おにのまつり

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 77
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065284735

作品紹介・あらすじ

毎年8月に岡山で行われる、よさこいの一種「うらじゃ」。コーチ役として地域の踊り連への参加を頼まれた中3の由良あさひは、学校では関わることのなかった“問題児”ばかりの4人の同級生と出会う。踊りの練習を重ね、温羅(うら)伝説について知るうち、5人は少しずつ理解し合い、それぞれの抱えるトラウマを乗り越えていく--。

あさのあつこ氏、推薦コメント
うらじゃの熱気と五つの若い魂の熱がぴたりと重なり、読みながら心が震えっぱなしでした。
夏が始まる。うらじゃが始まる。熱い物語が幕を開ける。

小学上級・中学から

感想・レビュー・書評

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  • 岡山県で行われるうらじゃ祭り。桃太郎伝説のもとになった温羅という鬼の魂を天上に還す祭り。ある中学の内申点低めの生徒の救済措置のため作られたうらじゃプロジェクト。内心点に若干問題のある生徒4人が集められた。ごく普通に中学生活をおくるあさひがなぜか、うらじゃの経験があるというだけでうらじゃプロに召集されリーダをまかされた。うらじゃ祭りが大好きだった兄の死に蓋をし、自分の感情を殺し親とすれ違い自分を欺いてきたあさひ。うらじゃプロに集められた4人の仲間たちと何もかも忘れ一心不乱におどるあさひに涙がとまらなかった。あさひを除く4人ともそれぞれに悩みとか問題を抱えていてうらじゃプロジェクトに関わるうちにお互いに仲間として認めあえる関係になってゆく。実際はそんなにうまくいくものではないということは分かっているのだが、温羅にまつわる話とうまく融合させ、そうじゃ祭りに来ている観衆も巻き込み、みんなで総踊りを踊る。誰の心の中にだって、鬼がいる。何もかも忘れて、悲しみも怒りも全部、踊りに乗せて天に還せ。泣けばいい、怒ればいい、いい子じゃなくてもいい、鬼も人も。最後は感動しかなかった。

  • 久しぶりの児童書♪最後は涙涙涙でしたが、良かったー♪うらじゃ踊りは、小学校の運動会でよくみかけましたが、こんな物語があるとは。
    読みながら、頭の中でうらじゃの歌が流れ続けて、読後は踊りたくなりました^ ^
    登場人物達のその後が、すっごくきになります。みんな幸せになっていてほしいなー。

  • おにのまつり、うらじゃ。岡山といえば桃太郎だよね。章も桃、雉、猿、犬だもんなぁ。
    誰の心にだって鬼がいる。それでもみんな生きている。鬼は悪いもの、じゃなくて、うまく付き合っていくものなのかもなぁ。
    最後の総踊り、あさひが気持ちを言えたところ、ウルッときた。お母さんからの「大丈夫じゃなくて大丈夫」がまた…。大丈夫かって聞かれて大丈夫じゃないっていうの、勇気もいるし、大丈夫って言えば自分に言い聞かせられる気がするもんな。気持ちを殺すんじゃなくて吐き出す勇気も大切なんだな。

  • [NDC] 913.6[情報入手先] 自校図書館[テーマ] フリーテーマ 
    岡山県出身の作家さんです。
    今回は『うらじゃ』がテーマです。
    小中高生向けの小説なので、一気に読むことができます。
    ひょんなことから集められた5人。
    中学生のひと夏を描いています。
    そこかしこに、岡山の風景や、名物などが描写されていて
    読んでいる生徒にとって、より身近に感じる小説かもしれません。
    おすすめです!

  • 児童書。
    「うらじゃ」という岡山に伝わる鬼の踊りのお祭り。
    中学校から参加することになった五人が、それぞれの心の中の鬼と向き合う姿に成長を感じた。
    先生に言われて仕方なしに始めたバラバラの五人が、お互いを認め合い仲間になっていくところもいい。

  • 2022 

    「うらじゃ」とは
    「吉備津彦命=桃太郎」と
    「温羅=鬼神」との戦いを描いたこの伝説から生れた

    毎年8月の第一土曜と日曜に岡山市中心部で開催されている”うらじゃ”。「踊り」を軸として開催されるこの祭りは、市民自らが中心となりそのほとんどをボランティアスタッフが運営する岡山の地域・文化・歴史に根ざしたストーリー性のある市民参加型の祭りとして、年々その規模を拡大し、県内はおろか県外からも毎年多くの踊り子が参加する祭りとして岡山のまちに定着しています。

    https://uraja.jp/  より

    由良あすか
    犬飼タケル
    玉留絢子たまどめけんこ
    芹沢桃香せりざわももか
    森山楽々もりやまらら

    英語の河野先生により田浜中うらじゃプロジェクトに招集される
    それぞれ、学校生活になにかプラスしないと卒業できないと思われる

    あすかの兄は、うらじゃサークルの会長だったが、事故で亡くなってしまう
    うらじゃを楽しみにしていた兄がいなくなり、母は、あさひも生活が一変する

    そんなときに、河野先生からうらじゃのコーチに任命されるあさひ

    メンバーはそれぞれ問題を抱えている4人
    タケルは幼なじみではあったが、スケート選手として活躍中
    桃香は女優の娘らしく華やかな容姿だが、なぜかこの岡山の祖母のところで暮らしている
    絢子はまじめな女子だったが、試験のカンニング事件で保健室登校に
    楽々はいつもお腹がすいていて、特に空腹のときにはけんかっぱやくなる

    「岡山の吉備地方には、古くから伝わる「温羅伝説」というものがあり、それが現在の桃太郎伝説のもとになったといわれています。「温羅」という鬼の魂を天上に還すために、温羅化粧といわれる鬼に扮する独特のフェイスペイント、威勢のいい掛け声と共に、群舞をしながら岡山の街を練り歩きます。」
    https://www.cj-atelier.com/?p=1626 より

    四人がお互いにちょっとずつ弱みをさらけ出し、自分もその弱みと向き合うことで、自分の中の温羅=鬼と向き合い、成長していく話

    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%86%E3%82%89%E3%81%98%E3%82%83

  • うらじゃ(うら=温羅=桃太郎に出てくる鬼)を通して岡山の中学3年の訳アリメンバーが、歴史や過去に縛られていた日々から、前を見て生きる物語。

    主人公の亡き兄は、魂が揺さぶられるようなうらじゃの踊り子だった。
    心に蓋をしてきたけど、やっと素直になれた。
    保健室登校の絢子(けんこ)
    芸能人の親をもつ容姿端麗な桃香
    親に捨てられ祖母と異父弟のいる楽楽(らら)
    スケートの壁にぶつかりもがくタケル

  • これもオムニバス的な構成。おにいが亡くなるところからスタートし、普通じゃない、辛いことを抱えた中学生の話。良い話だが、良い話にするには何か辛いことを入れないとだめなのか。

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著者プロフィール

岡山県生まれ。京都大学総合人間学部卒業、京都大学大学院人間・環境学研究科修士課程修了。第13回角川ビーンズ小説大賞にて審査員特別賞、第9回集英社みらい文庫大賞にて大賞受賞。おもな作品に、『おにのまつり』(講談社)、『ノベルダムと本の虫』(角川書店)、「花仙国伝」シリーズ(角川ビーンズ文庫)、「悪魔のパズル」シリーズ(集英社みらい文庫)、「毒舌執事とシンデレラ」シリーズ(講談社青い鳥文庫)などがある。

「2023年 『セントエルモの光 久閑野高校天文部の、春と夏』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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