クジラの進化 (講談社の創作絵本)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (40ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065284223

作品紹介・あらすじ

体重160トンにも達するシロナガスクジラや、1000メートルもの深みにもぐることができるマッコウクジラ。

陸から海へ生活場所をうつしたクジラたちは、気が遠くなるような時間をかけて体を作り変え、世界中の海で暮らすようになりました。

4本足で歩いていた「パキケタス」、「歩くクジラ」の名前をもつ「アンブロケタス」、巨大な爬虫類のような「バシロサウルス」……だれも見たことがない絶滅したクジラたちが臨場感ある絵で甦ります!

5000万年にもわたるクジラの進化を目撃しましょう。

*生物の系統樹デザインの第一人者、坂野徹氏による、鯨類の進化の過程がイメージでつかめる系統樹も掲載!


<いまぼくたちの目の前に生きている生き物たちが見せる姿かたちやくらしぶりは、何億年という長い期間のなかで偶然に起こった限りない数の、そのひとつずつはほんとうに小さな変化の積み重ねによってできてきたものです。

もし、地球上で生物が死にたえたあと、もう1度芽生えた生命から進化がはじまったとしても、あるいは地球と同じような環境をもつ惑星のうえで命が芽生え、進化をはじめたとしても、二度と同じ道筋で進化が繰りかえされることはありません。

それは1億回、1兆回サイコロを振って、1億回、1兆回とも同じ目が出つづけることがありえないのと同じです。

限りない数の偶然の積み重ねが「奇跡」という言葉で表現できるなら、ぼくたちがいまの姿で、クジラたちがいまのクジラたちの姿で、この地球上にくらしていることのすべてが、奇跡といえるものです。

さらに40億年におよぶ進化の歴史のなかで、最大の動物であるシロナガスクジラが生きている時代に、ぼくたちが生きていることは、それ以上の奇跡といえるでしょう。

地球上に生きるひとつひとつの命、ぼくたちが生きる一瞬一瞬、そのすべてがかけがえのないものです。それは、そのそれぞれが二つとして同じものがなく、二度と繰りかえされることがないからなのです。

その事実こそ、クジラをはじめいま地球の上で生きる生き物たちの姿からぼくたちが学ぶべきものなのです。> 

ーー水口博也(あとがきより)

感想・レビュー・書評

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  • 進化という奇跡を目で楽しむ。
    パキケタス:初期のクジラ,4本足
    ヒゲクジラ:歯の退化,魚群を効率良く食べる
    ハクジラ:エコロケーション能力を持つ。
    (超音波)

  • クジラがどういう進化をしたか、ダイナミックで精密な絵でわかりやすく説明。
    太古からの大変化に、ロマンを感じる。

    大昔、陸上に住んでいた哺乳類で海で暮らし始めた動物たち。それが今の鯨に進化した。

    5000万年前にパキケタスが浅瀬で過ごし始める。
    干潟や川辺は生き物が豊かに棲息する。

    アンブロケタスは「歩くクジラ」を意味する名前で、ワニのように地上も歩き、水かきでたくさん泳げた。

    パキケタスが生きた時代から1000万年後、バシロサウルスのような巨大なクジラが誕生した。

  • ○クジラの系統樹がわかりやすい
    ○迫力あるイラスト
    ○古代生物

    ・クジラ
     祖先は陸上に住んでいた
    ・6600年前恐竜が姿を消す
     哺乳類の進出
    ・5000万年前
     パキケタス…ケタスはクジラの意味
           耳の骨がクジラと共通した特徴
     アンブロケタス…歩くクジラの意味
    ・4000万年前
     バシロサウルス…巨大なとかげ、ムカシクジラグループ
             実はクジラの仲間
     ←体は流線型。上下に水をける尾びれ
      鼻の位置が頭の上に
    ・2500万年前
     エチオケタス…ヒゲクジラグループ
     ←ヒゲ板:小生物を食するのに便利
    ・1500万年前
     スクアロドン…エコロケーション、ハクジラグループ
    ・1000万年前
     メガロドン…巨大サメ
     リビアタン…巨大ハクジラ
    ・現代
     マッコウクジラ…最大のハクジラ
     シロナガスクジラ…最大のナガスクジラ

    ◎二度と繰り返すことの無い『生き物の進化』という奇跡

  • 一億年前の恐竜絶滅から、5千年前のクジラの祖先の誕生。そしてクジラの進化の歴史を美しくも迫力あるイラストの数々と、簡潔な解説でたどる絵本です。

    本の中の好きな絵は、クジラがエサを食べている場面。ここの迫力がすごい!
    クジラってその巨体さゆえかなんとなくのんびりしているイメージがあったのだけど、2500年前から1500年前のクジラの祖先たちは牙があったそうです。
    その牙をのぞかせて、獲物に今にも喰らいつかんとする絵は、生き物の野生を感じさせ、ついつい見入ってしまいました。

    一方での現在のクジラが海水ごと大量のオキアミという小さな甲殻類を食べている場面も、先の祖先の絵とはまた違った迫力があります。くじらの巨体さ、そして生物の雄大さをまじまじと感じ入ります。

    最新の研究結果が反映されているという、絵本の中の解説内容なのですが、こちらも興味深かった。特に耳にある共通点から、現在のクジラとその祖先となる生物の関係性を解き明かしたり、海に生存圏を移していく中で鼻の位置が変化していったりと、生物の進化の面白さというものを改めて感じます。

    イラストも内容もとてもステキで、子どもも大人も楽しめる一冊だったと思います。

    ブクログの献本企画でいただきましたが、普段なかなか手に取らない絵本のジャンルを発掘でき、普段とまた違った読書体験ができました。

  • クジラの進化の過程を恐竜の時代までさかのぼって教えてくれる。大判の絵本の利点を生かして迫力がある。

  • クジラの系譜をたどる。過去や現代においてのクジラがどのような進化をして、今の姿になったのか本格的に学べる絵本です。一番驚いたのが、進化系統樹や鯨の姿の変遷が絵本でありながらしっかりしているところ。そしてなんといっても小田隆さんの迫力があるクジラの絵でしょう。クジラの捕食シーンを再現した絵は圧巻で、読む手が止まりました。水口さんや木村さんの文・監修ももちろん素晴らしく、クジラに関してタッグを組むべき最高の方々だなあと強く思いました。

  • 今があるのは奇跡ですね!

  • 水族館では見れない巨大イルカの奇跡の進化を教えてくれる絵本。

    プレゼントでいただきました。子供が水族館が大好きなのと、表紙のイラストで、ダイナミックな巨大クジラと共に描かれた不思議な四足歩行の生き物に、自分が惹かれて申し込みをさせていただきました。当選して嬉しかったです!

    小学校中学年レベルの漢字が出てくるため、低学年ですとある程度読み聞かせてあげる必要があるかもしれませ。とはいえ絵本であり、文字数はそれほど多く無いので、2年生の子供は、なんとか一人で読めていました。

    クジラの祖先となる四足歩行の哺乳類から、現代を生きるシロナガスクジラまでの進化を紹介してくれます。

    図鑑と違って、終始説明口調ではなく、クジラの登場シーンにストーリーがあるのが良いです。

    まず、ページを開くと、ダイナミックに大きく描かれたクジラの祖先や、クジラたちの絵と共に、暮らしぶりなどがストーリ調で語られています。

    子供が引き込まれたところで、やさしくわかりやすい言葉で解説が入ります。子供もスッと読めるようです。そのような構成で、クジラの進化の様子が5000万年前〜現代まで丁寧に綴られています。

    進化の道筋だけでなく途中、地上に生きる哺乳類とクジラの骨格の比較や、魚竜と哺乳類であるクジラの泳ぎ方の違いなど、面白い豆知識も入っていて、最後まで飽きずに読めるように、考えられているな〜と感じました。おかげさまで我が家の子供も最後まで自分で読み切れました!

    絵本なのにすごい情報量で、それをきちんと読ませるように工夫されている、すごい本だな〜と感じました。

    絵本ですが、もちろん大人も楽しめます。クジラの顎の下のしましまの正体とか、どうやって哺乳類が海に住むようになったのかなどなど。子供と楽しく学ぶことができました。

    そして、何より、絵本ならではの魅力、イラストが迫力満点でいいですね〜。ただ横向きで描かれたクジラの絵がズラーっと並んでいるのではなく、魚を捕らえようとこちらへ向かってくる迫力のあるシーンや、深海でマッコウクジラがダイオウイカを探して、垂直に泳いでくるシーン、想像力を描き立てられるイラストがたくさんあり見ているだけでワクワクします。

    堪能し尽くして最後、水口博也さんのあとがきにも、ジーンときました…。

    自分が図書館で働く司書さんだったら、絶対買っておいておきたいな〜と思う良書だと思います。(現在働いてはいませんが、資格持ちです)

    多くの人に読んでもらえるといいな〜と思います。

    素敵な本を、どうもありがとうございました!

  • booklog さまより
    絵本なので大人から子供まで簡単に読める
    と言うか絵本自体が何年振り?

    いままで全然知らなかった鯨の進化。。。
    歯鯨&髭鯨 の違いしか知らなかった自分。
    これは面白い、大人の人も是非読んでみてください。
    楽しめます。。。

  • 感想
    目の前に広がる奇跡。サイコロが振られた結果ではなく、遺伝子が自らの生存を確保しるという目的を達成しようとした結果出現した素晴らしい贈り物。

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著者プロフィール

1953年、大阪生まれ。1978年、京都大学理学部動物学科を卒業後、出版社にて自然科学系の書籍、雑誌の編集に従事。1984年に独立し、写真家、作家として世界各地で海生哺乳類を中心に調査、撮影し、生態のレポートを行う。研究者との交流も多い。この十数年は、野生動物への影響を考慮しながら撮影を続けると同時に、地球環境の変化を追い極地への取材も多く行う。近年は、自身の活動が環境に与える影響も視野に、身のまわりの自然に視点を移している。
主な著書に、『オルカ――海の王シャチと風の物語』(早川書房)、『オルカ アゲイン』(風樹社、講談社出版文化賞写真集賞受賞)、『マッコウの歌――しろいおおきなともだち』(小学館、日本絵本大賞受賞)、『世界で一番美しい ペンギン図鑑』『世界で一番美しい シャチ図鑑』『世界で一番美しい クラゲ図鑑』(誠文堂新光社)、『黄昏』『世界で一番美しい アシカ・アザラシ図鑑』(創元社)、『南極ダイアリー』『クジラの進化』(講談社)ほか多数。

「2023年 『世界アシカ・アザラシ観察記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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