宝石商リチャード氏の謎鑑定 久遠の琥珀 (集英社オレンジ文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086803236

作品紹介・あらすじ

これまで何度もリチャードを妨害してきた富豪の少女オクタヴィアに、スリランカ随一の山岳リゾート地ヌワラエリヤのホテルへと呼び出された正義とリチャード。
そこで待っていたのは、オクタヴィア本人とヴィンセントだった。
ジェフリーとヘンリーも合流し、一行はオクタヴィアとコミュニケーションをはかろうと力を尽くす。
オクタヴィア・マナーランド、十七歳。彼女がリチャードを妨害していた真意は何だったのか。
クレアモント家執事室との関係は? そして、正義とリチャード、ふたりの関係の行方は?

さまざまな答えが明かされる、大人気ジュエル・ミステリー、第二部完結編!

感想・レビュー・書評

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  • 第二部完結。
    オクタヴィアと和解できて良かったです。
    ヴィンスさんの人柄も最高です。
    皆いい人たち。パーティーでそれが垣間見れます。

    そして正義の進路。
    公務員になるか宝石商になるか。
    正義の出した答えは、リチャードの専属秘書。
    とても正義らしい決断だと思いました。

    正義とリチャードの関係性は今後どうなるのか。
    とても気になります。

  • シリーズ第2部完結!
    結末に、「わあああ」と心の中でうめいた。
    大切な人に心が伝わる瞬間は、奇跡というしかなくて、共に歩もうとするその瞬間は、かけがえのない、まさに宝石の輝き。

    さて、本作では絶えず二人に試練を与えてきたオクタヴィア嬢と対峙する。
    大切な人は欲しくない、そう考える少女の心を溶かすのは難しい。
    大切な人が先に逝ってしまったから。
    ちっぽけな自分を守るために死んでしまったから。
    この意固地な人間…どこかでみたことがある…そうだ、『鬼滅の刃』霞柱、時透無一郎だ…

    「あなたがいた『せい』ではなく、あなたがいて『くれた』から」(218頁)
    これは誰かのために、自分のために、生きようとする人に対する著者からのエールだ。
    心を伝えること、とてもむずかしいから、一生の課題にしないといけない。
    だからこそ、誰かの心が現れた言葉を私は噛み締める。
    積み上げて、自分になった言葉を、心を、誰かが必要な時に届けてあげられるように。
    常には寄り添えないから、私の代わりに、その人の支えになれるように。

    本作がずっと語ってきた宝石の名は、ずっと「人の心」だった。
    リチャード、正義、さよならなんて言わないよ…

    だって、第三シーズンがあるから!続きは明日!

  • 2部完結。貴族問題がようやく完結。
    色々な事実発覚も、前向きに進みはじめられたのでよかった。
    宝石もいろいろ出てきたので、クイズもあり面白かった。

  • 良くって1巻から読み直してしまったよ✨ヘンリー最高にカッコ良かった。他の誰もが霞んでしまうくらい素敵だった!✴️これ以上無いくらいの大団円で、第3部はどんな苦難が待っているのか予想つかないな。コロナ問題かね?

  • 著者の辻村七子さんの優しさを『宝石商リチャード氏の謎鑑定』を通して受け取ることができることにとても嬉しく思う。丁寧な言葉と物事を見通す目と言語化する能力に浸って、真っ直ぐな言葉、辻村七子さんの思い伝えたいこと熱量を、読者はわたしたちは感じることができる。誠実さにかってに信用を寄せてしまう。本当に深く考えられてこの作品が出来上がっているんだなと思う。

    ネタバレ⤵︎ ︎

    「悪役めいた台詞を言う時、ジェフリーは少し甘い声を出す。どうぞ責めてくださいと言わんばかりの声色に、俺の頭は冷静になる。三百年前のことに腹を立てている場合じゃない。中身のない義憤は自分のための怒りだ。この場所で三百年生きてきた人たちを踏みにじる行為になりかねない」
    辻村七子さんのこういうところが好き。この思考でこの作品が書かれていることが嬉しくて、何よりキャラクターの言葉の土台に安心出来るものがあるというのがとても大きい。

    オクタヴィアの死生観が誰かの為にという形を取ってしまうのは、彼女の両親の愛の形がそれであったこと、それ以外を伝えられなかったことだ。両親の愛が彼女に継がれて、彼女も誰かに伝えたかった。それこそが彼女の知っている手放したいのに手放せない一つの愛で、だからこそそれ以外の形のヴィンスの愛に救われるのだと思う。
    オクタヴィアのいうハッピーエンドがハッピーで終わらないことなど彼女が一番知っている。死ななければエンドにならない。
    彼女のハッピーエンドを見て死んでしまいたいという願いを誰かに笑われたくないな。
    それでも彼女は中田正義の「献身の愛」をハッピーエンドとは取らず、残されたものの話をして、彼女は自分が終わらせたいと願っていると同時に、残された人たちの感情にも苦しんでしまうのだから。

    このハッピーエンドの話をした後に、ハッピーエンドという括りにされないものを提示するの本当にすごい。オクタヴィアの言うハッピーエンドは彼女が押し込んだもので、それはハッピーエンドというそのものの話に繋がり、いままではみ出されていたものの存在にもスポットライトが当たる。その上でジェフリーの恋人の話が出てくるんじゃないかな。変わることを嫌い伝統的な貴族としていなければならないジェフリーの恋人は今までならバットエンドが待ち受けている。その定義こそおかしいじゃんというカウンターになるし、オクタヴィアのいうハッピーエンドとジェフリーの吐きそうと言わせるバットエンドが対比されている。そしてその後に、どんな関係性にも当てはまるだろうリチャードと正義を出すことで、それらが上手くまとまる。いままでなら出来得なかったことが出来たものを提示され、ハッピーエンドやバットエンドのそれすらをぶっ壊していて、それは辻村七子さんの優しさなんじゃないかと思った。





  • オクタヴィアに纏わる出来事の中で、正義とリチャードの間に大学生時代から育まれていった関係性が、ひとまず落とし所を迎えた。
    この物語を読むといつも思うのが、2人の関係性が羨ましいなということ。恋人とか夫婦とか家族とかいう枠組みの外で、互いに唯一無二と認識して、人生の終わりを迎えるまで、一緒に歩んでいきたいと思っているのが、幸せで羨ましい。正義もリチャードも、心の中に闇の部分を抱えていて、けれどそれをお互いに救いあい、かつ生来の優しさを持っているからこそ、そうあれるのかもしれないと思う。ある部分では依存関係にも見えるけれど、純粋に、お互いの側にありたいと思える相手を、自分も同性に欲しかったなと思ったりする。
    奔放な姉妹の姉がスリランカで正義とリチャードに会った時、正義が言った”好きな人”がようやくわかってほっとした。
    第3部ではどんな話の展開を迎えるのか楽しみでしょうがない。
    作者が宝石や音楽や芸術にロマンを感じているのが、物語の要所要所で語られていて、そのことにも強く共感するから、この話はとても好き。
    長く続いてくれるといいなと思う。

  • 好きって恋愛感情だけではないよなぁ、と思った。恋人とか友達とか家族とか色んな好きがあるし、関係性についても名前は色々あるけど、どれかを選ばなくちゃいけないものでもない。リチャードや正義だけでなく、ヘンリーやジェフリー、ヴィンス、オクタヴィアの全員がそれを体現してる。

  • こちらも途中まで読んでてそのままにしてしまってたもの。
    ようやくリチャードの周りが片付いた感じ。
    今後のリチャードと正義の方向性も整って、ますますこれからの2人の話が読みたいなあ。
    オクタヴィアちゃんが楽しく生活してるかも気になるので、その後がみたいです。

  • イギリス貴族ってこんな日本の一般市民と大掛かりなゲームとかやっちゃうような感じなの?

  • 大団円\(^o^)/♪オクタヴィア嬢が遂に登場!(゜゜;)という事でドキドキハラハラしたけれど、なんとかなった(;゜∇゜)ヘンリー兄ちゃんの啖呵、格好良かったよ(^^;)これで終わってほしいような、続きが読みたいような…

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著者プロフィール

9月24日生まれ。神奈川県出身。『時泥棒と椿姫の夢』で2014年度ロマン賞を受賞。受賞作を改題・加筆改稿した『螺旋時空のラビリンス』で文庫デビュー。

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