裏切り者の中国史 (講談社学術文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065335413

作品紹介・あらすじ

復讐に取り憑かれた伍子胥、人心を操り権力に固執した王莽、女のために国を売った呉三桂……。極め付きの裏切り者たちが行き着く先は? 『史記』『戦国策』『三国志』『世説新語』等の史料から、歴史を動かした個性溢れる悪漢たちを描き切る。春秋時代から明末清初まで、二五〇〇年にわたって興亡の絶えない中国をかき回した反逆者たちの数奇な人生。中国古典の第一人者・井波律子氏による評伝集にして、中国史・中国文学のファン必携の一冊。【主な登場人物】・母国の君主に父兄を殺され、敵国の呉に奔った伍子胥(ごししょ)・品行方正を装い、世論を操作して王朝を簒奪した王莽(おうもう)・三世代かけて国を滅亡させた諸葛亮のライバル司馬懿(しばい)・貴族に出し抜かれ、皇帝になりそこなった繊細な桓温(かんおん)・反乱を引き起こすも、夢半ばで息子に殺された安禄山(あんろくざん)・英雄を処刑したため、中国史上最も忌み嫌われた秦檜(しんかい)・恋人を奪われて激怒し、身を売り国をも売った呉三桂(ごさんけい)ほか、呉起、始皇帝、商鞅、張儀、蘇秦、趙高、則天武后、楊貴妃、項羽、劉邦、諸葛亮、永楽帝、朱元璋、李自成など多数。【目次】はじめに第1章 復讐の鬼――伍子胥第2章 自立するコスモポリタン――戦国時代のパフォーマー第3章 頭でっかちの偽善者――王莽第4章 持続する裏切り――司馬懿第5章 気のいい反逆者――王敦と桓温第6章 危険な道化――安禄山第7章 極め付きの「裏切り者」――秦檜第8章 恋に狂った猛将――呉三桂年表参考文献あとがき

感想・レビュー・書評

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  • ここに挙げられているのが裏切り者の代表ということになるのだろうが、どうにもそういう感じがしない。
    秦檜は、まさに中国でも裏切りの代表者だが、著者すら疑問を記すように、南宋に平和をもたらした人物でもある。
    冒頭の伍子胥は、私は裏切り者とは思わない。父が殺されたのだから国を見限るのは当然。むしろ私としては伍子胥は裏切られた者の代表の感がある。中国でも大きな銅像も建てられ、慕われている。
    では呉三桂が裏切り者の代表?違うなあ。
    しかし中国に、これぞ裏切り者がいない、なんてはずはないのだが。

  • 東2法経図・6F開架:B1/1/2803/K

  • タイトルの裏切り者に惹かれて購入。秦檜、呉三桂など有名な裏切り者なこともあれば、伍子胥、司馬懿は普通は裏切り者とは呼ばれないよね、と思うような人物を、時の政権への裏切りという観点で、その思想や行動を評価し直してみる、といった取り組みと感じた。
    各章のタイトルに取り上げられた人物の評価を中心にしながらも、そこに行き着くまでの時代の流れや、その中で現れた裏切り者達にも言及しており、清朝初期までの中国史の総覧的な内容になっていた。歴史上の有名人も多く登場しており、読み物として面白かった。反して、個々の人物については期待していたより薄くなっており、いままで知らなかった事件やその背景の描写は少ないため、中国史に詳しい人には退屈なのかもしれません。

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著者プロフィール

中国文学者。国際日本文化研究センター名誉教授。07 年「トリックスター群像」で第10 回桑原武夫学芸賞受賞。主な著書に個人全訳「三国志演義」( 全4巻)「世説新語」( 全5巻)「水滸伝」( 全5巻) など。20 年5 月逝去。

「2021年 『史記・三国志英雄列伝 戦いでたどる勇者たちの歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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