署長シンドローム

著者 :
  • 講談社
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感想 : 90
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065297803

作品紹介・あらすじ

『隠蔽捜査』でおなじみ竜崎伸也が大森署を去った後、さっそうとあらわれた新署長・藍本小百合が、凶悪事件を解決する!

感想・レビュー・書評

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  • 「隠蔽捜査シリーズ」のスピンオフ作品。竜崎署長が異動した後の貝沼副署長からの目線で書かれている。
    新署長は誰もが認める絶世の美女で、その上に天然なのか言動が普通の警察官僚と大きく違う。新署長目当てで警視庁含め色んな人達が所長詣に訪れる。そのやり取りが竜崎署長の主人公時代と違ってコメディーになっている。
    今回の事件は外国人達の違法取引。戸高の活躍は本編と同じだが、新キャラクターの山田が加わる。この二人だけが新署長に免疫があるのが不思議。事件は重大な局面を迎えるのだが、新署長のキャラクターで深刻にならない。全て計算かと思わせるほどスムーズに解決する。テンポも含め賛否が分かれる展開のスピンオフだった。

  • というわけであの『隠蔽捜査』シリーズの竜崎が去った後の大森署を描いたスピンオフ
    主人公はあの心配性の貝沼副署長です!!

    え?公式には違うって?
    新たに赴任してきた超絶美貌の女性署長?

    知るか!

    主人公ってのはなぁ
    読む側が決めるもんや!(違う)
    ガガーリンもそう言ってるわ!(ガガーリン誰かもよくわかってない)

    それにしても貝沼副署長もまだまだだなぁ
    藍本署長は結局竜崎と同じだってことに気付かないかな〜
    原理原則に則ってシンプル物事を考えて即断即決
    部下をとことん信頼する

    警視庁幹部たちが大森署詣でするほどの美貌とほんわかする物言いに惑わされてるけど
    芯は全く一緒です
    ま、原理原則の中身が少し違う気もするけどw

    そして竜崎同様に、もう好き
    ぜひぜひシリーズ化してほしいなぁ…

    貝沼副署長シリーズ

    • ひまわりめろんさん
      キャサリン→イギリスの王族。ウェールズ公ウィリアム皇太子の妃。敬称は殿下。旧名は、キャサリン・エリザベス・ミドルトン。
      キャサリン→イギリスの王族。ウェールズ公ウィリアム皇太子の妃。敬称は殿下。旧名は、キャサリン・エリザベス・ミドルトン。
      2023/04/27
    • 1Q84O1さん
      グリセリン!
      ペニシリン!
      グレムリン!
      お口クチュクチュ、モンダミン!
      グリセリン!
      ペニシリン!
      グレムリン!
      お口クチュクチュ、モンダミン!
      2023/04/27
    • 1Q84O1さん
      モンダミン!?
      リンじゃなかった…
      モンダミン!?
      リンじゃなかった…
      2023/04/27
  •  警視庁大森署に新署長が着任した。藍本小百合。先任の竜崎と同じくキャリアの藍本署長だが、副署長の貝沼悦郎は戸惑いを隠せない。その理由とは……。

     才色兼備の極みとも言える魅力を持つ藍本署長の活躍をコミカルに描く異色サスペンス。
     なお物語は副署長の貝沼悦郎の視点から描かれる。
              ◇
     朝の大森署。自席にいた貝沼副署長は斎藤警務課長から報告を受けた。
    第2方面本部長が午前10時に視察に来る旨の連絡をしてきたという。さらに午後には本部広報課長も相談事があって来るとのことだ。
     「またか」と思った貝沼は顰め面になるのを抑えられなかった。

     藍本署長着任以来、本庁のお偉いさん方が大森署を訪れることがやたらと増えた。 
     みな大した用件はない。電話で十分用が足りることばかりだ。なのにわざわざ大森くんだりまで出張ってきて藍本に面会を求めようとする。
     そのたびに対応に追われる身にもなって欲しいと思う貝沼だった。

     キャリアの藍本小百合は若くして所轄署署長に抜擢された。若いキャリアに対し、つまらぬプライドや妬みからひとこともの申さんとするうるさ方もいるのだが、藍本の前では誰もが無力と化す。藍本の美貌に心を鷲掴みにされた彼らは陶然としてしまい、何も言えなくなってしまうからだ。ましてや藍本推しの幹部連中は最初から鼻の下を伸ばし、もうデレデレだ。

     署長とお偉いさんの間で板挟みになる苦労はないのだが、毎日のように入れ替わり立ち替わり誰かが藍本署長に面会を申し込むため、同席することになる貝沼の負担はかなり大きいのだった。

     そんな藍本詣での対応がルーティン化していたある日、本部の組織犯罪対策部長の安西警視長が来署した。
     羽田沖で麻薬と銃器の密輸取引が行われるという確かな情報を入手したため、その対策本部を大森署に置きたいと安西は言うのだが……。(第1話) 全25話。

         * * * * *

     うん、おもしろい。今野敏さんの警察コメディ。『マル暴甘糟』シリーズに匹敵するおもしろさです。

     バリバリの男社会を隠そうともしない警察組織。なかでもギラギラした欲望がみなぎる幹部の男どもを悩殺していく藍本小百合がなんとも魅力的です。

     藍本の魅力の1つ目は、神々しいほどのオーラを放つ美貌です。
     藍本にまみえた人間は皆一様にその美貌に目を奪われ、呆けたように見惚れてしまいます。 ( 貝沼たち直属の部下は藍本の顔をまともに見ないように気をつけ、見るときは心にフィルターをかけるという技を習得しています。いちいち見惚れていては仕事にならないからです。)

     魅力の2つ目は、物腰の柔らかさと優雅さです。
     署長室のドアをノックすると中から聞こえる「はあい」という涼やかな返事。報告や相談には「あら」と合いの手を入れ、適切な指示を与えて静かに微笑む。ここがすごい。 ( 甘糟巡査部長の「わあ」や「ひゃあ」とはずいぶん違います )
     藍本署長は偉そうに命令するわけでも強引に我を通すわけでもないのに、部下はもちろん本庁の幹部や他署の警察官まで、気づけば藍本の意に沿う動きをしているのです。「この人の意を汲んであげたい」と思わせるムードを藍本は身に着けているようです。

     そして魅力の3つ目が、その能力の高さです。
     キャリア警察官のなかでも優秀な藍本が下す判断は、これ以上ないほど的確です。その的確さは藍本の合理性重視のスタンスから来ています。
     警察組織は形式や手順に拘るのですが、藍本は違います。急を要する事態の打開に形式や手順が障害になると判断すれば、敢えて無視して問題解決に当たります。
     この柔軟さは硬直した官僚思考を凌駕するもので、胸がすく思いです。( ただ、原理原則に拘る前任の竜崎とは真逆なので、竜崎のやり方に馴染んだ貝沼には戸惑うことが多かったようです。)

     また、合理主義と言っても藍本のスタンスには非情さや冷徹さはなく、誰もが不幸にならないような落とし所を考えるというシンプルなものです。そしてリスクはリスクとして受け止める覚悟も持っています。まさに理想の上司像を具現化したキャラクターとして、藍本は描かれているのです。

     美貌・物腰・知性。どれを取っても破格のレベルの藍本小百合。似たタイプに城塚翡翠が思い浮かびますが、あざとさがなく天然の魅力であるらしいのを考えると、軍配は藍本に上がるかも知れません。 ( 翡翠 + 真で互角になるかも……。)

     ともかく、藍本小百合の魅力の虜となりご尊顔を拝さずにはいられない小百合シンドロームに陥った警察幹部たち。
     そして、その立場も含め小百合姫をお守りせんとする、じいの如き貝沼。さらに茫洋とした新任刑事の山田太郎も加わって、今野敏警察コメディの新シリーズ( なんですよね?)、楽しみのひとことです!

  • 竜崎署長の後任の藍本署長はどんだけの美貌の持ち主なのか?
    興味深い^_^

  • 久しぶりの今野さんです!
    で、久しぶりに読んだ作品は新シリーズ!
    って言いながら、陰謀捜査のスピンオフなのかな?
    シリーズ化されるのかな?

    舞台は大森署
    前のあの署長がいなくなった大森署です
    そこの新しい署長・藍本小百合

    この署長がまた凄い!
    何が凄いって…!?

    美貌です٩(♡ε♡ )۶

    藍本署長を見るとその美貌とオーラに圧倒されて表情がふにゃあと弛むんです
    ふにゃあですよw
    この人のほほえみには誰もかなわない
    相手の抗議をあっさりと封じてしまう
    大森署はとてつもなく強力なリーサルウェポンを手に入れたんですw

    美貌という武器もさることながら、やっぱり一番の強みは原則原理に基づき、なおかつシンプルに物事を考えれるという点でしょう!

    前の署長と同じように( ̄ー ̄)ニヤリ

  • あらたなキャラクター登場、嬉しいです。署長の振る舞いはとても参考になりますね。是非ともシリーズ化してほしいです。
    副署長も大変ですが、いろいろと苦労しながらも署長をしっかりとサポートする姿に感銘を受けました。
    その他周囲の登場人物も個性豊かに描かれてて面白かったです。

  • 本格的な大森署新シリーズ第1弾!
    ニュータイプな警察モノのハジマリハジマリ♪
    美貌ということをここまで押し出してくる大胆な小説だけど男女を超越した美貌なので妬みや嫉みが全くなく、むしろ全体を柔らかく包むので良い効果しか出てこない。こういう職場は理想的だと思う。
    前半はほぼコメディかと思いたくなるほど藍本署長の美貌にやられまくっている警察幹部のグニャグニャっぷりに笑いが止まらない☆
    後半はちゃんと事件に取り組んでいるのだが署長の柔らかさに包み込まれて良い意味で緊張感が上がってこないのが面白かった。
    署長もただ美貌なだけではなく、物事をとてもシンプルに捉えて指示を出していく様は、前署長の竜崎を彷彿させる。そして部下を守る言動や責任の所在をはっきりさせる点などは1城の主人として素晴らしいと思う!
    また、今作の裏の主役は貝沼副署長だと思うが、馬渕と黒沢の嫌味の言い合いにゾクゾクするなんて性癖を知ってなんかこっちも身悶えしたぜ!!

  • 竜崎の後任・藍本小百合署長と大森署を、副署長の貝沼を通して描く。

    『隠蔽捜査』シリーズのスピンオフ的な内容。

    男性の誰もが緊張をほどき、気に入られようとし、協力してしまうという、抜きんでた美貌の藍本。
    藍本のほほえみひとつで、しがらみや無駄なライバル意識などに足を引っ張られず、彼女が指摘した通りに物事が進んでいく。

    貝沼は美貌の効果と言い続けるが、実際には藍本の本質が鍵。

    合理性のない悪習やメンツにこだわらず、ベストな方法を選んでいく。
    キャリアらしからぬ選択の仕方は、まさに竜崎そのもの。

    藍本のお願いは必ず通るというお約束に、軽いタッチで楽しめる作品。

  • 大好きな『隠蔽捜査』シリーズのスピンオフ的なお話。
    竜崎が去った大森署に新しくやってきた、女性キャリアの藍本署長。
    そこそこの美貌ではなく、男女だれもが魅せられる美しさ。

    藍本署長の、美しい外面だけでなく自分の中の原理原則に従って動く姿勢が、竜崎を思い出されて、読んでいて気持ちよかった。

    戸高も相変わらずで楽しめたし、貝沼副所長が竜崎に電話で褒められて喜んでいるのも、ふふふ、と笑ってしまいました。

    神奈川へ行った竜崎と並行して大森署のその後も、また読んでいきたい。

  • 『隠蔽捜査』でおなじみ竜崎伸也の後任に超美人キャリア、藍本小百合が配属された。美人署長に会いたいがために本庁や方面本部から幹部が頻繁にやって来る。
    そんな中で事件が起きる。
    それらを貝沼副署長の視点から語られる。

    面白いと言えば面白かったし笑えたり感心する処もある。
    これはシリーズ化するのだろうか?そこが一番の興味どころ。

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著者プロフィール

1955年北海道生まれ。上智大学在学中の78年に『怪物が街にやってくる』で問題小説新人賞を受賞。2006年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を、08年『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞。

「2023年 『脈動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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