- Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
- / ISBN・EAN: 9784079239288
作品紹介・あらすじ
昭和53年に落語協会分裂騒動が起こり、新聞、マスコミは大々的にこの事件を報道し、あれから8年たった。あの当時の事件の当事者達もかなり亡くなり、人々はあの事件をすっかり忘れてしまった…。ぜひ書かねばなるまいと思っていた。いや、あの事実を語らずに貝のように口を閉ざして死にたくないという執念のような気持だ。これは俺から見た協会分裂の百パーセントの真実なのだ。
感想・レビュー・書評
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三遊亭圓丈師匠による落語協会分裂騒動を生々しく描いたノンフィクション作品。まず驚いたのは30年以上前の作品にも関わらず、全く古さを感じない文章や言葉であることだ。そのためか、すらすらと何の違和感もなく読み進められ、圓丈師匠の目線で良い意味で熱く、青臭く語られる顛末が目の前で起こっているように感じられる。
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伝説の「御乱心」。売ってないので古本屋で購入。円丈っぽい虚実あいまぜな文章が楽しいです。円丈の円生に対する愛憎も、、、、
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言い回しの一つ一つに「インテリ臭」があり、もちろん落語家なので話が面白い。大なり小なりどこの社会でもありそうな事件なのかもしれないが、かなり面白く読める
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落語協会分裂騒動の顛末の円丈による記録
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かなり内容が偏っているが、偏りも含めて面白かった。
落語協会分裂騒動の渦中に巻き込まれた作者による、本人にとってはまっすぐな、端から見れば歪んだ熱意が伝わってくる、ハイカロリーな顛末記。 -
円楽師はかっこいいしカリスマ的な人だと思っていたし、円丈師は好きじゃなかったのだが、この本が真実だとすれば、いやはや…としか言えないなと。
円生師も円楽師も躁病だったんじゃないのか?
行動が普通じゃないし、周囲の人の巻き込み方も半端ないし、統合失調症な部分もあるんじゃ?
新協会設立なんてよほど確実な根回しと保証がなくちゃできないと円丈師が言ってる通りなのに激情に任せて動く両師匠はやっぱり狂ってる。
巻き込まれた円丈師「ら」の苦悩は図り知れない。
三遊亭の落語を聴いてみようと思った。 -
落語協会分裂騒動をほぼ95%の事実と実名入りで書いた暴露本(のようなもの)円楽さんの人となりとか、知った落語家さんの素顔とか知れて面白い。人間臭くて笑えます。真打ちが多すぎると私も思うなぁ
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2010年、七代目円生襲名問題の真っただ中に行われた鳳楽VS円丈の落語会「円生争奪戦」では、円丈に対して「お前は逃げたくせに!」と客席から野次が飛ぶ緊迫した場面もあった。その確執の元となったのが、’78年の落語協会分裂騒動。
円生、円楽、志ん朝らが新団体を作ろうとしたが、寄席の席亭の反対にあい失敗、志ん朝は詫びをいれれ復帰、円生、円楽は協会から離脱という結果に。
その円生の弟子である円丈による騒動の顛末記である本書、これが、なかなかスリリング。
当時、真打になったばかりの円丈は、新聞で「円生、円楽ら」と「円生ら」と常に「ら」の存在でしかなかった。師匠や兄弟子円楽らに翻弄される哀しみ、悔しさがフツフツと感じられる。
一番の名シーンは、新協会設立が失敗に終わった後、円生に呼ばれて、身の振り方を聞かれる場面。
寄席に出演したい円丈は、「協会に戻りたい」と告げる。すると円生とその夫人から「恩知らず!」「義理知らず!」と罵声を浴びせられる。
「俺はこの心の拷問に耐え切れなくなって来た。俺の心は、もうズタズタになっていた。」(P158)という円丈は、罵声を浴びながら台所へ行き、コップの水をぐっと飲む。そして、畳の上に両手をついて、「私も一緒に出たいと思います。」と涙をこらえながら言う。
自分を殺す、なんとも切ないシーンである。
今年70歳の円丈、いまだに新作を作って演じているのがたいしたものだ。固有名詞が出てこなくてハラハラすることもあるけど・・・。 -
落語協会分裂騒動を描いたノンフィクションとしては言わずもがな、ひとつの小説として読んでも充分に面白い一冊。本書最大のヒール・五代目円楽亡き後、そして七代目円生襲名問題がいつの間にかウヤムヤになってしまった今、まだ読んでない人はもちろん以前読んだ人もぜひ読み返してみてほしい。
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残念ながら、一気に読ませる力がある。
この本の事件があったことが、本当に残念だ。