カトリと眠れる石の街

著者 :
  • 講談社
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感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065284360

作品紹介・あらすじ

第62回講談社児童文学新人賞佳作受賞作、待望の書籍化。
(佳作受賞作『カトリとまどろむ石の海』を改題、出版)

●主な内容
舞台は19世紀後半のイギリスの都市、エディンバラ。
街の中に蔓延する眠り病の原因が、自分が住んでいる旧市街の中にあるのではとリズに指摘されたカトリは、ふたりで眠り病の原因をつきとめに行く。街の歴史を紐解き、眠り病が発生するタイミングを分析していくふたり。
そのうち、街が隠している「大きな秘密」がわかってきて……。

感想・レビュー・書評

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  •  第62回講談社児童文学新人賞佳作受賞作(佳作受賞作『カトリとまどろむ石の海』を改題、出版)。…らしいです。と、いうか、いきなりどうして児童文学かというと、この作品の装画が、まくらくらまさんだからです!!

     物語の舞台は19世紀後半、イギリスのエディンバラ…。金物屋のカトリ(カトリオナ・マクラウド)13歳と、裕福な家の出のリズ(エリザベス・オールデン)14歳の2人の女の子が活躍します。ふたりは、エディンバラの街で蔓延する原因不明の眠り病について、患者の発症時期や街の歴史など明らかにすることで核心に迫っていくのだが…。

     ふたりの女の子のキャラが対照的でありながら、それぞれとっても魅力的なんです!特にカトリは、表紙に描かれているように、スカートだけれど上着は男物のジャケットという装いでなんとも個性的ですよね♪えっ?そんなことしちゃう?というようなことも、ふたりだからできちゃう!ふたりの成長が感じられるのもいいところで、結構ハマりました。まくらくらまさんの装画(作品内のイラスト)も表紙のようにカラーならなぁ…と思ってしまいましたが、でもいつもとは違う読書経験ができました。続編、もちろん読みますっ(*^^)v

  • 講談社児童文学新人賞佳作受賞作だが、子供だけでなく大人も充分楽しめる。『博物館の少女』を思わせるミステリーファンタジーだった。
    19世紀後半のスコットランドの都市、エディンバラ。カトリは、街の中に蔓延する眠り病の原因が自分が住んでいる旧市街の中にあるのではと、新市街地に住むリズに指摘される。ふたりで眠り病の原因をつきとめようと動き始める。患者が発生するタイミングを調べ、街の歴史を紐解きながら眠り病の原因を探しもとめる。そのうち、旧市街が隠している「大きな秘密」がわかって来た。オチにもうひと練り欲しかったような気もするが、
    対照的なリズとカトリは絶妙なコンビだった。

  • 19世紀後半のエディンバラ。
    旧市街では、やたらと眠り続け、起きても魂が抜けたようになる〈眠り病〉が流行り始めて……。

    第62回講談社児童文学新人賞佳作受賞作の改題。

    論理や事実を組み合わせて物事をとらえる、リズ。
    頭の回転が速い、カトリ。

    大人の注意や妨害にめげず、行動に移してしまうふたりの、冒険譚。

    眠り病の謎が興味を引くし、展開が早く、テンポがよかった。

    エディンバラの街を描く方にやや比重がある気がした。

  • なかなか物語に入り込めず、読むのに時間がかかりました。
    主人公はカトリという女の子。彼女の住むエディンバラで謎の眠り病が流行する。カトリはリズという女の子と、その病気の原因を突き止めようとする。2人の話し言葉が不自然すぎてイマイチ楽しめませんでしたが、終盤に近づいて真相が見えてくると、やっと面白くなってきました。
    でも、読むのに疲れちゃったな。

  • リズとカトリのコンビがなかなかいい感じで、ふたりに引っ張られて話もテンポよく展開する。
    ……のだけど、お嬢様のリズの話し方、やはり少し不自然に感じてしまう。わたしが保守的なのかな。むずかしいところ。

    地図を描いて原因を突き止めようとするあたりは、ロンドンのコレラを題材にした『ブロード街の12日間』を思い出していたのだけど、結末は驚きのオチだった。リアルな物語の雰囲気をずっと出していたからこのあたりちょっととまどうかも。

    それにしても、外国を舞台にしながらまったく破綻なく物語を進めていくのはすごいと思った。

  • 【あらすじ】
    舞台は19世紀後半のイギリスの都市、エディンバラ。街の中に蔓延する眠り病の原因が、自分が住んでいる旧市街の中にあるのではとリズに指摘されたカトリは、ふたりで眠り病の原因をつきとめに行く。街の歴史を紐解き、眠り病が発生するタイミングを分析していくふたり。そのうち、街が隠している「大きな秘密」がわかってきて……。

    ・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

    児童書らしい、女の子2人の冒険譚です。最近、ビジネス書や現代モノの物語を読んでばかりだったので、こういう感じの物語はすごく新鮮に感じました。少しずつパズルのピースが集まっていく感覚がワクワクできてよかったです。

  • 良かった点…エディンバラの風景がイキイキ描かれていたところ。現状に不満はないものの、今日と変わりのない明日を迎えると信じていたカトリがリズの言葉から「知らないことを知らないままだと喉が渇くような」感覚を知り、違う人生を見つけるという児童向け作品にとって素晴らしい指針を出したこと。カトリの友達ジェイクとギクシャクするシーンがリアルなギシギシする感情を感じられたこと。リズの容姿の描写が好きというところ。ウィーグラフの人生と「壊れてしまった」人間のセリフの震えるようなかっこよさ。
    個人的にうーんと思った点…カトリよりリズやウィーグラフの方がかなり魅力的に見えてしまい、リズ主人公の話が読みたいと思ってしまったこと。冒険せず誰かと会話してるだけで話が進むように見えてしまったこと。話のジャンルとしてはファンタジーだろうなあと思ってはいたけれど、ファンタジーぽさが強く出てくるのが眠り病とマナドッグのあたりだけで微妙なちぐはぐさを感じてしまったこと(ファンタジーならファンタジーぽさをもっと最初にいくつか提示してほしかったというか)。リズと出会い話が始まるのが遅く感じたこと。今のタイトルよりも改題前の「カトリとまどろむ石の海」の方が好きなところ。
    舞台設定とキャラの設定はかなり好きで、物語がそれについてこなかったような勿体なさを感じてしまいました。リズの学校の話ももっと読みたかったし。でも、学ぶこと知ることの素晴らしさを全力で語ってくれる児童文学ってちょっと嬉しいな。
    続編!出るんだ!嬉しい!

  • 表紙の絵のドキドキ感を裏切らない、痛快歴史YA。
    主人公のカトリがとても魅力的だった。
    周囲の人との関わりもいいんだなぁ…。
    エディンバラを侵食する眠り病に立ち向かう庶民のカトリと裕福な家のリズ。
    二人の少女の調査法が、ありがちな偶然の連続でなく、理に適っているのも良かった。
    カトリと養母の会話は泣いちゃったな…。
    シリーズになって欲しい!

  • カトリの住んでいる街に眠り病みたいのが流行って、それを友だちと解決する話だった。ホラーではないけど、全体的にこわい感じ。
    最初は、病の原因は、ようかいみたいなものかと思った。でも、実際は宇宙人と人間で、びっくりしたし、おもしろかった。ただ、そんな宇宙人が本当にいたら、こわい。
    ぶたいは、エディンバラ。グラスゴーも近い。ぼくは、この辺りはこわいからあまり行きたくない。いろんな国に民話とか神話とかがあって、そういうのを元にした物語がたくさんあるけど、このお話は意外なことばかりで驚いてばかりだった。作者の人は、よくこういうことを思いつくなーと思った。
    一緒に事件を解決するリズの家の御者のビルが好きだった。素直で、力が強くてかっこいい。
    神話とか歴史とかが好きな人に、おすすめ。(小6)

  • 著者のデビュー作。舞台は19世紀のエディンバラ。治療法も原因もわからない謎の病気を追って、普通なら知り合うことのなかっただろう、2人の少女が真相に近づいていく。合理的に考える裕福な家庭のリズと、行動力と地理を知り尽くした金物店の養女カトリは、ときに環境の違いからぶつかりながらも認め合っていく。真相は、ビックリ‼️な感じだが、ラストはハッピーエンド。
    カトリは、自分を縛っていたのは自分だと気づき、新たな世界に踏み出す。恵まれた環境でなくても、未来に希望を抱くことはできると、これから道を選ぶ子どもたちにエールを送る一冊かも。

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著者プロフィール

1992年生まれ。千葉県出身。一橋大学社会学部卒業。エディンバラ大学国際関係専攻修士課程修了。「カトリとまどろむ石の海」で第62回講談社児童文学新人賞佳作に入選。改題・改稿した本作がデビュー作となる。


「2022年 『カトリと眠れる石の街』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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