十七八より (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065264034

作品紹介・あらすじ

ある夏、ある少女の「1か月」。
いつかどこかに存在したあらゆる一瞬の堆積が、鮮やかに立ち上がる。
第58回群像新人文学賞受賞作。期待の書き手のデビュー作がついに文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • ちょっと難しかった。何を言っているか分からないところもあった。これは単に自分の能力の問題です。「旅する練習」のほうがまだ読みやすかったので、その印象で読みはじめたら面食らった。
    焼肉屋の家族の会話は面白かった。
    色んな文学作品に触れてまた再読したら違ったものが見えてきそうな作品でした。

  • 評価の難しい本。小難しい表現を折り重ねていて、決して読みやすい文章ではない。それでいてそんな表現の向こうに17、8歳の少女の微妙に揺れ動く心情が垣間見える。そんな小説です。

  •  favoriteな作家の1人である著者のデビュー作ということで読んだ。こんなにヒネりまくっているのがデビュー作だということに驚きつつ楽しく読んだ。この分かりそうで分からない要素こそが著者の大きな魅力なんだと気づくこともできた。
     三人称視点で高校生の少女が過ごした数日を描いていて単純な三人称視点ではなく語り手(著者なのか?)の考察も多分に含まれていてオモシロい。少女の身に起こることは日本のどこかでも今起こっているだろう他愛もないことなんだけども、それを文字を使って文学として再構築している、そんな印象だった。
     本著の最大の魅力は会話の描写。メインは亡くなった叔母との対話で叔母と少女のあー言えばこー言う、その掛け合いの中でバシバシ出てくるパンチラインがとにかく良い。この会話は日常というよりも先述のとおり文学における会話であり、引用を多く含んだ様式美が好きだったし、こういうの読みたくて本を読んでいるなと思った。本著には会話かどうか問わず本当に好きなラインがたくさんあるのだけど一番好きなやつを引用しておく。

    注意深く、あまりに弱い光をもらって過ごすあまり、彼らの目は退化し、あるいは研ぎ澄まされ、ある時には心地よく視界に入れていたものすら、いつしか差異を失い、捉え難くなってしまう。こうしてますます卑小な生に、嬉々として閉じ込められていくのだ。

     並の作家であれば、1冊の中で1つのパターンに終始すると思うのだけど、本著ではまた別の会話の魅力も含まれている。それが家族4人で焼き肉を食べに行くシーン。それは小説、ドラマ、映画、もしくは実際の生活で何度も繰り返し見た風景でしかない。なんだけどもその風景における会話描写の圧倒的なリアリティに本当に驚嘆した…焼き肉を家族で食べに行く、これも文学なんだと気付かされる。このシーンを読むだけでも本著の価値があるだろう。(電車で読んでて「トレペ」のくだりでツボに入って笑い過ぎて不審者と化した)で異常なまでの高い粒度で描写したあとの締めの言葉がまた最高だったので引用。

    家族の会話というものはどんなにでたらめに配列しようとも、さしあたり電球がつかいないということはないらしい。

     過去読んだ著者のどの作品にも叔父もしくは叔母が登場している。肉親ではないが他人でもない存在が子どもに与える影響について非常に意識的なのだろう。その一方でロクでもない大人は世の中に跋扈していることも描かれている。自分の子どもの頃を思い出しても確かに従兄弟や叔父の言動で強く覚えていること多いし、ロクでもなかった学校の先生のことをレミニスしたりした。

  • 私の想像力が足りないのか。
    情景描写が想像しづらく、読みにくかった印象。

  • 十七八って、青春謳歌って言うけれど、実際はもっとおどろおどろしくて、混沌としていたことを思い出させる。

    彼女?少女?姉?みたいな文学少女は、こういう方向なんだろうけれど、方向や志向が違ってもきっとこういうことなんだという雰囲気は感じられた。

    正直、ずっと頭が晴れる感じはなかったが、やめられない文章だった。

  • 一言でいえばすごく難しい。
    言葉遊びにずっと付き合わされているようですごく難解。
    しかし、意味など理解するのではなく真っ正面から思春期の女子の揺れに付き合うべきなのかとも思った。(著者は男性だが…)

    揺れ、危うさ、幼さゆえの冒険…
    すべてが十七八というタイトルに込められているようにも思う。

    しかしやはり難解である。

  • これは意味わからなかった。全くもって理解不能。何がいいのこれ?
    というところで評価出来ないが、最後まで読んだというところは凄くないですか?
    普通は途中でやめるし。笑

  • 語りきらない語りによって、物語空間には絶妙な雰囲気が漂っている。

  • 最初の一ページで拒否反応がでた。

    読みにくい。文章がぜんぜん頭にはいってこない。
    なんだろう、いちおう日本語で書かれているらしいのに、どこか別の国の言葉にみえてしまう。
    それくらい読みにくかった。

  • 1行で終わるところを3、4行かけて描写する。そして匂わせるばかりではっきり描かない所はこの手の作品を読みなれない人には何を読まされてるのか?となるかも。好きな人にはたまらない。

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著者プロフィール

1986年北海道生まれ。法政大学社会学部メディア社会学科卒業。2015年『十七八より』で「群像新人賞」を受賞し、デビュー。18年『本物の読書家』で「野間文芸新人賞」を受賞する。23年『それは誠』が「芥川賞」候補作となる。その他著書に、『十七八より』『本物の読書家』『最高の任務』『ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ』等がある。

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