番注目されている介護事業所
「あおいけあ」(神奈川県藤沢市)。
「寝たきりだった人が、畑仕事ができるまでに回復」
「認知症があって要介護なのに、普通のお年寄りにしか見えない」
「利用者とスタッフの区別が全然つかない!」
見学者が一様にそう驚く認知症ケアは、
どのような発想と技術で行われているのか……?
マンガと平易な解説ですべてを解き明かす決定版、ついに刊行!
★電子版には特別エピソードも収録されています!
感想・レビュー・書評
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根本の考え方、とても伝わりやすかった。関係性って、本当に大事だと思う。
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お年寄りを支配・管理している老人ホームで働いていた筆者が持った違和感=「自分がされて嫌なことは他人にしてはいけない」をもとに25歳の時に作った小規模多機能型居宅介護施設では介助自体ではなく、人間同士のより良い人間関係を構築することを最終ゴールとして、お年寄りの「○○したい」という気持ちを支えるケアを行う。認知症においても保持されやすいプライミング記憶と手続記憶を刺激して自身と意欲をもってもらい、介護する側がさせたいことではなく、一人一人の生活歴や強みを活かして本人がやりたいことを引き出す工夫が随所にある。例えば、職員だけで稟議書や会議を開いて後日行うと、やりたいと言い出したお年寄りが自分の発言を忘れてしまうこともあるが、お年寄りも含めた会話の中で即断することで、みんなが意欲を持った状態のまま行動を起こすことができる。また、お茶を入れてもらおうと思ったときに、電気ポットを渡すのではなく、一緒にホームセンターに買いに出かけ、その人が使いやすいポットを選ぶことから始める。どれも職員同士の信頼関係や利用者に対する信頼関係がなければなしえない工夫ばかり。地域の人が自然に敷地内に入って過ごす仕組み作りにも驚く。「ごちゃまぜ」があたりまえになるように心がけてきたという筆者は、取材の方から「誰が利用者で誰が職員か分かりませんでした」という感想をもらえることが何より嬉しいという。分断から始まる共生はあり得ないという前提で、お年寄り一人一人に真剣に向き合っていると、お世話どころか、人生経験豊富なお年寄りから日々教えられることや学ぶことが多く、自然と尊敬する気持ちが芽生え、お年寄り自身は事業所がなじみの場所になるという。認知症という原因病は短期記憶が衰弱するという症状を伴うが、徘徊や不潔行動などの周辺症状が出るのは、症状で本人が困り、不安に思う環境や心理状態にあるから。そこで、認知症に罹患している方が出る症状により困ることがないような環境作りをした上で、本人とのコミュニケ-ションにより心理状態を安定させると周辺行動が収まる。お年寄りが今までやっていたことをやらなくなったのはここではできない、と困っている可能性がある。そのひとが得意なことややりたいと思えることを引き出すと、感情が優位となっているお年寄りは嬉しい気持ちで記憶に残りやすくなるそう。「してあげる」「させる」ではなく、自立支援をする発想がほんとうに素敵だった。
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ほぼ全編マンガ仕立てで読み易い。
へえ、こんな介護施設が本当に実在するのか。驚きと感心と。
でも少々ウソクサイ。
描かれている「日の当たる部分」におそらくウソはないのだろうけれど、それを支える「日陰の部分」、つまり経営者としての著者自身の苦労や葛藤、後悔や、スタッフの抱えた苦労や不満、実際の利用者や家族の本音等々は見えて来ない。それらも隠さず書かれてこそ、読む側にとってもより信頼して読めるのではないか。 -
介護という仕事の希望を見せられた本である。わかるけどできていない、わからない、どうすればいいのか、わからなくなった。さらなる深みに進んでいるようである。