最高の任務 (講談社文庫)

著者 :
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065302453

作品紹介・あらすじ

第162回芥川賞候補作の表題作と、傑作中篇「生き方の問題」を収録。

「手紙」と「日記」を通して、「書く」という行為の意味を問う――。
野間文芸新人賞受賞の気鋭による青春小説集! 

「最高の任務」
大学の卒業式を前にした私は、あるきっかけで、亡き叔母にもらって書き始めた、小学生の頃の日記帳をひもとく。日記を通して語られていく、叔母との記憶……。

「生き方の問題」
僕は、2歳年上の従姉に長い手紙を書き送る。幼い頃からの思慕と、一年前の久しぶりの再会について……。

感想・レビュー・書評

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  • 別の著書ですが、
    芥川賞候補になっていて著者を知りました。
    -------------------------
    日記の中のあなた。
    過去の中のあなた。
    いまは亡きあなた。
    今は亡きあなたと
    旅に出る方法。
    これは巡礼の物語。
    -------------------------
    装丁の本から星形をくり抜く絵も、
    帯も素敵で手に取りました。

    がしかし………!
    何度となく挫折しかけました。苦笑
    あれ、これ読めないかも、無理かもって。苦笑

    何とか読めた理由は、
    物語の中に登場する舞台が、
    栃木県足利市だったり、
    群馬県のぶんぶくちゃがまだったりするから。

    数年だけ住んでたことがあり、
    知っている土地だったからです。苦笑

    二編収録されていますが、
    一作目の「生き方の問題」

    いとこの女性へ宛てた手紙という文体です。
    一方的な独白文。

    読まれたくない読まれたいうジレンマのような気持ちのなかで爆発する自意識と執着心。

    性的な描写も登場しますが、
    これ著者興奮して書いてるんか、と思いたくなるほど。苦笑
    上手く説明できないですが、性的描写が生理的に気持ち悪くて読むのが辛かったです。苦笑

    ただただ気持ち悪くて、気味が悪くて、
    だけれど一生片思い的な
    重たい偏愛はわかる気がしつつも、
    結局わけわからない違和感が残りました。苦笑

    二作目は、「生き方の問題」

    これは、大好きだった叔母を喪った主人公が、
    大学の卒業式になぜか家族全員で出席し、
    行先のわからぬ旅に連れて行かれる話です。

    叔母からもらった日記に書かれている、
    叔母と過ごした日々を重ね合わせながら、
    巡礼ではないですが、
    自分の中の気持ちの整理と、
    弔いと昇華とがテーマなのかな、と。

    こちらの方が個人的には読後は良かったです。

    ただ、どちらも突っ込みたかったのは、
    女性という「性」が気持ち悪くて違和感しかなかった点です。

    登山(トレッキング)の途中で行為に及ぼうとしたり、
    特急列車内の隣の乗客に痴漢されたときの描写がありますが、
    女性が本当にそんなことするかよ、と。
    大多数は怖くて逃げだしたくなるし、そんな風に大胆にならないよ、エロ本かよ、と。

    男の人の幻想というか、都合が良いというか、嫌悪感しかなかったです。
    これが実は著者は女性でしたと言われたら心から謝罪しますが、男性にしか書けないんだろうな、こんな女の人像は、と思います。

    そして、男性は、女性はとか言いながら読みたい気持ちじゃなかったので、余計に嫌でした。苦笑

    そもそも群馬の観光名所(といっても、都会のようなきれいに舗装されていないような道)を、7センチヒール?の靴で普通に歩かせないでほしい。苦笑

    と、フィクションにリアルを求めるなと言われそうですが。苦笑

    とにかくすべてにバイアスと性と軽んじられてる感が強くて、挫折しかけました。苦笑

    だけど、何か理由があるはずと読み切った結果、これだけ長い言葉を書いてる自分はちょっと好きです。笑
    著書に登場するひとりよがりな主人公と一緒ですかね。苦笑

  • よくわからんかった。まだ自分には早かった。

  • 某所で絶賛されていたので読んだが,読みづらい上に最後まで盛り上がり所がわからず,自分には合わなかった.

  • 読みにくいーーー
    すみません、私には難解!汗

  • むつかしい…

  • 手紙の中であなたのことを思う。客観的に見ている自分を、客観的に見てもらうという手法。同じく、最高の任務でも、同じく日記という手法がとられていて、共に相手、手紙の場合は受取人、日記の場合はそれを見る人、がいる中で書いているという前提がある。なので、物語はどこか第三者的な目を持ちつつ、主観的な語りで進んでいくという特徴を持つ。慣れるまでの間は、一体なんだろうなと思うのだけれど、だんだんと読み進めるうちに、それが読者に宛てた面白い問いかけになっていることに気がつく。この文章が、届くことはおそらくない。そして、私自身に宛てた手紙になっていく。それでも手紙と日記にこだわった語りには、強い思いを感じる。
    人生は簡単ではなくて、その年毎に大変で、辛い思いがたくさんあるんだけど、生きる柱、みたいなものを少しずつ築いていく。その柱たちを大事にしていく過程で、本書では、家族であったり、祖母の優しさであったり、愛する人、そういうものがエネルギーになっていく。男性の持つ、過去への執着と美化する能力は相当なもんだなという話ではあるのだけれど、生き方の問題に登場する彼が求めていくものは、過去にすがる悲しいキャッチとなるだろう。

  • 「生き方の問題」3
    「最高の任務」2

  • 書くことについての問題意識というのはわかるのだけれどあまりにもそれが前面に出てくるのできつい、「生き方の問題」はあえてだろうにしても読んでいて恥ずかしくなる文体だし、そういう「あえて」みたいな作者の自意識が全編に染み渡っていてやっぱりきつい

  • 小学生の頃の日記帳を開く。小学生の私が綴るのは今は亡き叔母のゆき江ちゃんのこと。

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著者プロフィール

1986年北海道生まれ。法政大学社会学部メディア社会学科卒業。2015年『十七八より』で「群像新人賞」を受賞し、デビュー。18年『本物の読書家』で「野間文芸新人賞」を受賞する。23年『それは誠』が「芥川賞」候補作となる。その他著書に、『十七八より』『本物の読書家』『最高の任務』『ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ』等がある。

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