到達不能極 (講談社文庫)

  • 講談社 (2020年12月15日発売)
3.37
  • (7)
  • (18)
  • (33)
  • (6)
  • (1)
本棚登録 : 280
感想 : 22
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (448ページ) / ISBN・EAN: 9784065220962

作品紹介・あらすじ

南極遊覧中のチャーター機がシステムダウンを起こし不時着。添乗員の望月拓海は、乗客のランディ・ベイカーと物資を探しに「到達不能極」基地へ向かう。そこは大戦中、ナチスが極秘実験を行なっていた基地だった――。過去と現代が大胆に交錯する、圧倒的スケールの第64回江戸川乱歩賞受賞作。受賞後第一作となる、表題作のスピンオフ『間氷期』も初収録。

南極×SF×冒険
第64回江戸川乱歩賞受賞作
過去と現在が、最果ての地で再会する。 
スピンオフ『間氷期』初収録!!

みんなの感想まとめ

南極を舞台に、過去と現在が交錯するスリリングなSFミステリーが展開されます。物語は、チャーター機の不時着から始まり、ツアーコンダクターの望月拓海とアメリカ海軍特殊部隊のランディ・ベイカーが、1945年...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 斉藤詠一『到達不能極』講談社文庫。

    第64回江戸川乱歩賞受賞作。

    2018年の南極大陸と1945年のペナン島の日本陸軍とを交互に描きながら、南極大陸の『到達不能極』の謎を描いたSFミステリー小説。期待を大きく裏切る凡作だった。そして、ついでに収録された表題作のスピンオフ『間氷期』も、さらに傷口を広げたばかりという有り様。この種の小説の場合、決定的な何かを描かないと迫力が出て来ない。

    2018年に南極大陸を遊覧中に通信障害とシステムダウンで不時着を余儀無くされたチャーター機。チャーター機に乗っていたツアーコンダクターの望月拓海は、アメリカ海軍特殊部隊のランディ・ベイカーと共に物資を求め、『到達不能極』基地を目指す。1945年にナチスドイツが南極大陸で秘密裏に行っていた実験とは……

    本体価格840円
    ★★★

    • 魚雷屋あすりんさん
      単行本で読了済みですが、「終戦のなんちゃら」とちょっと似ていますよね。
      単行本で読了済みですが、「終戦のなんちゃら」とちょっと似ていますよね。
      2020/12/31
  • 2018年、突然の電波障害で南極に不時着した遊覧飛行中だったチャーター機。基地との連絡が取れなくなった南極観測隊。そして1945年、戦時下の兵士たちに下された極秘の指令。現在と過去が交互に語られ、見えてくるものは……。圧巻の舞台設定とスケールで描く江戸川乱歩賞受賞作。

    この話の最大の謎は、2018年の電波障害と、1945年の戦時下の指令がどうつながるのか、というところなのですが、その謎が明かされるまでの各時代の描写がまず読ませる。
    2018年では南極のリアルな描写が見もの。知識的な面はもちろんなのですが、食料や燃料を求め、今は使われていない基地へ向かう描写の迫力はかなりのもの。冒険小説としての面白さも持ち合わせている。

    一方での1945年でのエピソードは18歳の少年兵を語り手に話が進む。軍事的な部分であったり、航空機の描写などもリアルに描かれているけれども、少年兵の初恋の感情であったり、戦争へのモヤモヤ、同じ部隊の仲間との関係性など、心理描写がみずみずしくそこも良かった。日本兵たちの目的地というのも、かなり荒唐無稽なのだけど、そこも描写がきちんとなされているので、話がすっと入ってくる。

    そして二つの話がつながるとき、明らかになるのは全世界を巻き込む大きな危機。ここにきて話はより壮大になり、荒唐無稽さもより増していくのだけど、ここに至るまでの各エピソードや心理描写が詳細かつリアルに描かれているので、個人的にはわりとすんなり受け入れられました。

    乱歩賞路線の作品というよりは「このミステリーがすごい!大賞」路線の話かもしれない。なので従来の江戸川乱歩賞を期待していると、だいぶ面食らう展開かもしれません。でも作品自体のパワーや熱量は、これまで読んできた乱歩賞作品とは全く違う方向に振り切られていて、純粋に楽しめました。

    今回初収録という「間氷期」は『到達不能極』の登場人物の過去を描いたもの。短編ながらこちらもワールドワイドな舞台と設定で、他の小説家ではあまり読んだことのない路線で面白かった。

    そして『到達不能極』も「間氷期」も単にスケールの大きい娯楽作というわけでなく、今の世界や社会が抱える問題に切り込んでいるあたりも印象として良かったです。

    著者の斉藤詠一さんが、今後どんな路線で作品を書いていくのかはわからないけど、この路線、この完成度の作品が続いていくなら、解説にある通りミステリ史に偉大な足跡を残す作家さんになる可能性も十二分に感じます。それだけスケールの大きさを感じる作品でした。

    第64回江戸川乱歩賞

  • ミステリーとSFとミリタリーと色々な要素があっておもしろかったし、とても感動しました。

  • 南極って、、有り得ない話がすごい好き

  • 愛の話だった。F部分のふんわり加減も含めて、とても好き。作者を追いかけよう。

  • 南極という土地の描写に説得力があり、生命を拒む環境の過酷さがヒシヒシと伝わってくる。
    舞台設定がしっかりしているため、起こる事態にも緊迫感があり、序盤から手に汗握って読み進めることが出来た。
    日独の軍人達の描き方や銃火器/車両といったギミックの細やかさも好印象。

    しかし物語全体としては少々肩透かしな印象。
    オカルト気味なSFの設定にもツッコミどころはあるけれど、それよりも話の展開が「多分こうなるんだろうなぁ」という予想の域を出なかったのが残念だった。
    過去と現在が並行して進む展開にはもっと大きな仕掛けを期待したし、南極という環境の存在感も終盤は弱まってちょっと勿体無いなと。

    「ホワイトアウト」級の読み応えは期待のし過ぎだと思うものの、過酷な自然環境を舞台にするなら何かしらその舞台装置を使ったクライマックスが読みたかった。

  • 南極という場所で、現代と過去が混じり合っていくのが面白かったです。
    それから、次々と仲間を失っていく悲しさもあり、途中からはハラハラよりも感動的な描写も多かったです。

  • 南極に最近行った知り合いがいる。死ぬまでに富士山登頂したいとよく言うが南極も面白そうだが本書を読むととてもじゃない感じがする。
    発送はとても面白いし、SFとして読むなら楽しめる。

  • 南極。極寒の地に閉ざされた過去の悲劇が、現代に蘇る! 第64回江戸川乱歩賞受賞作。

  • 読んでる途中でずっと涙が止まりませんでした。
    戦争時代のときには感情移入をしながら読んでいたので、最後の日本軍の仲間たちが全員を助けるために死んでいくのは心が引き裂かれるように辛かったです。

  • 南極大陸を部隊にしたSF小説。
    第二次世界大戦と現代の2つの時代の話が交互に進んでいく。南極大陸に秘密基地を建設し、そこで昨今のAIに相当する技術を軍事目的に開発していたという設定。詳細は記載しないが、エンタテイメントとしては問題ない範囲で、スムーズに腹落ちしながら読み進めることができる。
    南極探検隊の話の中で、頻繁に「しらせ」の名前がでるため、その存在だけは知っていたが、軍に所属するいわゆる軍艦であることを初めて知った。

  • 冒険&SF。
    南極はとにかく謎な事が多く、それだけでワクワクする。
    本書は現代で南極を探索するパートと過去の戦中時代に南極にいた部隊の2つの話が交差して進んでいく。

    戦時中に南極である研究が進められていたのだが、
    それが本当にありそうなのだ。
    現代ではもう使われていそうな気がする。

    何もかもが凍ってしまう南極、とても魅力を感じるけれど行きたくはないな…。

  • 過去と現在が交錯するダブルプロット。期待が高い分、終わりに向かう過程に、若干の疑問。楽しめるスケール感。

  • スケール感の大きい作品を読みたいと思っていたところで出会い、楽しく読めた。
    欲を言えばアクションシーンの描写をもう少し描き込んで欲しかった。
    併録されている間氷期も本編では詳しく語られなかった部分か描かれていて良かった。

  •  第64回(2018年)江戸川乱歩賞受賞作、著者のデビュー作です。

     2018年2月メルボルンを離陸した南極上空を遊覧飛行するジェット機が南極に不時着した、乗客乗員は約50名。
     通信不能状態で救援を待つが現場近くに使われていない米国のプラトー観測所が有り添乗員の望月と米国政府職員のベイカーが調査した所、死体を発見した。

     同時刻に日本の南極観測隊が任務途中に不時着機と戦中の軍用機の残骸を発見する。

     その63年前、極秘任務でタイ・ペナンの日本軍航空隊基地からユダヤ人博士と娘を乗せた軍用長距離飛行機が南極に向けて飛び立った。

     物語は、現在の南極と63年前第二次世界大戦末期の南極での事件が交互に語られる。

     ユダヤ人の父娘はドイツの南極秘密基地での生体実験の為に連れてこられたのだ。ナチスの監視下身体を冷凍保存し意識は電気回路に記憶させ将来その人間を復活させるという、謂わば''不老不死''の実験だ。

     現代では南極観測隊と不時着した面々が救出を求めて他の基地へと出発するが、軍人だったベイカーに嵌められて63年前の秘密基地(到達不能基地)に向かう事となった。その中には望月の大叔父の星野が連れて来られていた。星野は63年前にユダヤ人父娘をペナンから南極に運んだ日本軍の1人だった。

     ここまでで約半分を読み進んだが、ほぼ結末が見えてきた。。AIが暴走し人を攻撃する映画のストーリーと類似の様な既視感を感じた。

     クライマックスは、63年前のシステムと現代人類の戦いに犠牲者と元軍人の老人との切ない愛情が与みしハッピーエンドに至る。

     読み易く南極と言う幻想の様な舞台の影響もあって引き込まれて行くが、項を繰るにつれ何だか結末が見えて来る。。。あっと驚く様な仕掛けも有りません。
     

  • 冒険、テクノロジー、SF、ムー大陸、南極、戦時中と現代が交錯するアクション活劇に手に汗を握り楽しく読めた。

  • ミステリというより、SiFi食の強いお話。
    第二次大戦末期、人の意識を電子化する技術があった。
    南極大陸の到達不能極基地で行われた実験とは?

  • 途中まですごく面白くて、今と過去とどう繋がってくるのか、さきが気になって仕方がなかった。なのに、そういう系なんだ、途端にリアリティをなくして、都市伝説のような話に転がっていった。

  • ナチスが南極に築いた秘密基地に眠っていた超兵器が目覚めて、南極だけでなく世界に危機が迫るというお話。かなり荒唐無稽なので、乗れるか否かで評価が変わると思う。乗れたら楽しいかな。ただ登場人物に漢が多すぎて暑苦しいのと、ヒロインとか悪役とかの脇役が表面的で、ホントに「ヒロイン」「悪役」というような記号でしかないのが難と言ったところ。

全19件中 1 - 19件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

1973年、東京都生まれ。千葉大学理学部物理学科卒業。2018年、『到達不能極』で第64回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。近著に『環境省武装機動隊EDRA』『一千億のif』『レーテーの大河』がある。

「2023年 『クメールの瞳』 で使われていた紹介文から引用しています。」

斉藤詠一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×