- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065272459
作品紹介・あらすじ
ほぼすべての生物の遺伝子が、「24時間」のリズムを刻む謎。
生物はなぜ眠るのか? この生命最大の謎にまだ完全な答えはありませんが、約24時間のリズムを刻む生物時計は、人間や高等動物だけではなく、昆虫、草木、単細胞生物にも備わっていて、ほとんど同じ遺伝子を使っていることがわかってきました。
なぜか午前中は時間が早く経つように感じられる。目覚まし時計の少し前に目が覚める。時差ボケがつらい――こうした多くの人の経験は、春になると桜が咲くこと、渡り鳥が方角を間違えないこと、蛹がかならず早朝に羽化することと同じ、この生物時計のリズム(サーカディアン・リズム=既日周期)によるものです。そして、地球上のほとんどすべての生物の遺伝子には、先天的にこのリズムが組み込まれています。
この生物時計はどういう仕組みで動き続けているのか。そこで「眠り」はどういう役割を果たしているのか―ー?
生物時計と睡眠研究の第一人者である著者が、解明されてきた謎といまだ解明されない謎をわくわくする筆致で描いたベストセラー。日々の実感と地球生物全体が遺伝子でつながる感動に、最新の成果を盛り込み、待望の文庫化!
・平成16年、講談社出版文化賞・科学出版賞受賞作
・本書のテーマのひとつ、「概日周期を制御する分子機構の解明」は、2017年のノーベル医学生理学賞受賞
【目次より】
1章 なぜ生物時計があるのか
2章 脳の中の振り子
3章 生物時計の部品の発見
4章 分子生物学が明かした驚異のしくみ
5章 不眠症のハエから睡眠遺伝子を探る
6章 睡眠の謎
7章 生物時計は睡眠をどう制御しているか
8章 睡眠研究の突破口 ナルコレプシー
■生物時計と睡眠をもっと知るためのブックガイド
感想・レビュー・書評
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当たり前、と思っていることを、そういえばなぜなんだろう、どうなっているんだろう、と不思議に思う。それが科学のとば口であり、醍醐味でもある。そういう本はだいたい楽しい。
一日はだいたい24時間で、昼が来て夜が来るのは太古の昔から変わっていないし、昼行性にしろ夜行性にしろ生き物が一日の繰り返しに合わせて生活しているのは当たり前、ではある。では生き物はどうやって24時間を測っているのか? そりゃ日の出/日没だろ、と思ったあなたはまだ足りない。季節によって昼の長さ、夜の長さは変わるけど、生き物は冬のほうが長く寝ている、わけでもないからだ。実験で一日中暗くしていても、だいたい24時間のペースで寝たり起きたりするそうだ。それは人間だけでなく、ハエなんかでもそうなんだという。生き物はどうやって、時間を測っているのだろう? というのが本書のとば口だ。そう言われてみれば不思議だ。え、ちょっと待て、ハエって寝るのか? そもそも睡眠ってなんなの? と思った方はきっと本書を楽しめる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
九州産業大学図書館 蔵書検索(OPAC)へ↓
https://leaf.kyusan-u.ac.jp/opac/volume/1402324 -
ヒトのほか、ショウジョウバエやマウスの睡眠の遺伝子レベルでの研究に関する本。どうして眠くなるのか、生物時計はどうやって24時間を刻むのかなど基本的な疑問を分かりやすく解明してくれる。
ところで、生物が眠くなる時、それは何か眠気を誘うホルモンなどが分泌されるのではなく、逆にオレキシンというホルモンが分泌されて覚醒するのだという。そしてこれがなくなるとまた眠くなる。
ここからは僕のテキトーな私見だが、それならば、眠っている状態が生物の元々の姿であって、食料を取ったり生殖活動のために、仕方なく起きているだけではないだろうか。生物は起きて活動するために睡眠を取るというのとは逆だといえる。
ならば、睡眠中こそがあるべき姿なのだから、起きているときのことをあれこれ悩むのは大変つまらないことなのである。起きている時間中どんなに不幸な境遇にあろうが、そんなものは全く気にする必要はない。毎日気持ちよく寝られればよしとしよう。事情が許せば引きこもりや寝たきりで何が悪いのかという気になった。
大きなことや小さなことに悩んでいる人は、ぜひ読んでみてもらいたい。