神招きの庭 (集英社オレンジ文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086803205

作品紹介・あらすじ

神鎮めの力を持つ少女が国を救う。古代和風幻想記!
兜坂国の斎庭(後宮)は、神を招き、もてなす場。
人や動物たちと似た実体を持つ神々は、豊穣と繁栄を招く反面、ひとたび荒ぶれば恐ろしい災厄を国にもたらす。
地方の郡領の娘・綾芽は、斎庭の女官になるために都を訪れた。
その目的は、親友の那緒が斎庭で不審な死を遂げた事件の真相を探るため。
そこで偶然、荒ぶる女神を鎮めてみせた綾芽は、王弟の二藍に女官として採用される。
二藍は、人の身でありながら神気を帯び、心術を操る「神ゆらぎ」という存在だった。
二藍もまた、那緒の死に隠された謎を解こうとしていた。
折しも兜坂国は、神の気まぐれにより滅亡の危機に瀕していた。
激動の運命に巻き込まれた綾芽と二藍は、国を救うことができるのか…。

感想・レビュー・書評

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  • 実態を持つ神々は、豊穣と繁栄をもたらす反面、一度荒ぶれば恐ろしい厄災を国にもたらす。
    兜坂国の斎庭は、神を招き、もてなす場。
    地方の郡領の娘である綾芽は、親友の死の真相を探るため上京する。そこで偶然にも荒ぶる女神を鎮めた綾芽は、斎庭の女官として取り立てられるのだが……。

    神々をもてなし、鎮める場である斎庭(後宮)を舞台とした、和風ファンタジー小説です。
    1ページ目から専門用語が多く、世界観も独特なのではじめは少し入り込み辛いですが、神と人との関係に焦点を当てた熱い展開でのめりこんでしまいました。
    ミステリ要素を絡めた勢いのある小説展開とは裏腹に、友情と愛情、神と人、人と御霊など、それぞれの登場人物たちの関係性の繊細さ・曖昧さも魅力的だなと思いました。ほんのりと甘いラストも心ときめきます。
    最初のページぱらぱらめくった位だととっつきづらいかもしれませんが、ぜひ読んでほしい。

    ここからはめちゃくちゃ個人的な性癖の話なので読まなくても良いんですけど……。
    昔からセオフィリアというのか、宗教・神聖愛好趣味をこじらせていて、宗教学の本の他異類婚姻譚、神に嫁ぐ系の少女小説などもよく読むのですが、何だかこう個人的に考える神の在り方としっくりこないというか、解釈違いが多く、色々読んでは(違う……!)ともどかしく感じつつ別の本を読み……みたいな面倒なムーブしているんですけど、この小説の神の在り方はかなり理想に近く、久々に解釈一致した感じがしました。
    この人の理と相いれないかんじ……。とっても好きです……。

  • 後半に行くにつれて展開が熱くて面白かった。
    中華ファンタジーもいいけど、和風ファンタジーもいい。特に弾正台とか日本史やってれば懐かしい単語にも出会えてよかった。単語は難しいところもあったけど、さらっと読めるのに心は熱くなる。次も読もうと思った

  • 読み終わった時「いい終わり方だったなあ」と単純に思った。
    話は決して単純ではない。
    古代和風ファンタジーとはなっているが、世界観は独自性に富んでいて、まずその世界観や設定を飲み込むので序盤は手一杯になる。
    神に振り回される世界。
    神のご機嫌を取らなければ国が滅ぶ。
    そんな世界で、主人公は親友の死の謎解きもすることになる。
    ファンタジーにミステリ、これのどこが単純か。

    しかも主役二人はさておき、黒幕を含めて意外な二面性が見えてきたり、後から思えば違和感があった部分は伏線になっていたんだなと驚かされること多数。
    世界観を把握するのに手一杯だったため拾い切れていないが、細部に渡って丁寧に練られて書かれていたと思う。
    斬って捨てるようなキャラでも重大な秘密が隠されていることもあり、本当に最後まで驚かされた。
    なかなか一読では把握しきれないと思う。
    二度三度読んでも更なる発見ができそう。

    また親友の死の謎に関するあれこれも壮絶である。
    真相を語るために、あるキャラが取った行動は本当に度肝を抜かれた。
    相手を信じていないとできなかっただろうし、何より度胸がないと無理に違いない。
    この世界の女性は時に男性よりも肝が据わっている。
    この世界に限らずかもしれないが。

    色々な思惑が飛び交う中、主人公の真っ直ぐさには救われたと思う。
    単純ゆえに後悔することも多いが、本音を語る人が少ない中、彼女だけは常に光のように汚れなく真っ直ぐだったと思う。
    それに感化された二藍がどんどん隠し事ができなくなっていく様は微笑ましくもあった。

    そんな二人のエンディングシーンは、始め「え?」と少し残念に思ってしまった。
    あれだけ苦労し、命まで張った二人が、今度こそ本当の思いを寄せ合って並び立てるのではないかと。
    ただ彼女が二藍が伸ばそうとした手を一旦拒んでしまった。
    おい、まさかそれはないだろうと。

    でも違った。
    最後の最後まで読んで考え方が変わった。
    光のような彼女は欲張りだと言って、二藍が想像もしなかったことを口にした。
    その最後の最後のシーンで、「ああ、いい終わり方だったな」と手のひら返し。
    寧ろその方が彼女らしいと納得させられた。
    流されて手を取りはしない。
    自分の意志で彼のためにできることをしようと決めた。
    彼女の想いを尊重したい。
    きっとその先に、二人が一緒に歩ける道があるに違いないから。

  • 実体のある神を招きもてなすことで国が成り立っている世界で、友の死の真相を探るために神をもてなす場である宮殿の斎庭に女官として入った少女の物語。
    いや、実にしっかりとした世界観のある良質なハイファンタジーだった。
    ヒロインの出自の設定とか実に王道。
    そして、物語もヒロインの成長物語の側面もあってこちらも王道だね。

    彼女を導く王弟がなかなかいい味出している。
    一見クールに見えて抱えているモノや思惑があっても次第にヒロインに惹かれていくところがむしろヒロイン以上にかわいい^^ 
    友の死と外国の神に関する陰謀を巡るミステリー部分には何度も驚かされることがあった。
    春宮の真相とか、これぞファンタジーという感じ。

    そして終盤、その陰謀を暴く場面がクライマックスかと思ったら、その後に真のクライマックスがあった。
    神と対峙したヒロインの姿に、思わず息を詰めて読み進めていた。

    うん、面白かった。

  • ナツイチ2022に選ばれていたので読んでみました。
    「神々と人が織りなす、古代和風ファンタジー」と紹介されていたけど、和風と言っても物語の舞台は独自のシステムを持った世界。政治の裏側では女性たちが神々を招き祭祀を行い、豊穣や国土の安寧を得る。しかし、招いた神を怒らせたり満足させられないと滅国させられてしまう。また、来るはずの神が予定通り来ないと自然災害に見舞われる。この設定を理解するまで読み進めるのに少し苦労したけど、世界観を理解した後は一気読みでした。

    主人公の綾芽は、友の死の真相を探りながら、国を揺るがす陰謀の解明へと進んでいく。そして、綾芽自身の秘められた「力」を発揮できるようになる。

    シリーズ化されているので、次巻も楽しみ。
    王弟で神ゆらぎの二藍との関係も今後、見守っていきたい。

  • 始めの方で説明が長くて把握するのに時間がかかった。入り込むのに時間がかかるけど中盤以降の話は面白かった。
    設定が細かいだけにわかりやすくして欲しかったとおもうけど、続きも気になる。

  • たのしー
    女言葉じゃない主人公なとことかとても良い
    つよい
    稲縄もいい性格してる
    なかなか名前がややこしいけどわかれば楽しい
    読み終わってから挿絵見たらみんなめっちゃ若くて違和感がすごい
    もっと石黄とかおじさんの印象だった

  • 世界が面白くできていた。

  • 和風ファンタジーが読みたかったので、ぴったりだった。
    ただ、漢字の読み方が難しく、何度も行ったり来たりしてしまうのが難点。。。

  • 平安のような時代背景の物語を読むのがあまり無く、単語が難しかったですが物語は面白かったです。いつか続編も読もうと思います

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