アスクレピオスの断罪 Condemnation of Asclepius
- 講談社 (2021年10月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065249673
作品紹介・あらすじ
医師の殺人事件が発生。被害者は西野正樹。彼は三年前に起きた強姦事件の加害者の一人だった。西野は地元で有名な開業医の息子であり、もう一人も国立大学の医学生だったため、事件はワイドショーのネタとなる。やがて被害者女性に非があったのではないかというバッシングがおこり、女性が訴えを取り下げる事態となった。当時事件を担当していた捜査一課の陽山承と真壁剛は、再びまみえた西野が無残な死体となっていることにやり場のない気持ちを持つ。司法解剖の結果、西野は拷問とも思える傷を受けていたことが分かり、二人は解剖医である楠衣春の協力を得ながら事件の真相を追う……。
感想・レビュー・書評
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反吐が出る、涙も出る一冊。
医師が拷問のようにいたぶられ殺された。
警察+解剖医の協力、強力タッグでこの事件の真相を炙り出すミステリ。
ひねりの効いた複雑な真相は読み応えあり。
しかも、意外な展開も盛り込んでますます複雑化され犯人も全く見えず、最後まで良い意味で引き摺り回される感覚が面白かった。
でもその面白さに相反するかのように沈殿していくのは事件の根っこへの涙と嫌悪感。"見ざる 聞かざる 言わざる"な組織体制に反吐が出る。
怖さも出る。
それにしても感情的な刑事だったな。彼にはたしかにブレーキ役の彼女が不可欠かな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2022年初読了本です。
2021年下期、活字が読めなくなってしまいました…
リハビリ兼ねて、12月から読みはじめてやっと読み終わりました。
医師の特権と病院の闇が絶妙でした。
特に病院の闇の部分は他の会社にも通ずるところがあり、胃が痛くなりました。
Twitterやっているひとなら知っているかもしれない…
警察署のまえに死体遺棄しちゃったでバズったあのツイートはこの作品です…笑 -
初めての作家さん。
読んでいて、私が痛いと感じるような描写がちらほら。
医療の直面している問題点を鋭くついているのではないかと思います。
終盤はちょっと急ぎ過ぎている感はありますが、楽しめました。
間違いを認めない社会も怖いなと思いました。 -
若い刑事と解剖学女性助手のバディ。
これはね…最後まで犯人に同情するよ、刑事さんには悪いけど。あと要所要所でちょいちょい女の人が不謹慎なのが気になった。 -
過去に強姦事件を犯していた一人の医師が殺された。法医学教室の楠衣春とともに捜査一課の津山と真壁が事件を追う。そしてもう一人医師が殺される。病魔に侵されてた者は医師にすがるしかなく、理不尽な死を目の当たりにしたとき心に狂気が宿る。衣春のキャラが良かった。
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作者の新シリーズということで、どんな感じか恐る恐る読みましたが、探偵役の法医学助手が、前シリーズの探偵役よりはマトモだったので読みやすかったですね。
ただ、相手役の若手刑事はなんだかなぁ。今後の成長に期待するしかないかな。
ネタばれになるので詳しくは書きませんが、手術を受ける時はきちんと説明を受けて記録に残そうと思いました。
日本人の曖昧に誤魔化される悪癖、ホントに良くないです。まぁ、緊急時とかどこまで冷静になれるのかなとは思いますが。 -
図書館で偶然見つけた本。一気読み。
医療ドラマに法医。ある意味、定番ですな。
犯人は誰なの???と読み進めていける。
どの業界でも組織が存在して、その「構造」の問題が存在する。医療と医学は似て非なるもののようにも感じる。しかし、患者という受け手にはその違いが見えにくい。「聖域」の閉鎖性は仕方ないことなのか。「個」は構成するパーツに過ぎないのか。
続き物になるのかな?
それならもうちょっとキャラが濃くてもいいなぁ。 -
後半の怒涛の展開は唖然とする
人は見たいように物事を見る
自分に関係ないことは知らぬふり
大きな組織の中にいて事なかれ主義で波風立てずに自分が快適に過ごせればよいのか
医師の倫理観とは
主人公の刑事が子供っぽく感情的すぎて、なんだかなぁ それに対して解剖医の楠衣春の肝が据わっている(表に出さずにきっと葛藤や弱い面もあると思うが) -
北里さんの新しいシリーズになる感じですかね。少しこねくり回しすぎの感はありますが、まあまあ楽しみました。