レペゼン母

著者 :
  • 講談社
3.93
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本棚登録 : 1288
感想 : 155
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065276464

作品紹介・あらすじ

マイクを握れ、わが子と戦え!

山間の町で穏やかに暮らす深見明子。
女手一つで育て上げた一人息子の雄大は、二度の離婚に借金まみれ。
そんな時、偶然にも雄大がラップバトルの大会に出場することを知った明子。
「きっとこれが、人生最後のチャンスだ」
明子はマイクを握り立ち上がる――!

『晴れ、時々くらげを呼ぶ』『檸檬先生』などで最注目の新人賞から、今年も文芸界のニュースターが誕生!
第16回小説現代長編新人賞受賞作。

ーーーーーー
選考委員も激賞!

こんなにスカッと面白い作品が新人賞なら、いっそ清々しいじゃないか!(中略)おかんのラップが響く今宵、この余韻!
――朝井まかて

「親との戦い」ではなく、親の側から「子との戦い」を力強く描いた、大人の小説であると感じさせられた。
――宮内悠介

感想・レビュー・書評

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  • 前代未聞のバウト、先行、○○!後攻、明子!8小節2本勝負。ブリングザビート!

    笑いあり涙あり。想像をはるかに超えてくる、感動の家族ドラマ×最高のエンターテイメントショウ!

    梅農園を女手ひとつで経営する深見明子64歳。「べしゃり」の達者なオバやん。
    だらしのない息子。出奔中の雄大35歳。
    歳の離れた若い嫁。しっかり者だが、不遇な家庭環境に育った沙羅23歳。

    すれちがう母と子の思いは、ビートに乗せれば伝わるのか——。

    ひょんなことから『農家ラッパー』としてMCバトルに出場した明子(!)。
    熱いバイブスでくりだすパンチラインは、フェイクでもファッションでもない、魂の咆哮だ。
    バトルシーンのカッコ良さたるや。

    心にしみるセリフも多い。
    沙羅はいう。「自分の不完全で不恰好なピースを寄せ集めて(中略)、ピースがいびつなほど、欠けた部分が大きいほど、うまくはまった時に圧倒されるものができたりする。希望だった、私にとって。自分の最低な環境や経験が、まるごと可能性に変わるかもしれないっていう。」

    これが、前を向いて生きるってことだよな。。

    家族の絆と、MCバトルの結末は———。
    感動のラストは必見。
    明子たちのラップの熱さに触れてください。
    最高に面白かった!涙腺崩壊です。





    ※おまけ
    明子が台所で人参を切りながら「普通が何だか気づけよニンジン」と呟くシーン。笑
    (BUDDHA BRAND『人間発電所』のリリックのもじり)。
    原点かつ名曲。YouTubeにあります。

    • shintak5555さん
      Tomoyukiさま
      この作品、ホントに刺さった!
      ここまでではないが、うちの長男とダブって、涙腺ですね!
      Tomoyukiさま
      この作品、ホントに刺さった!
      ここまでではないが、うちの長男とダブって、涙腺ですね!
      2024/02/10
    • Tomoyukiさん
      コメントありがとうございます(^^)
      読む前は「コメディ要素が強めなのかな」とさほど期待していなかったんですが、とんでもなく...
      コメントありがとうございます(^^)
      読む前は「コメディ要素が強めなのかな」とさほど期待していなかったんですが、とんでもなく刺さりました!最高でした!

      序盤の鬼道楽とのバトルで、すでに涙です。笑
      2024/02/10
  • 黄色い表紙が印象的で、軽いストーリーかな?
    と思わせておきながら、すごい熱量で感情を揺さぶってくる最高の本だった。


    梅農家の母・明子と、ダメ息子・雄大が、ラップバトルで本音をぶつけ合うというストーリー。
    当然専門用語も多く出てくるが、馴染みのない読者(私のこと)も全く心配はいらない。
    なぜなら主人公の明子も初心者で、会話の中で自然に教えてくれるから。
    ・パンチライン→決め台詞
    ・フロウ→歌い回しや聞き心地
    ・バイブス→雰囲気や情熱
    等々知らない世界が開けた感じで、めちゃくちゃのめり込んで読んでしまった。

    明子のラップの師匠は義理の娘・沙羅で、息子・雄大の三番目の妻だ。
    その雄大は妻を置き去りにしたまま三年も行方不明というダメっぷりwww

    そんな明子と雄大、沙羅を中心とした愛情たっぷりの物語は、最初から最後まで音楽が鳴り響き、何度も涙が溢れた。

    沙羅が思う、戦いに一番大事なこととは、
    「対戦するって、相手のことを想像して、相手の立場になりきることなんだと思う。本当の勝負って、相手を理解することなんじゃないかな?」

    これを受けて明子は雄大を産んだ時からのことを振り返っていくのだが、読みながら私も自分の過去を振り返る。
    この本の中でそんな静かな時間をもらえるなんて、思ってもみなかった。

    黄色に目を奪われていた表紙も、改めて見れば優しいタッチで描かれた明子の背中だ。
    眺めていると、いろんな思いが体中を満たしていく……

    • 1Q84O1さん
      aoiさん
      なかなかぶっ飛んだ設定でしたがいろいろ考えてさせられる作品ですよね!
      熱いバイブスを感じる一冊ですYo!♪
      aoiさん
      なかなかぶっ飛んだ設定でしたがいろいろ考えてさせられる作品ですよね!
      熱いバイブスを感じる一冊ですYo!♪
      2024/02/13
    • aoi-soraさん
      1Qさ〜ん
      すごく良かったです!
      自分の親、私自身、子供、
      と色々振り返っちゃう
      順番待ち長かったけど、読んで良かった。⁠◕⁠‿⁠◕⁠。
      1Qさ〜ん
      すごく良かったです!
      自分の親、私自身、子供、
      と色々振り返っちゃう
      順番待ち長かったけど、読んで良かった。⁠◕⁠‿⁠◕⁠。
      2024/02/13
    • 1Q84O1さん
      ほんとその通りですね!
      私も親、子供のこと考えちゃいましたよ!
      ほんとその通りですね!
      私も親、子供のこと考えちゃいましたよ!
      2024/02/13
  • めちゃくちゃ面白かった!

    「レペゼン」は「〜を代表する」とか「〜を背負っている」という意味のヒップホップ用語。
    つまり、タイトルは「母代表」という意味。

    64歳の母親がラップバトルを勝ち抜いて、出来の悪い保釈中の息子と最終対決をする話。

    ここ最近、しょうもない母親を持つ子の視点の小説が続いたので、頑張ってる母親視点が妙に嬉しく、心もホクホクとしました。

  • 母と息子のラップバトル?!

    はいもう面白い、はいもう優勝w
    こんなん思いついた時点で勝確ですよ
    出来レースですよ

    話の中身ははっきり言って普通のお話
    愛する旦那さんを早くに亡くしシングルマザーとなり仕事と育児にシャカリキになった母と何をやっても長続きしないダメ息子のすれ違い人生がお互いの本音をぶつけ合うことで…とうい捻りのない物語
    ただそこにラップバトルを持ち込むとこんなに爽快な物語になるのか!

    そして、母と息子っていうのが良かったよね
    この関係性ってラップバトルに合ってるよ!間違いなく
    は?何言うてはりますの?って思った人はとにかく読んでみてYO!(急にヒップホップ感出してきた)

    • みんみんさん
      朝井まかてが
      いっそ清々しいって言ってるから新人ならではの勢いがあるんだな笑笑

      朝井まかてが
      いっそ清々しいって言ってるから新人ならではの勢いがあるんだな笑笑

      2022/09/09
    • ひまわりめろんさん
      そういやみんみん朝井まかてさん好きじゃなかった?
      まかてさんを信じて読んでみてもいいかも
      そういやみんみん朝井まかてさん好きじゃなかった?
      まかてさんを信じて読んでみてもいいかも
      2022/09/09
    • みんみんさん
      まかてさん好き‼︎
      15冊載せてたね。
      ブグログ前のはレビューしてないから
      ☆くらいはつけたいなぁ(*´ω`*)
      まかてさん好き‼︎
      15冊載せてたね。
      ブグログ前のはレビューしてないから
      ☆くらいはつけたいなぁ(*´ω`*)
      2022/09/09
  • 『レペゼン母』を読んで♪

    オレが真っ先にしたこと♪

    それは♪

    オカンにTELして♪

    ラップバトルを仕掛けたこと♪

    オレのバイブスとパンチラインで攻めた♪

    そしたら、オカンもアンサーを返してきた♪

    はい、もちろん全部ウソですよ…w(^.^;
    私、ラップとか一切できません…
    韻も踏めないし…

    けど、本作を読んで母親、子どものことは考えましたよ
    いや、考えさせられましたね!

    本作は親子でラップバトルというぶっ飛んだ設定ですが、いろいろと考えさせられる作品になってますね♫

  • とても良かった、読んで良かった。
    すごく面白いのに、すごく胸に刺さった。
    お母さんは、子供がいくつになろうとも自分はお母さんなわけで、子供がどんなんでも自分の大切な子供なんだって再認識させられます。
    ただ、“適度”が難しい。
    読んでいて、自分の子供が生まれた時のことを鮮明に思い出しました。
    あの時は、「どんなことがあろうとも、私だけはこの子の味方でいる。この子の笑顔を守るんだ」
    そう心に決めたはずなのに、この本を読み終わって今思うのは、
    “あの時、どうしてもっと話を聞いてあげなかったのかな”
    “なんであんな事で、あんなに怒ってしまったのかな”
    “笑顔にするどころか、泣き顔にさせてばかりだったな”
    後悔ばかりですね、自分だけ頑張ってるつもりになって、思い通りににいかないと怒ってるだけだったんじゃないかな…って。

    すみません長々と自分の振り返りと反省をしてしまいましたが、面白い本でした(*´꒳`*)
    親子でラップバトルで本音をぶつけ合う、というなかなかないシチュエーションですが、不思議とラップに違和感は感じないんですよ。
    未知のラップバトルのうんちくや歴史が面白かったのもあるのですが、決められた拍数に自分の思いをセンス良く入れ込む。
    音の響き、無駄のない言葉選び、メッセージ性…
    どのパターンで仕掛けるか、アンサーするか…
    これって日本人にはとても馴染みありますよね、奥が深いんです、詠んでいるんです。
    主人公の明子(お母さん)はお喋りなおばちゃんなのですが、普段から芸人さんみたいにセンスの光るトークをしています、そこもおすすめポイントです。

    • あゆみりんさん
      松子さん、こんばんは、コメントありがとうございます♪
      私のレビューなんかに共感してくれて、ありがとうございます。
      私もいつも松子さんのレビュ...
      松子さん、こんばんは、コメントありがとうございます♪
      私のレビューなんかに共感してくれて、ありがとうございます。
      私もいつも松子さんのレビューを読ませていただいて、本当に丁寧で優しさに溢れていて眩しい方だと思っています。
      私も和山やまさん、読みますね(〃ω〃)
      2023/02/21
    • 松子さん
      あゆみりんさん、嬉しいお返事ありがとうございますっ(^^)
      あゆみりんさんの読みたい本たくさんあると思うので、和山さんはほんと無理なくです〜...
      あゆみりんさん、嬉しいお返事ありがとうございますっ(^^)
      あゆみりんさんの読みたい本たくさんあると思うので、和山さんはほんと無理なくです〜^_^
      2023/02/21
    • 1Q84O1さん
      あゆみりんさん
      必殺技「課題図書の割り込み!」を発動しましょうかw
      あゆみりんさん
      必殺技「課題図書の割り込み!」を発動しましょうかw
      2023/02/21

  • 思春期真っ只中の息子を持つ身の私には、主人公の明子さん(行方をくらましているだめな息子を一人で育てる母)の想いが痛いほどに伝わってきた。

     自分が生んだ「可愛らしい私の坊や」がだんだんと無愛想で得体の知れぬ生き物になる。親は、まだ子が幼い頃、親子の絆があった時のことを頭に思い描いたりして、あまりに落ち込んだときにたまにそれを引っ張り出して心の拠り所にしたりなんかして…。実際今の私のスマホの待ち受けは、子供が幼かった頃に親子でぎゅっと抱きしめ合っているとってもかわいい写真だ。現在の子供の写真なんて見たくもない。

    感情移入しすぎていつの間にか本の感想から自分の事に話が逸れてしまった…

    物語の主人公明子さんは旦那さんを病気で早くに亡くし、女手一つで息子、雄大を育てる。旦那さんから受け継いだ梅農園を経営している。息子がラップバトルに出ると知り、母親は、ラップでステージ上で対峙して、何とか自分の言葉を息子に聞いてもらおうと画策する。
    ラップバトルは相手の言葉を一語一句よく聞かないと上手く応戦することができない。その性質を使おうというのだ。なかなか本心を言い合えない親子でバトルするには望ましいのだ。

    人をディスるラップのセリフは、時に柄が悪かったり不愉快だったりするが、母が息子に伝えたい言葉や、積もり積もった痛々しい想いも、ラップに乗せて韻を踏めば、潔さが加わりポップになる。

    正直、息子から母への心の声はあまり書かれていないしよくわからなかったが、母から息子への気持ち…不甲斐なさや、愛おしさ、怒りや心配、いろんなものが混ざりながらも、その根本には核となるものがあり、それに上乗せされる気持ちが移り変わっていく様子がよく伝わってきた。

    心に残った文章
    …このどうしようもない状態を、雄大となら分かち合えると思っていたのに。だけどもっと恐れていたことは、この眼が、明子という存在をまるで映さなくなることだ。…

    ラップは、やっぱりあまり好きにはなれないけれど、この本でラップについて少し知れたこと、そしてただの重い親子関係の話ではなく、ラップを含んで楽しくこの話を読めたことが、良かったと感じた。

  • ラップバトルをテーマにした本作でありますが、文章のテンポが良くするりと読めるうえ、ジーンとくる場面もあり、非常に面白く心温まる作品だったと思います。

    主人公は60代のおばちゃんで、義理の娘の影響でラップバトルを学ぶことになり、偶然が重なって大会に出場みたいなストーリー。

    場違いなおばちゃんが、ラップバトルで頭角を表すという展開は、よくある学校のいじめられっ子が実は強い的な展開に近いものがあって、感覚的には馴染みがあり爽快感がありました。

    またラップバトルの本質である本音でのコミュニケーションを、家族愛という形に昇華させたことで、題材は奇抜だけど、ストーリーとしては王道の家族愛に関する作品になったような印象を受けました。

  • 梅農家を経営する64歳シングルマザー明子と、35歳離婚歴複数回で逮捕歴ありの息子雄大。
    雄大が家を出ていって数年間会っていなかった二人がラップバトルで対決することになるって、どんな設定?と思ったけど、途中何度も笑ってしまったり、後半はうるっときたり…と、すっかり夢中になって読んだ。
    明子さんがまさに「おかん」という感じの人で親しみやすく魅力的。ちょっと困った子を育てたことがある人だと更に共感しやすいかも。
    ラップのリズムに即興で言葉をのせていくと、普段言えないことも言えてしまうのだろうか。
    ちょっとやってみようかなと思ったけど…やっぱり無理。

  •  梅農家を営む明子の悩みの種はバカ息子の雄大。2度の離婚に借金まみれ。音信不通になったと思いきや、挙句に大麻で捕まった雄大。いつも話していても分かり合えないと感じてきた息子。

     そんな雄大がラップバトルに出場すると聞いて本音をぶつけ合うのはここだ!と思った明子はバトルに出場することに。

     そこで、前代未聞の親子ラップバトルが繰り広げられる。

     親子って難しいもので、言いたいことを曲げて言ってしまったり、自分の考えを押し付けてしまったり。遠慮がない分タチが悪く、そのズレはなかなか解消できなかったりする。

     この物語は、そういう不器用な親子の在り方を伝え、一つの答えを導き出してくれている。

     親子に関係なく、いつも本当の気持ちを伝えられる人間でいたいものです。

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著者プロフィール

宇野 碧(うの・あおい)
1983年神戸生まれ。大阪外国語大学外国語学部卒。放浪生活を経て、現在は和歌山県在住。2022年、本作で第16回小説現代長編新人賞を受賞しデビュー。旅、本、食を愛する。


「2022年 『レペゼン母』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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