〈名奉行〉の力量 江戸世相史話 (講談社学術文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065222362

作品紹介・あらすじ

時代劇でおなじみの名奉行や悪代官の意外な実像から、驚くほど便利な江戸の暮らしまで、研究者ならではの視点で江戸の風もあざやかに切り取った短編集。
桜吹雪で知られる「遠山の金さん」の父は、とある試験を転機に異例の大出世を遂げた名官吏だった!? 
「おれがわるかつた」、「ゆるせゆるせ」とざっくばらんに詫びる「暴れん坊将軍」吉宗の肉声に、文字通り女房を「借金のカタ」に差し出してしまった旗本、年利一二〇〇%の超高金利金融「烏金」利用者の実態に、宛名に記された「殿」と「様」の格付けをめぐるひと悶着……。
読めばもっと江戸が好きになる。第一人者の篋底から取り出された珠玉の掌編の数々!
(原本:『大江戸世相夜話』中公新書、2003年)

【本書の内容】
はしがき

  遠山金四郎の入墨
遠山金四郎の入墨/遠山金四郎父子/江戸の受験参考書/名奉行の「条件」/官職名の由来/銭形平次と目明/親の歳を間違える金四郎

  お代官様――悪の代名詞
将軍吉宗の肉声/遊芸を許す田沼意次/お代官様――悪の代名詞/秘薬「熊胆」の値段/「謙譲の美徳」の裏側
二十二時間・二十三日間・三年間/白いカラスは吉兆か/殿と様はどちらが偉いか

  大御所の犯罪
大御所の犯罪/無 尽/談合体質の根深さ/拾った金は誰のものか/象をめぐる暗闘/国民の生命の重み/女房を借金のカタに置いても

  女髪結い繁盛記
便利すぎて困る/女髪結い繁盛記/江戸の贈答事情/江戸の高利貸し/証文の怖さ または、江戸の女性はしたたか/地獄の沙汰も金次第

  放蕩息子の矯正
読み書き算盤/放蕩息子の矯正/「うろたえる」老人たち/天明七年のポスター/上流女性をどう呼ぶか

初出一覧
あとがき
学術文庫版あとがき

感想・レビュー・書評

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  • 北町奉行、遠山左衛門尉さま、ご出座ー!
    の遠山金四郎景元が出てくる本を立て続けに読んだので手に取る。学術文庫だが、元がPR誌での連載とのことで程よく気楽で分かりやすく書いてある。金さんが関係するのは冒頭と少しで、資料から見る江戸文化が解説されている。

    試験へ向けての傾向と対策など、秋山真之の勉強法に共通するものがあるとおもう。反復と、行う側の建前を見越した上での範囲の絞り込み、原則に則った解答。試験は傾向と対策をするための能力を測る為のものであり、受験者自身の全ての能力を測る為には機能しない。忘れがちである。

    遠山父(景晋)の息子への愛情にホロリ。
    要職にある人の私的な日記ほど真実に近いものは無いのかもしれない。記録するということはやはり遺り、読まれることが想定される。家計簿だって立派な資料なのだから。友人はそれを朧な毎日を確かなものにする行為だと言うが、私はそれが嫌で日記をつけない。つけても捨てる。人生を確かなものにするなんて寒気がするからである。ズボラもあるが。

    家斉の人となりについて推測できる正反対な記録は大変面白くツッコミを入れつつ読んだ。欲しがりの見栄っ張りかよ(笑)まぁみんなそうか。

    無尽て…宝くじみたいなもんだったのね…。
    談合もあったし、なんも変わらんなほんと。

    芝浜から読み解く、ネコババはいけない、の始まりの時期。面白い。

    髪結いが禁止されていたとは知らなかった。
    『守貞漫稿』は今で言うエッセイのようなものか。つらつら書き留めるのは後世にとって貴重な事なのだな。

    オピニオン本もたくさん存在していた。
    庶民の識字率が高かった事は習ったが、長じて遊芸に走らないように大人は学ばせないお触れがあったとは習ったかな…
    百姓は生かさず殺さずが政治の基本姿勢か。


    初めて知る事、現代との繋がり、などなど大変勉強になるし面白かった。

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著者プロフィール

東京大学名誉教授

「2022年 『もういちど読みとおす 山川 新日本史 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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