スウィート・フェイク・メイク・ラヴ (コバルト文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086004237

作品紹介・あらすじ

毎日、定時に始まる食事。学校よりも厳しい家庭…。ルールを何よりも重視する祖父の監視下で、ずっと優等生を演じてきた学は、一緒に暮らしている従弟、悟と秘密の関係を持っていた。悟を征服したつもりが、捕らわれてしまったのは学のほうだった。求められるままに悟を抱く学。自分さえ黙っていれば、この家の平和が維持できるのだ-。そんな状況の学の前に、幼なじみの優司が現れて。

感想・レビュー・書評

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  • 【※BL注意】

     痛い話が読みたいなあ……と思って本を開いてみたんだけど、思ったよりも痛くて、救いがなくてちょっと辛いですね。
     できればもうちょっと救いのある話がよかったかなあ……。

     主人公の学は、壊れかけた家庭の中で、何とか自分の居場所を作ろうと、家を壊さずにいようと、必死でいろんなことをガマンしているけれど、当然、それには無理がかかっているわけで、どうしようもなく何処かに行きたくて、それでも何処にも行けなくて……そういうモヤモヤを抱えながら、どんどん悪いほうへ悪いほうへ流されていく。

     個人的に、学が抱えているモヤモヤにはものすごく身近なもので、閉塞感にも覚えがあって、とにかく重苦しい。
     おまけに、そんな学をおいて、どんどん周りばかりが成長していってしまって、結局、学はおいてきぼりになってしまう……。
     もうこの辺りで耐えられなくなりました。
     最後にちょっとだけ、救いがあったんですが、それさえもなんとも言えない、たったそれっぽちのことですら救いになるのかとか、そんなことしか彼には救いがないのか……と思えるようなそんな救いで。
     なんだかとっても胸が痛い。

     もうちょっと話に先があったら、彼に幸せをあげられるかもしれないけど、それはそれで作り話にしかならないんですよね……。
     なんだか、悲しいが故にそれがリアルなんだなあ……と思って切なくなった。

     やっぱりこの作者さんは作者さんだったのか……としみじみ。
     この作者さんの別の短編集の中に、やっぱりこういう救いのない話があって、とってもデジャヴでした。
     まあ、私、その話の救いのなさがとっても痛くて、好きだったんですが……。
    「そうだよね。現実ってこんなもんだよね」感が。

     なので、好き嫌いは別れるかもしれませんが、中二病をこじらせている方々にはオススメできると思います。

     ただ、お世辞にも「幸せ」と言えるようなラストではないので、そういうのが苦手な方にはご注意を。

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