ブルーピリオド(15) (アフタヌーンKC)

著者 :
  • 講談社
4.27
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065335710

作品紹介・あらすじ

高2で絵を描くことの楽しさに目覚め。猛烈な努力の末に東京藝大に合格した矢口八虎。藝大2年目の夏のある日、八虎は、「公募展」なるものを知り、年上の同級生・八雲と鉢呂が、その作品制作のために彼等の故郷・広島へ帰省するのに誘われる。賞金や展示など授業や課題とは一線を画す作品作りの世界を意識した八虎は、夏休みを広島で過ごすことになった。作品制作に励む一方、八雲や鉢呂、藝大の同級生・桃代たちと過ごすうちに、彼らの古い友人だった真田という藝大生の存在を知る。彼女こそは八雲や鉢呂や桃代にアートへ向かう強力な動機を植え付けた若き芸術家だった…!「新入生」の時期は終わり、大人へのステップが始まる。新しい出会い、新しい課題、美術との関わり方、八虎の人生も新しい局面へ。アートの歴史や可能性を詳細に活写、美大に進学した青年たちの情熱や奮闘を描く、今までになかった美術系青春漫画、早くも最新刊登場!!

感想・レビュー・書評

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  • 藝大の友人たちと広島にて作品制作をする八虎。そこで八雲、鉢呂、桃代の人生を変えた同年代の真田の話を聞く。真田はなぜ死んだのか?三人それぞれの思い出の形に触れる広島編クライマックス!

    観る者を表現の渦に捻じ伏せてくる絵を残した無口な女性・真田。その死の真相が桃代から語られる。彼女と一番付き合いが長かった桃代が見せた表情は、背後から影を踏まれたかのようにぞくぞくした。桃代と鉢呂は彼女の死から立ち直りつつあったが、八雲だけは彼女が亡くなった冬の海の冷たさを、怒りと悲しみで沸騰させようとし続けていた。

    「ガキなんよ あいつは」
    桃代はそうつぶやく。八虎は事実を知ってしまったがゆえに、罪悪感という自分のテーマが軽く思えてしまっていた。いつもながら八虎の感情移入し過ぎる繊細さが回り始める。そこに刺激を与えたのが世田介だった。人との繋がりを肯定し始めた彼の観察眼と視野の広さに、ぼくの視界も開けた気がした。世田介のこの言葉たちが好き。

    「でも当事者じゃないと作品にしちゃいけないかどうかは俺にはわからないな 当事者なら何 作ってもいいとも俺には思えない 当事者にしか描けないことはあると思うけど 当事者だからこそ“自分は平気だった”って軽んじることもできるし だからってテーマ以外の幅を持たない作品は俺は好きじゃない 当事者だからってその出来事が同じように見えてるわけじゃない」

    「なんで立ち直らなくちゃいけないの 村井さんはその悲しみを一生背負って生きてもいいんじゃないの」

    当事者じゃないからこそ伝えられる言葉がある。当事者じゃないから表現してはいけないなんてことはない。友人たちの過去を知った衝撃をなかったことにしなくてもいい。八雲メイン回ではあったけど、世田介が絶妙なアシストをするのがいいよね。八雲、八虎の描き上がった作品も素敵だった。

    八雲もエゴイスティックでいいと思う。蟹江ギャラリーの絵画への理屈もわかるけどね。ぼくとしてはあの売り出し方は悪趣味極まりないと思う。芳醇なワインをお酢にはしなかったけど、お涙頂戴なキャッチフレーズを絵に描き足してるんじゃねえって気持ち。そうじゃないと人手に渡らないのかもしれないけどね。ぼくも少なからず、そういう謳い文句に踊らされているところはあるからなあ。

  • 絵の価値って何なんだろうか…作家の人生が付加価値として絵が売れたり。絵を買う人の動機なんて結構それぞれなんだろうな。

  • 【あらすじ】
    高2で絵を描くことの楽しさに目覚め。猛烈な努力の末に東京藝大に合格した矢口八虎。藝大2年目の夏のある日、八虎は、「公募展」なるものを知り、年上の同級生・八雲と鉢呂が、その作品制作のために彼等の故郷・広島へ帰省するのに誘われる。賞金や展示など授業や課題とは一線を画す作品作りの世界を意識した八虎は、夏休みを広島で過ごすことになった。作品制作に励む一方、八雲や鉢呂、藝大の同級生・桃代たちと過ごすうちに、彼らの古い友人だった真田という藝大生の存在を知る。彼女こそは八雲や鉢呂や桃代にアートへ向かう強力な動機を植え付けた若き芸術家だった…!「新入生」の時期は終わり、大人へのステップが始まる。新しい出会い、新しい課題、美術との関わり方、八虎の人生も新しい局面へ。アートの歴史や可能性を詳細に活写、美大に進学した青年たちの情熱や奮闘を描く、今までになかった美術系青春漫画、早くも最新刊登場!!

    ・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

    感想は最終巻にまとめて記載予定です。

  • 2年生の夏休み、友人たちと一緒に桃代の実家、広島へ。そこで才能がありながら若くして亡くなった真田さんの話を聞くことに…。

    ひと夏で、なんだか八虎も八雲も一皮むけたような気がします。世田介くん、グッジョブ。

  • 62~65筆目

    夏休み編がやっと終結。
    「当事者だからってその出来事が同じように見えているわけじゃない」
    「なんで立ち直らなくちゃいけないの。その悲しみを一生背負って生きてもいいんじゃないの」
    これ両方とも世田介くんの言ったことだけど、この人ちょいちょいええこと言うな。

    1つめは悲しみから立ち直ってない八雲さんが事実を誤認していたことをふまえて八虎くんに言ったこと。
    2つめは八雲さんに対して言ったことだけど、悲しみを引きずっている人に対してたいていは「早く立ち直れ」だの「立ち直ることが悪いことではない」というけれど、立ち直らないで生きていくことも肯定するのもアリかな、と思わされました。

    巻末の学園祭の話はめっちゃ好き。懐かしい人も出てきたしまさかのつながりが。ユカちゃん登場がうれしい!てかマキちゃん、ユカちゃんのフォロワーかいっ。
    私もですが(リアルで)。

  • 15巻ももがいてる八虎。
    近い関係の人の辛い体験を聞いて、追体験したような気持ちになる。その気持ちを芸術として表現していいのかどうか、思い悩むところがよく描かれている。

    世田介くんの発言は、ピンポイントで良い切り替えになっている。世田介くんは、馴染んでいないようで、周りをよく観て感じている。

    自分は、この歳のころ、何をやっていたんだろう…と、ボーッとのほほんとしていた自分が虚しくなる。

  • 15巻で一旦追うのを辞めようと思う.前巻から話の内容(夏休み・まち子)に全くハマっておらず、作中で登場する作品に驚きがなかったことが理由.話のプロットが長く置かれていないように感じた、困難の大きさと頻度が少ない.話の内容と著者がブルーピリオドに突入したように感じる.

    2021年12月から読み始めてたので、約2年間楽しめた.2022年は絵画にハマって、絵画教室に行くまでだった.絵の面白さを知れるいい機会になった.原画展は、魅せ方が今までで見たことがない斬新さで、グッズも良くて最高だった.

    やはり、漫画は10巻が一旦の壁になってくると感じた.10巻を過ぎても面白い漫画は、本当にすごいと言える.主人公が未経験分野やいきなりの成長系は周囲の凄さの中で成り上がる過程が面白い.ある程度進むと、フェーズが変わって責任もやることも変わってくるため、見方が変わるのだろう.その点で、今の八虎は1人の学生でなく1人の画家だ

  • 世田介くんの言葉に震えた。

    「ねえ なんで立ち直らなくちゃいけないの
    村井さんは その悲しみを一生背負って生きてもいいんじゃないの」

  • 完結した感がするんですけど……
    ももちゃんの方も、殺されたことを受け入れられないから、という解釈もあるんだよな。
    ちゃんと、過去のニュースとかで調べて確認してほしいな……。その空白が効果を生み出しているのかもしれないけれどん。
    そういえば、森先輩ほんとレアキャラだなー、再登場しないのかな~?

  • はっちゃん、八雲、ももちゃん、よたすけくんと広島。
    広島チームに大きな影響を与えた天才?真田さんの話。
    特別な才を持つ人への複雑な気持ち。
    喪失に振り回され、それを世田介くんの言葉で目を開く八雲。
    第三者として関わるヤトラ。
    生活が作品に影響を与えざるをえない、芸術家の業みたいなものも感じる。

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著者プロフィール

東京都出身。東京藝術大学卒業後、2014年に月刊アフタヌーンの新人賞「四季賞」で受賞を果たし、増刊good!アフタヌーン2015年5号にて読み切り『ヌードモデル』でデビュー。2016年にアニメーション監督・新海誠氏の作品『彼女と彼女の猫』のコミカライズで初連載。『ブルーピリオド』は月刊アフタヌーン2017年8月号から連載開始。第1巻発売から注目を集め、 「マンガ大賞2019」第3位、「このマンガがすごい! 2019」(宝島社)オトコ編第4位、「みんなが喜ぶTSUTAYAコミック大賞2018ネクストブレイク部門」大賞、第2回「マンガ新聞大賞」第3位、「マンガ大賞2020」第1位、講談社漫画賞総合部門を受賞。電球が大好きでアクセサリーなど種々収集中。


「2021年 『ブルーピリオド(11)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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