新しい世界 世界の賢人16人が語る未来 (講談社現代新書)

制作 : クーリエ・ジャポン 
  • 講談社
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感想 : 76
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065225462

作品紹介・あらすじ

トランプ現象、パンデミック、不平等……。ハラリ、トッド、ピケティ、サンデルらの目に映る今の世界とは? 必読のインタビュー集!

感想・レビュー・書評

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  • 世界的にも有名な著書を持つ知識人による今後の世界のあり方はマクロ視点で役立ちます。
    比較的歴史の浅い民主主義と資本主義の欠陥を今後どのように向き合うのか、その点について言及されている部分は参考になりました。
    もう少し長い文で読みたかったですね。

  • ユヴァル・ノア・ハラリ、エマニュエル・トッド、トマ・ピケティ、ナオミ・クライン、マイケル・サンダルなど、世界的に有名な学者やジャーナリスト16名のインタビュー集。テーマは、コロナ禍についてのものが多い。本書の初版発行は2021年1月であるが、インタビューの多くは、コロナ問題発生初期に行われている。従って、今となっては誤っていたと分かっている推定に基づいて議論が展開されているものもある。

    コロナが社会に与えたというか、与えつつある影響で思うことはいくつかある。

    一つは経済的な格差が、更に拡大しつつあるのではないかという推測。
    日経平均株価が30年以上ぶりに3万円を回復した。これによって潤うのは、株式に投資をしている人たち。普通に考えれば富裕層だと思う。一方で、非正規や派遣労働者やパートタイマーを中心に失業者が上がりつつある。
    格差の話は本書でも何人かが語っている。
    能力主義のことをメリットクラシーと呼ぶ。資本主義は、基本的にメリットクラシーの考え方をベースにしている。社会で成功した人たちは、そういう努力をした人たちなのだから、経済的に成功しても当然であるという考え方だ。
    これは、一見フェアなように見える。が問題は、その程度。いくらなんでも今の状態は行き過ぎでは?という声が大きくなりつつあるように思うし、私もそう思う。
    ピケティは、これに対して傾きの大きな累進課税などを提唱している。資本主義+傾きの大きな累進課税というのは、なるほどとも思う。

    もう一つは、我々が政治家や官僚に甘くなっていないかということ。
    安部さん、菅さんのというか、両内閣のコロナ対策の内容のなさ、スピード感のなさにはがっかりを通り越して、呆れる。また、菅さんの長男の接待問題、緊急事態宣言下での政治家の会食問題など、政治家・官僚のビヘイビアにも呆れるというか、呆れるを通り越して、笑うしかない。
    ビジネスの世界で、これほど成果が出ずに不祥事が続く会社があったら、倒産しているくらいのレベルだと思う。
    しかし、菅さんの支持率は、下がりはしたが、ある程度のところで持ち堪えている。これは、菅さんが首相を降りても、適当な後継者候補を思いつかないからではないか?政治の世界に人財がいなくなって久しい気がするが、それを当たり前のこととして受け入れているのではないだろうか。甘くなっているというのは、そういう意味。

    • まことさん
      sagami246さん。こんにちは。

      本当に安倍さん、菅さんの両内閣のスピード感のなさにはあきれますよね!
      そして菅さんは自分を弁護...
      sagami246さん。こんにちは。

      本当に安倍さん、菅さんの両内閣のスピード感のなさにはあきれますよね!
      そして菅さんは自分を弁護するかのように「先手、先手をいっている」とかおっしゃっていますが、冗談もいいかげんにしてほしいと思いました。全部後手ですよね!
      ほかにも山のように問題があり、そうですね。企業だったら倒産していますね。
      おっしゃる通りです。
      ブクログで菅政権の批判的意見を初めて読んだので、嬉しくなって(問題なんですがね)コメントさせていただきました。
      2021/03/02
    • sagami246さん
      まことさん、こんばんは。
      コメントありがとうございます。

      ブグログで、政権批判、少し場違いだったかも知れませんが、賛同いただきありがとうご...
      まことさん、こんばんは。
      コメントありがとうございます。

      ブグログで、政権批判、少し場違いだったかも知れませんが、賛同いただきありがとうございます。
      問題は、でも、安部さんや菅さんが首相をやられていた方が、他の方が首相になるよりは、まだ良いのではないかと思ってしまうところ。やっぱり少し評価が甘くなっていると自分で思ってしまいます。
      2021/03/02
    • まことさん
      sagami246さん。
      返信ありがとうございます。
      確かに、今の日本は人材がいませんね。
      ワクチン担当になった河野さんだって、なんか、不安...
      sagami246さん。
      返信ありがとうございます。
      確かに、今の日本は人材がいませんね。
      ワクチン担当になった河野さんだって、なんか、不安になってしまいます。
      昔の、小泉元首相くらいインパクトのある方が、いればいいのにと思います。
      ブクログでの、政権批判は、私も所々しています。
      つい、言ってしまいたくなってしまうんですよね~。
      2021/03/02
  • ユヴァル・ノア・ハラリ「年末までに我々は新しい世界を生きることになる」 | クーリエ・ジャポン(2020.4.11)
    https://courrier.jp/news/archives/196872/

    「新しい世界」 | 世界の賢人16人が語る未来 | クーリエ・ジャポン
    https://courrier.jp/feature/235865/

    『新しい世界 世界の賢人16人が語る未来』(クーリエ・ジャポン):講談社現代新書|講談社BOOK倶楽部
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000349550

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      ユヴァル・ノア・ハラリ「ロシアの侵略を許せば世界中の独裁者がプーチンを真似るだろう」 | 今こそ、誰もができることをするべき | クーリエ・...
      ユヴァル・ノア・ハラリ「ロシアの侵略を許せば世界中の独裁者がプーチンを真似るだろう」 | 今こそ、誰もができることをするべき | クーリエ・ジャポン(プレミアム会員限定)
      https://courrier.jp/news/archives/282357/
      2022/03/22
  • 哲学者やジャーナリストなど16人のインタビュー集。人と会う機会が減る中でもいろんな人の意見を知りたくて、読んだ。

    マクロン大統領への批判をみると、日本人からして良く見えるヨーロッパも、私が知らないだけでどこか脆いのかもしれない。どの国においても、政府の対応を見守るだけでなく、監視する必要があると思った。

    COVID-19をきっかけに浮き彫りになった国の、世界の問題。それを見つめ、今後どう生きていくかを自分に問いかけていく日々が続くと思う。考え続ける必要性をジジェクも語っていた。

    フランスに「レジリエンス」を広めた精神科医シリュルニクによると、ロックダウンの意味を理解しその影響を小さくするために、心を保護してくれるもの(趣味、好きなものなど)を持っているかが重要。これには同意する。精神が弱ると、好きなことも素直に楽しめなくなるほか、視野が狭くなる。自分で自分を追い込んでしまう。その果てには。してしまったことをなかったことにはできない。過去には戻れない。

    シリュルニクとコーエンが競争の価値観に否定的だったり、コーエンとジジェクが成長は無限ではないとした上で、質素な暮らしを受け入れていく必要性を示唆していたりと16人の意見は一部共通しており、そこも読んでいて興味深かった。

  • 16人と盛りだくさん。なので一人当たりのページ数が少ないのが残念。気に入った人の本を読むのがいいかも。

  • 東大入学式で上野千鶴子が祝辞の中で、自分たちが今ここにいるのは自分の努力だけではなく、あなたたちの環境のおかげだと述べて話題になった。次の年、東大は現代文の問題で、小坂井敏明の能力主義に関する論述を出題、また次の年の教養部の推薦入試で本田由紀の能力主義の定義に関する論考を小論文の課題文として出題。
    メリトクラシーが、人々を分断していく状況に対して、最高学府としてストップをかけたいという強い意志を感じた。東大は本気だなと思う。

    メリトクラシーに関しては、日本だけの問題ではない。上野千鶴子が述べるまでもなく、世界各国で問題視されていたことだ。マイケル・サンデルの書籍も出ているが、ここに掲載されているインタビューで十分その問題点を把握することができる。
    世界的に分断は進んでおり、危機的状況もまたグローバル化しているといえよう。
    そんな状況を掴みやすく、インタビュー形式なので読みやすく、現代に必要な本だと思う。

    発信力のあるエマニュエル・ドットやトマ・ピケティ、マルクス・ガブリエルのインタビューも掲載されており、自分の関心に従ってそれぞれの著作物にチャレンジするといいのではないだろうか。

  • コロナパンデミックの世界を識者がどう見つめているかを綴ったインタビュー集。刻々と変わるコロナの状況なので去年刊行された本書にはもはや古い情報からの見方も含まれるがいずれにしても、クーリエだけに欧州の学術者が中心に構成されているのが新鮮で面白い。みんなトランプさん余程嫌いだったんだなあ。

    特に経済学の領域で、資本主義の新しい形を従来から探究する識者たちがパンデミックの中にいかようにチャンスとリスクを見出しているかという発見が次々とあって、興味深い。

    専制主義が台頭しつつある世界への危惧をいずれの識者も抱いているが、パンデミック下、政府が文化や芸術を封殺するという平時にはできないことが容易にできてしまうという視点にはハッとした。ただ気に入らないものを保護しなければ良いのだ。

    ピケティも登場するが、その前章に登場した、ピケティの師であるコーエンの知性と人格が印象深かった。もの凄い知者らしいが、同時に深い人類愛を感じた。初めて知った名前だけど、ピケティを生み出すだけの力のある素晴らしい教師なんだろう。

  • 私達は、幸福な時間を共有する為に友情があると思いがちですが、友情とは、痛み、恐れ、不安そして悲劇を共有する為にあります。

  • ハラリ:民主主義は市民の健康の保護という名の下に簡単に独裁に変わる。人間は事実よりも物語を通じて思考する。
    エマニュエル・ドット:国の存亡を決めるのは出生数であり、特定の死因の死者数ではない。
    ジャレド・ダイヤモンド:ドイツはホロコーストを完全に認めており、教育制度にも表れている。だからもう2度としないという約束を信じられる。日本は近代社会における女性の役割をまだ受け入れられていない。人口が減っている国でいったいだれが保育や介護を担うのか。誰かが担ってくれなければ女性は仕事に復帰できない。
    スティグリッツ:アメリカの医療費はGDP比で18%。OECD諸国ではダントツの高さ。そのかなりの部分が製薬会社と保険会社に行き、医療制度には向かわない。アメリカでは医療や平均寿命で激しい格差がある。
    ナシーム・ニコラス・タレブ:ボラティリティ、ショック、危機、誤差、時間など、このうちひとつを好きな人は全部を好きになる。ストレスで鍛えられる。ストレスがないと脆弱性が高まる。何らかの限定的なショックが必要。どんな会社にも理想の規模がある。あらゆる機関には有効期限が必要。これは反脆弱性を獲得するため。
    ダニエル・コーエン(ピケティの指導者):人と人の間でしか生きられないのは人間の性。人の幸せとは周りとの関係から生まれる。人は社会で生きることを尋常でないほど切望する動物。資本主義で残念なのは、お金が人間関係においてこれほどまでに大きな意味を持つようになってしまったこと。暮らしが豊かになっていく過程が幸せをもたらす。アメリカの場合女性が働き出したのは女性解放というよりも家計を補うためだった。アリストテレス?幸せは報酬であり目標ではない。幸福になるためには、人とともに生きること、信頼できる友人を持つこと、他の人との競争を敵意のないものにすること。コロナがデジタル資本主義を加速させた。人と会うのはコストが高い行為。人が相手のサービスは人を相手に時間をとられるのでコストが高く生産性を上げられない。映画やラジオも、もともとは演劇やコンサートなどを楽しむコストを下げる発明だったが、別の芸術に発展していった。ヒトという動物の特徴のひとつは言語。言語を使って他の人と話をして、その経験から自分が何者なのかを理解し、内面を育てていく。クリエイティブ産業や文化産業は勝者総取りの世界。99%の人は失敗する世界。このような構造で働く人にはほとんどの場合尋常でない水準の幻滅と生きづらさがある。
    ピケティ:資産に課税し、その税収を財源に若者にまとまった額の資本を一律支給する制度を提案。2度の世界大戦を経て格差が縮小した。格差をつくるのは政治。権力の問題。財界が経済的権力も政治的権力も握るようになっている。資産への累進課税&一人の人間がモテる資産の額に時間的制約を設ける。この世からビリオネアをなくす仕組み。環境問題を解決するには経済モデルを変えていかねばならない。マクロン大統領は炭素税の増税を試みたが、黄色いベスト運動がおきて増税を中止した。この失敗が示すのは、まずは格差を縮小しなければ、気候変動の問題を解決できないということ。
    ボリス・シリュルニク:レジリエンス(逆境にへこたれず生活・成功・成長する力)。学歴や職業、愛情ある家庭環境など、自分を守ってくれるものがある人は、体制を整えて困難を乗り越えていける。動物も人間も環境からの刺激がなくなったり

  • こちらも「世界の賢人」と言われる方々の現状認識と今後の処方箋。なんだかモヤモヤしていたこと、霞がかかっていて誤魔化されているのではということ、よく分からなかったことなどがかなり解消する。「政府が自分たちの気に入った業種・業界だけを支援するなら、文化は一夜にして変わってしまう」「国の存亡を決めるのは特定の病気による死者数ではなく、出生数」「半脆弱性:森で小さな火事さえ起こらないようにしすぎると、燃えるものが溜まり、いつか大きな火事を起こす」「ソリューショニズム:本質的な解決ではなくDXで解決したかのように思わせる。教育問題の本質的な解決方法は、ICTの導入・活用ではなく、良い教員を増やすことではないか。」「悪のインセンティブ:麻薬の密売人は親と同居している」「自由の価値を見損なっている。自由は命懸けで獲得するもの」「絞首刑の希望:柘榴の実、子供の笑顔、美しい風景」

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著者プロフィール

クーリエ・ジャポン https://courrier.jp/
世界中のメディアから厳選した記事を日本語に翻訳して掲載する月額会員制ウェブメディア。2005年に隔週刊誌として創刊し、2016年にウェブに移行。現在の会員は1万人を超える。ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストなど米国の有力紙から、仏ル・モンド、独シュピーゲル、西エル・パイスといった英語圏以外の有力メディアの記事まで多様なメディア・ジャンルの記事を掲載。世界の教養人の記事も多く掲載しており、邦訳書を待たずして最新の論考に触れられることでも評価を得ている。編著に『新しい世界 世界の賢人16人が語る未来』『変貌する未来 世界企業14社の次期戦略』『海外メディアは見た 不思議の国ニッポン』など。

「2022年 『世界の賢人12人が見た ウクライナの未来 プーチンの運命』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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