- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065310090
作品紹介・あらすじ
カメルーンで生まれたニシローランドゴリラ、名前はローズ。メス、というよりも女性といった方がいいだろう。ローズは人間に匹敵する知能を持ち、言葉を理解する。手話を使って人間と「会話」もできる。カメルーンで、オスゴリラと恋もし、破れる。厳しい自然の掟に巻き込まれ、大切な人も失う。運命に導かれ、ローズはアメリカの動物園で暮らすようになった。政治的なかけひきがいろいろあったようだが、ローズは意に介さない。動物園で出会ったゴリラと愛を育み、夫婦の関係にもなる。順風満帆のはずだった――。
その夫が、檻に侵入した人間の子どもを助けるためという理由で、銃で殺されてしまう。なぜ? どうして麻酔銃を使わなかったの? 人間の命を救うために、ゴリラは殺しもてもいいの? だめだ、どうしても許せない! ローズは、夫のために、自分のために、正義のために、人間に対して、裁判で闘いを挑む! アメリカで激しい議論をまきおこした「ハランベ事件」をモチーフとして生み出された感動巨編。第64回メフィスト賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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超推し★5 知性を持ち言葉を理解するゴリラの人間ドラマ。愛に溢れ、熱く優しい物語 #ゴリラ裁判の日
■きっと読みたくなるレビュー
鬼面白い!★5
タイトルから想像できるテーマ性ですが、真っ直ぐ書かれているところが潔くて超大好きです。実際にあった事件をモチーフに、フィクションとエンタメを交えつつ物語にした本作。メフィスト賞受賞作。
プロットも文章もスゴイ上手ですよ、最初から最後まで飽きさせず読ませてくれる、とても新人作家先生とは思えません。
なによりメッセージが強く、各所にでてくる含蓄のある言葉に、次々と唸らせられる。現代社会や自分自身が持っている価値観、正義感をズタボロにされてしまい、完全にノックアウトです。
普段ミステリーばかり読んでいるのは、非日常の中にも人間の傲慢さや欲望と、すべてが終わってしまう死というリアルさのギャップが好みなためです。
そのためSFやファンタジーはどうしてもリアルさを感じず、これまであまり読んできませんでした。しかし本作はとんでもない! ゴリラの人生がまるごと体験できる、超リアルな物語でした。
そう感じさせてくれるのは、なによりゴリラのローズの感情やセリフが激アツなところ。
ジャングルでの群れでの生活から始まり、人々とのコミュニケーション、文化や文明に触れて学習していく。そして人間社会にデビューしていく様子なんかは、まさに人間が学生から会社に就職する新社会人と同じですよ。
物事がうまくいったり、いかなかったり、優しい人ばかりでなく冷たい人もいる。
いつも好奇心や不安さが入り乱れ、それでも少しずつ成長していく姿… まさかこんなゴリラ目線の物語を読むとは思ってませんでした。
その他の登場人物たちも、愛に溢れ、マジで涙がとまりません。優しみがスゴイの。
○研究者 サム&チェルシー
ナイスコンビの二人で大好き、彼らがいたからこそローズが成長できました。後半のローズを応援するシーンは、まさに彼らのローズに対する愛が出まくってて、あまりにも微笑ましい。
○友人 リリー(イチオシ!)
ローズに純粋に向き合うリリーのセリフは、歪んだ人間ほど胸が締め付けられます。終盤にローズと語らうシーンは、きっと読んだ全員が忘れられなくなるでしょう。
○弁護士 ダニエル
カッコよすぎ痺れた… こんなにも狡猾で優しさ溢れる弁護士になりてぇ
○ゴリラ アイザック
カッコよすぎ痺れた… こんなにも硬派で強さ溢れるゴリラになりてぇ
いやーとにかく、素晴らしかった。
法廷シーンはあれど、謎解き要素は少ないためミステリーランキングとしては揺れるかもですが、エンタメ小説、人間ドラマとしては、今年トップレベルだと思います。
正直、これは読んでおいたほうが良い。
■きっと共感できる書評
何のために言葉というものがあるのでしょうか?
相手のことを理解し、自分自身も理解してもらう。お互いに心を通わせることで気持ちや考えがまとまり、もたらす効果は友情、愛情、繋がり、優しさなどであるはず。
しかし現代社会で多く流通しているTVやネットで見る言葉は、こんな前向きな効果をもたらしているのか。我欲やストレス発散のために言葉を放つのではなく、本来の効果をもたらす使い方をしたいものです。
ちなみに私は奴隷制度について、現代では少なくなっているものだと思っていました。しかし現代の奴隷人口は5千万人ともいわれ、人類の歴史の中で最も多い人数だそうです。2023年になっても搾取される強制労働、強制結婚、残念ながら子どもたちも何百万人と存在する…
笑い事ではない現実をしっかり受け止めて、小さいことでも自身ができることは何か考えて生きるべきですね。 -
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ハピアワさん、こんばんはー(*´꒳`*)
ドラミングされたんですね!そういうの大事かも
また面白そうな作品を開拓されましたねー
レビュー拝見...ハピアワさん、こんばんはー(*´꒳`*)
ドラミングされたんですね!そういうの大事かも
また面白そうな作品を開拓されましたねー
レビュー拝見して、どの辺までが実際にありそうなことなのか、気になりました。京大の先生のゴリラ研究本と併せて読んでみたいです。2023/11/04 -
haruさん、おはようございます(๑・̑◡・̑๑)
ずっと店頭に並んでいる作品で、沢山の方が高評価しているので手に取りました
もっと軽いノリ...haruさん、おはようございます(๑・̑◡・̑๑)
ずっと店頭に並んでいる作品で、沢山の方が高評価しているので手に取りました
もっと軽いノリかと思いきや、様々なの事を考えさせられる内容でした
ドラミングって、グーで胸を叩くと思っていたのですが、パーだって知っていましたあ?2023/11/05 -
ハピアワさん、おはようございます(*´꒳`*)
書店では気づかなかったなー でも、どこかで見たと思ったら、「方舟」に挟まってたミニチラシがこ...ハピアワさん、おはようございます(*´꒳`*)
書店では気づかなかったなー でも、どこかで見たと思ったら、「方舟」に挟まってたミニチラシがこれでした。メフィスト賞満場一致の受賞作!全国の書店員、激賞!全霊長目ヒト科必読の一冊!と、強力にプッシュされていました。
ドラミングは、私もずっとグーだと思ってました。でも、パーカッションとかはパーですもんね。調べたら、構ってほしいときにするそうです笑2023/11/05
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ゴリラ裁判、遂に読み終えて
今日は、メフィスト賞卒業の日
読んで待っていたら 40冊読んでしまった
カメルーンで生まれたローズ、女の子のゴリラ
彼女は母親の影響もあり
手話により言葉を理解して会話する
アメリカの動物園に行くことになり、そこの群れに迎えられるも 夫となったゴリラを人間の子供を助けるために射殺される
理不尽な殺害に裁判で闘うローズ
「正義は人間に支配されている」
一度目は敗訴
より人間社会を知ったローズは敏腕弁護士と共に再度裁判に臨む
メフィスト賞にあるまじく読みやすいです
ストーリーが組み立てられ文章がスムーズ
これが構成の妙ということでしょうか
読みやすいと言っておいてなんですが
翻訳物っぽい読み心地
アメリカ舞台な事もあるでしょうけど
かなりのゴリラ文献を読まれて
森に居る頃のローズの生活はリアリティがあり動物さの主張のようでした
後半からアメリカでの生活、裁判とローズが人間と同等の意識を持ち、ゴリラであり人間である存在に移ります
そして、正義とはという課題から
人間の間で競われてきた 区別という差別をより大きな視点へと変えていきます
たぶん 時期尚早の課題なのか
ローズが森へ帰り安寧の地とした事は
正しい選択だったかな-
あ、マニさん
わいも経験者やで!中学時代キャプテンやで!じゃんけんに負けただけだけどキャプテンやったで!あ、マニさん
わいも経験者やで!中学時代キャプテンやで!じゃんけんに負けただけだけどキャプテンやったで!2024/05/09 -
卒業は ダスティンホフマンでよろしくどうぞ
そうなんですよ
覚えてますよ
ひまわりキャプテン。
キャプテンといえば、リリーズですが
歌って...卒業は ダスティンホフマンでよろしくどうぞ
そうなんですよ
覚えてますよ
ひまわりキャプテン。
キャプテンといえば、リリーズですが
歌ってはいけません
2024/05/09 -
ひまわりメロンさんもバレーやっていたんですね〜
私も中学時代キャプテンだったんですよ〜
同じですね、スゴイ!!
おびのりさんのバレー熱がす...ひまわりメロンさんもバレーやっていたんですね〜
私も中学時代キャプテンだったんですよ〜
同じですね、スゴイ!!
おびのりさんのバレー熱がすごいですね(^^)
バレー仲間が広がっていきそうですね。2024/05/09
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おもしろい!
遅ればせながら、この本に本屋大賞決定!してほしいくらい。「成瀬」を超えてしまった。
残念ながらノミネートはされていないだろうけど、おそらく一次投票で11位くらいにはなっているのだろう。
ゴリラが人間になる日を描いた小説。
作者は謝辞の中で「現実離れした設定」と記しているけど、かなり説得力のある内容。だからこそワクワクして、最後まで楽しく読んだ。
主人公のローランドゴリラ、ローズの親友であるリリーの
「動物を解放することで救われるのは、私たち人間じゃないかって…」ってセリフにゾクっときた。
人間とは何か、考えさせられる。
♫We Got the Power/Gorillaz(2017) -
えげつない
マ、ジ、で、えげつない
何この完成度の高さ
ほんとに新人作家?
ほんとにデビュー作?
ほんとにメフィスト賞?(それは今関係ないだろ!)
覆面作家じゃないの?w
いやもうすでに次回作が楽しみでしょうがない
絶対読むって決めちゃいました
あ、次回作の前に本作ね
人間とは何か?
社会とは何か?
そんなことを問いかけてくる物語でした
そしてローズというひとりの「人間」を愛さずにはいられない
そんな物語でした-
2023/05/09
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2023/05/09
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まぁ実はゴリラに関してはワタクシ自身が秋さんに導かれてますけどねw
要するにゴリラ感は秋さんのが上回ってるということですねまぁ実はゴリラに関してはワタクシ自身が秋さんに導かれてますけどねw
要するにゴリラ感は秋さんのが上回ってるということですね2023/05/10
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ジャングルで育ったゴリラのローズは、幼い頃から手話を使って人間のことばを理解し、特殊なグローブで会話することもできる。
立派な群れを率いた父を尊敬して安全に守られていたことを父を亡くしてから知る。
この心の内を静かにゆっくりと語ることができるということに驚きを通り越してしまうほど。
人間と会話することを好み、好奇心旺盛であるローズはアメリカへと渡る。
そこの動物園で夫を亡くしてからの裁判。
ゴリラが裁判なんて⁇と思うだろうが、これがとても自然な流れのように感じることが凄いのだ。
「私は黒く、美しく、自分に誇りを持っている。
私は神の子どもである」
まさしく魂を揺さぶられることばである。
もはやローズをゴリラとは言わせないような、とても尊いものに思えてならなかった。
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物語の主人公はゴリラのローズ。このローズが一人称「私」として語る筆致は、不思議な魅力と著者の強いメッセージ性を秘めており、傑作と言える物語でした。
最初から一人称の「私」というローズ視点で描かれるので、ローズの心情表現や感情移入には利点大だと思いました。ところが、ローズの内面が手話を通して翻訳・言語化されて読み手に伝わり、主人公であり語り部であるバランスと距離感が素晴らしいです。
もはや本作は、裁判という名のミステリーの範疇を軽々と超えた、優れたニューマンドラマだと思いました。ローズの、ゴリラとしての〝生き様〟〝権利〟を問う、重厚で骨太な物語と言える気がします。自分の価値観さえも揺さぶられる、設定の斬新さ以上に優れた内容で、完全に没入してしまいました。
私たちが暮らす社会は人間中心にできていますが、改めて「人間とは?」「種とは?」と考えさせられました。
人間が領土や国の境界線を引き、宗教や信仰、主義の中に多様な正義を振りかざし、紛争が絶えません‥。素晴らしくもあり愚かな人間‥。
知恵や言葉が、人間や動物社会をよりよい方向へ導き、平和・共生を生むために真っ当に働くことを願わずにはいられません。このローズの物語の終末が、課題こそあれ、爽やかだったことが大きな救いでした。 -
ゴリラ裁判の日!?
ゴリラが裁判!?
何だかぶっ飛んだ設定のようだが…w
けど、もしかしたら実際にもあり得ることかも、なんて思ってしまったりもするw
なぜなら、主人公がゴリラだから!
類人猿だから!
主人公のゴリラ、ローズは人間に匹敵する知能を持ち、言葉を理解する
手話を使って人間と「会話」もできる
ローズの夫のゴリラが、檻に侵入した人間の子どもを助けるために銃で殺されてしまう
人間の命を救うためにゴリラは殺してもいいの?
ローズは夫のために、自分のために、正義のために、人間に対して裁判で闘いを挑むことになる
一度は裁判で敗れるが、縁あって口は悪いがやり手で優秀?な弁護士ダニエルとタッグを組みリベンジマッチに挑む
この裁判でローズは勝敗だけではなく、彼女がずっと悩み続けていた問題の答えも見つけることなる
「私は他のゴリラとは違う。人間と同じように考えるのにもかかわらず、人間でもない。私は一体なんなのだろうかと。」
裁判の行方は…?
そして、ローズが見つけた答えとは…?
本作面白いですよ!
ちょっと読んでみませんか?
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2023/05/16
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1Qさん、私ゴリラめっちゃ好き。
だから、あのゴリラ射殺事件はとてもショックでした。
それをもとにした物語なんですよね?
楽しみだけど、今か...1Qさん、私ゴリラめっちゃ好き。
だから、あのゴリラ射殺事件はとてもショックでした。
それをもとにした物語なんですよね?
楽しみだけど、今から切ないウホッ…
ウホウホがとまらないウホッ…2023/05/16 -
あゆみりんさん、その事件は知らなかったのですがモチーフになっているみたいですね
ジャングルでのゴリラの生態なんかも話の中ででてくるので、ゴ...あゆみりんさん、その事件は知らなかったのですがモチーフになっているみたいですね
ジャングルでのゴリラの生態なんかも話の中ででてくるので、ゴリラ好きのあゆみりんさんなら食いついてくれるかも(#^^#)
ウホッ!ウホッ!w2023/05/16
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Goodなお話しでしたー!
裁判シーンは少なく感じたが、簡潔にまとまっていて上手いな~と感心。
言葉を話すゴリラは人間なのか?
とても楽しく読めました! -
「人間」とは何なのか?と、大きなテーマを投げかけられているような物語。
読んでいるうちに、「ゴリラ?人間?」と、どっちかわからなくなってくる。
ローズの人物像(ゴリラ像?)や心情が繊細に描かれていて、惹き付けられた。
それにしても、ゴリラが裁判を起こすという発想は、普通はなかなか思いつかない。面白かった!
この小説はハランベ事件という実際におきた事件をモチーフにしていますね。
動物園のゴリラの檻の中に誤って入ってしま...
この小説はハランベ事件という実際におきた事件をモチーフにしていますね。
動物園のゴリラの檻の中に誤って入ってしまった子供がおり、安全のためにゴリラを射殺した事件です。
悲しい事件で賛否両論があり、当時アメリカでは社会問題になったようです。
ゴリラの事件だったんですね。
ならば私の想定と全く違います。
論争が起きたのは当然だと思います。
以前...
ゴリラの事件だったんですね。
ならば私の想定と全く違います。
論争が起きたのは当然だと思います。
以前読んだ山極寿一「暴力はどこからきたか」を読むとこう書いてました。
ゴリラは弱いもの、小さいものを決していじめない。けんかがあれば第三者が割って入り、先に攻撃した方をいさめ、攻撃された方をかばう。そして、相手を攻撃しても徹底的に追い詰めたりはしない。ましてや、相手を抹殺しようとするほど激しい敵意を見せることはない。敵意を示すのは自分が不当に扱われた時であり、自己主張をした結果それが相手に伝わればそれですむのだ。ここには明らかに人間とは違う敵意の表現がある。(8p)
山極寿一さんは世界的なゴリラの権威なので、これは正確だと思います。
その論争を基にした小説、ちょっと興味湧きます。
なるほどです、とても勉強になりました。
ゴリラに比べて、人間の自分本位さが悲しくなりますね。
...
なるほどです、とても勉強になりました。
ゴリラに比べて、人間の自分本位さが悲しくなりますね。
本作はフィクションでありながらもテーマは同じだと思います。
お時間と機会がありましたら、是非是非^^