虚構推理(17) (講談社コミックス月刊マガジン)

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  • Amazon.co.jp ・マンガ
  • / ISBN・EAN: 9784065275566

感想・レビュー・書評

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  • 岩永琴子の逆襲と敗北に対する九郎の思いを語ったエピローグ「死が二人を分かつまで」に始まる17巻。それに続くのは「江戸時代に雪女を斬ることで奥義を会得した先祖の真実を知りたい」という依頼の新章「雪女を斬る」!

    琴子から譲歩を引き出した六花の智略。それを知りつつも、さらに深層で息を潜めていた九郎の真意。今まではこんな告白はなかったので読めてよかったなと。自分の呪われた力が、呪われた知恵の神を守るために授けられたのかもという解釈が素敵だった。化け物の秩序を守るために生み出した知恵の神が「想像力の怪物」だという皮肉が突き刺さる。秩序から外れた者が秩序を守るために正義を貫く。それを「美しい」と呼んだ九郎もまた美しい。

    「雪女を斬る」は時代ミステリ+剣豪小説という新たな切り口。まさかミステリで剣劇が観られるとは!アクションの迫力も、稽古で犠牲になった竹の本数も凄すぎる(笑) 雪女の血を引く子孫の白倉静也に、雪女の存在を否定する虚構推理を構築する!最後の奥義、怪死した先祖・半兵衛の謎にどんな解答を用意するのか楽しみ。

    それにしても、雪女と言えばあの二人。相変わらず熱々で解けてしまいそうで何より(笑)

  • この巻もめちゃくちゃ面白かった。雪女が最高だったのはそうだが、そこからこんなに面白い展開に持っていけるのは本当にすごい。次回の展開が非常に気になる。

  • 漫画版を読むより先に話の内容を知っているという意味では『鋼人七瀬』編以来かな
    冒頭の『死が二人を分かつまで』は形としてはオリジナルだけど、内容は小説版『逆襲と敗北の日』の第五章にて行われた会話に色々加えたり減らしたりしたものだし
    小説版では一連のエピソードの解決編として機能していた九郎と六花の問答。でも、巻を跨いでしまうなら別のエピソードとして扱った方が良いか

    琴子の敗北は自分が抱える人間としての秩序を守る為だった。その果てに異形の九郎と六花を人間に戻す事に拠って秩序を乱してしまうとしても
    けれど、こうして九郎と六花の問答に拠って言及されたように琴子の在り方こそ秩序を大きく崩しているものかもしれない。そのような存在の琴子には何が起きたって可怪しくない
    だからこそ、可憐な琴子を守る騎士が居たって許されるべきなのかも。むしろ琴子の傍に九郎が居る状況こそ秩序が守られていると言えるのかもしれない
    そんな事を50話では考えてしまったよ

    と言うか、記念すべき50でこのようなエピソードが行われたのか。原作者によれば『鋼人七瀬』編からの大きな流れが一区切りつくそうで。そう考えると本当にこのエピソードはピリオドになりつつ、転換点として機能しているのかもしれないな


    そしてこの巻のメインエピソード、『雪女を斬る』編開幕
    収録分では解決編まで至っていないし、小説版にてある程度の感想は既に述べているので、こちらでは漫画版ならではの感想を

    まず真っ先に目を引くのは半兵衛の美しさかな。小説版を読んだ時点では文字情報として「白い肌」とか書かれていたけど、剣客としてのイメージが先行していたものだから、漫画版の美青年っぷりには驚いてしまったよ
    日本人離れした半兵衛の美しさ、彼と対峙する人斬り雪女、そこに関わってくる秘剣の存在。いつもと異なる舞台設定と筋書きに『虚構推理』らしさはない。けれどそこに静也の奇妙な依頼が絡みつく事で虚構を伴う推理が動き出す様子は慣れ親しんだ『虚構推理』らしいもの

    大昔の剣客の死、それが現代人にどのような影響を及ぼすのか。そして二人の雪女によって紡がれる物語とは?
    琴子が静也に語る現実的な解釈という名の『虚構』。その先に何が描かれるのだろうね?

    あとは何はともあれ、昌幸と雪女が幸せそうで良かった良かったという気分ですよ

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著者プロフィール

【片瀬茶柴(かたせ・ちゃしば)】
本作にてデビュー。

「2021年 『虚構推理(15)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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