日本の死角 (講談社現代新書)

制作 : 現代ビジネス 
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065319581

作品紹介・あらすじ

いま日本はどんな国なのか?
私たちはどんな時代を生きているのか?
意外と見えていなかった「日本の謎と論点」

【本書のおもな内容】
●「日本人は集団主義」という幻想
●中国で見た「日本衰退の理由」
●なぜ若者は結婚しないのか?
●「ハーバード式・シリコンバレー式教育」の落とし穴
●日本の学校から「いじめが絶対なくならない構造」
●地方で拡大する「移動格差」
●「死後離婚・夫婦別墓」の時代
●「中国の論理」に染まるエリート学生たち
●若者にとって「個性的」が否定の言葉である理由
●なぜご飯は「悪魔」になったのか?
●「ていねいな暮らし」ブームと「余裕なき日本社会」
●災害大国の避難場所が「体育館」であることの違和感
●女性に大人気「フクロウカフェ」のあぶない実態
●性暴力加害者と被害者が対面したらどうなるのか?
●アフリカ人と結婚した学者が考える「差別とは何か」
●“褐色肌・金髪・青い眼”のモデルが問う「日本社会の価値観」

「『移動できる者』と『できない者』の二極化が進んでいる。かならずしも地方から出る必要がなくなるなかで、都会に向かう者は学歴や資産、あるいは自分自身に対するある種無謀な自信を持った特殊な者に限られているのである。
問題は、そのせいで地方社会の風通しが悪くなっていることである。学歴に優れ、資産を持つ『社会的な強者』だけが抜けていく地方になお留まる人びとには、これまで以上に地元の人間関係やしきたりに従順であることが求められる。
結果として、地方では『地域カースト』とでも呼べるような上下関係が目立つようになっている。移動の機会の減少は、それまでの人間関係を変え、ちがう自分になる可能性を奪う。その結果、親の地位や子どものころからの関係がより重視される社会がつくられているのである」――「日本人が『移動』しなくなっているのはナゼ? 地方で不気味な『格差』が拡大中」より

感想・レビュー・書評

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  • 今の日本にはいろんな問題がある。日本人は今個性的だねが悪口になる時代になってきている常にまわりと同じでないと不安になる。かなり窮屈になってきている

  • 起業を夢見る若者が早々に海外での仕事を探すことは賢明な選択肢だと言える。日本は団塊世代が築いた安定社会であり、変化を望まない傾向にある。しかし、少子高齢化の影響で政府は増税や新税の導入を余儀なくされており、これらの対策は長続きしないと思う。 また、自然災害対策における国の支援予算は「人への支援」が不十分で、「物への支援」に偏っているという問題点も指摘されており、被災者は世界の「人道憲章」に則り、国民の権利として主張すべき立場にある、と思う。

  • 日本の学校から「いじめが絶対なくならない構造」
    災害大国の避難所が「体育館」であることの違和感
    女性に大人気「フクロウカフェ」のあぶない実態
    アフリカ人と結婚した学者が考える「差別とは何か」

    上記4つがとても興味深かった。特にフクロウカフェの章は、動物がいるカフェに足を運んだことがあるので、身につまされる思いで読み進めた。少し考えれば分かることなのに想像力が足りなかったな……と当時の自分の行動を悔やむ。

    多角的な視点で日本の問題点を語っていて、わたしにとっては新しい知識だったので読んで良かったなと思う。

    • Tomoyukiさん
      こんにちは。
      本書は読んでいないのですが、フクロウカフェはヤバいですよね。。
      虐待だと….
      こんにちは。
      本書は読んでいないのですが、フクロウカフェはヤバいですよね。。
      虐待だと….
      2024/02/20
    • 読書クマちゃんさん
      こんにちは!
      まさにそうした内容が書かれていました。
      この本を読むまで深く考えていなかったことを後悔しました…。
      こんにちは!
      まさにそうした内容が書かれていました。
      この本を読むまで深く考えていなかったことを後悔しました…。
      2024/02/20
  • 対外的な視点を見るとき、中国というフィルターが間に入って西洋を見るようになったと感じること。日本の勢いがなくなった。このままではいけないという危機感がある。対内的には、世界からの批判が根強い人権に対する意識の問題。今回、被災地の体育館避難の常識が問題ということにハッとされた。避難者は援助を受ける客体ではなく、援助を受ける権利者でなくてはならない。言われたらそうだなあと思う。国費によるホテル避難など、イタリアにできて日本できないことはないだろう。でも何か違和感もある。うまく言い表せないが、その違和感が消化できていない日本の人権意識の問題点なんだろうと思う。

  • 日本の深刻な問題を世界と比較することで解決のヒントを与えてくれる本。いじめは先生や家庭だけに責任があるのではなく、学校という特殊な環境が生み出しているものでもあると著者は論じている。また、暴力を振るって相手を傷つけたりしない限り刑法で罰せられず、「いじめ」という言葉で片付けられてしまうことも原因にあると言っている。たしかにと思った。
     高校、大学と大人になるにしたがっていじめは減っていく。そう考えると、小学校、中学校でいじめに遭っている人は、中学校を卒業するまでは卒業認定をもらえるフリースクールに通うのも手である。一方で学校側はいじめを防ぐために、もっと対策を講じていくべきだ。詰め込み教育ばかりしていてはダメだと思う。ヨーロッパ1いじめが少ないと言われているデンマークは日本にない2つの対策がある。1つは悲しんでいる子どもに熊の人形を渡すこと、もう1つは「共感」という授業を取り入れることである。熊の人形を渡すことは実験的にいくつかの学校で取り入れてみて変化を調査してみてもいいと思う。日本の詰め込み教育を今一度見直す時ではないか。

  • 2024/1/27
    テーマが様々で内容も短いので印象もまちまち。
    いじめ(社会性を無視した教育環境の異様さ)、少子化の根本原因(出生率ではなく婚姻率の低下)、災害発生時の避難場所の劣悪さ(国家の義務を自己責任に置き換えている)などはその通りと頷ける内容だった。
    誰でも判るこういうことが放置、または的外れな対策がされている(気が付かないフリがまかり通っている?)のは、一体どんな意図があるのだろうか…。

  • 16本の論考が一冊に収められている。初出から少し年数が経っているモノも見受けられるが、内容自体に古さは感じ悪い。(それだけ、或る時点の課題のような何かが、延々と続いているのかもしれない…)年数を経たモノに関しては、一部の加筆修正等は施しているようだ。
    そういう、コンパクトな論考を纏めた一冊なので、1篇ずつゆっくりと読む感じで向き合うと、存外に素早く読了出来る。また、1篇ずつ向き合うという方式で、短い読書時間を積み上げて読了に至るのも容易だと思う。
    と、コンパクト、短いという話しをしたが、「内容」は濃く、強く迫って来るような場合も在る。そこが肝要である。
    題名に在る「死角」というのは、射撃関係の用語に源が在るそうだ。障害物や地形の関係で、見えないので狙い悪いというようなことだ。そこから転じて、「見えない角度」ということになった訳だ。
    『日本の死角』という題には、「日本に在る我々が、普段佇んでいる辺りから視えていないかもしれないような事柄」という含意が込められているのであろう。本書に収められた各篇を通じてそういうことを感じた。
    最近の流行りに関する疑義を論じているような内容も在る。が、多くは「その“当り前”のようになっている事柄は“正しい”とか“妥当”と考えていて差し支えないのか?」という、強く迫って来るような内容だと思った。
    未だ新しい本で、“ネタバレ”というような詳述は避けたいが、「災害時の避難所」の事や「いじめ」の事を論じた篇は大いに考えさせられた。何れも「最近の流行り」ということでもなく、長く在る課題だ。
    「災害時の避難所」が(学校等の)“体育館”という様子が妥当なのかという話しが在った。一晩凌ぐという臨時的な措置でもない限り、劣悪な環境で体調を崩し、場合によっては亡くなる人達迄現れる状況は改善が必要な筈だという話しだ。加えて、諸外国の様子を観れば、「災害時に居宅等を喪った」というような状況下では「手を差し伸べて頂く“権利”」が人々には在り、そういう人達に「手を差し伸べる“義務”」が政府等には在るという展開だった。或いは人々の権利と、政府等の義務がゴチャゴチャして、何やら「自己責任」なるよく判らない話しになる辺りは、災害対応に限らないのかもしれない。
    「いじめ」の篇である。これはあ大規模災害で居宅を喪った家族の子どもが、引っ越した地域の学校で何年間にも亘って「いじめ」被害に遭い続け、総額で150万円にもなるような金を撒き上げられ、それを訴えて「“いじめ”に相当しない」という話しが出て騒ぎになったという一件を引いて論じている。“学校”という場そのものが「異常?」ということに関してである。脅して金を撒き上げるようなことは“恐喝”という犯罪で、犯罪を犯しているとして処断するのが一般社会の常識だ。「いじめ」なる特殊な教育上の問題ではない筈だ。“学校”という場は、「独自の価値観を中に在る児童生徒に押し付ける」という異様さを放ち、独自の妙な論理で犯罪を重ねた新興宗教団体や過激派グループの様子にさえ似ているかもしれないとしていた。
    この2篇が殊更に記憶に残ったが、こういうような「死角」は多々在る訳だ。
    本書の各篇は、「死角」を謳うだけに、或いは多数派を占める観方でもないのかもしれない。が、各篇や、各篇の中で取上げられている事柄を題材にして「“当り前”のようになっている事柄は“正しい”とか“妥当”と考えていて差し支えないのか?」と問うてみることは重要な筈だ。
    こうした本は意外に価値が高いと思う。広く御薦めしたい。

  • 朝日新聞の記事だったかなんだったか忘れてしまったが、こちらの本が紹介されていたので購入してみた。
    普段は全く手を伸ばさないジャンルで、各人の意見を読んでいると、時々頭をハンマーで叩かれたかのような衝撃を得た。
    特に避難所運営の話は、今まさにというタイミングであったし、今後必ず大きい地震が来ると言われている中で、国の避難生活に対する取り組み方を改めるべきではと疑問に思うきっかけとなった。

  • 日本っていい意味でも悪い意味でも面白い点を持っている、と思う。その中には、自分勝手な思い込みで正しくない認識もあるような気もするので、その確認のために読んでみたい

    #日本の死角
    #現代ビジネス
    23/5/18出版

    #読書好きな人と繋がりたい
    #読書
    #本好き
    #読みたい本

    https://amzn.to/3IhqpFA

  • 大学教授等の有識者たちが様々な切り口から日本社会の問題点と思われることを指摘しているのだとは思うが、あまり響いてこなかった。

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著者プロフィール

2010年創刊。各分野で深い知見を持つ専門家やジャーナリスト、作家等を起用し、政治、経済、国際、社会、金融、教育、最新テクノロジー、科学、医療、スポーツ他、ビジネスパーソンに上質な情報を提供している日本最大級のビジネスメディア。「現代ビジネス」に加え、若年層をターゲットとしたマネー実用情報を届ける「マネー現代」、SDGsをいち早く特集し急成長を続ける女性向けライフスタイル誌「FRaU」、最先端の知と深い教養をダイジェストで伝える「現代新書」、自然科学やテクノロジーをわかりやすく解説する理系のバイブル「ブルーバックス」、講談社のノンフィクション書籍情報があつまる「+αオンライン」、古今東西の名著を厳選して発信する教養シリーズ「学術文庫&選書メチエ」などのグループサイトで構成される「現代ビジネスグループ」は、知識・教養情報の総合デジタルプラットフォームとして、読者の厚い支持を集めている。

「2023年 『日本の死角』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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