アオハルの空と、ひとりぼっちの私たち (集英社オレンジ文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086804011

作品紹介・あらすじ

高1の奈苗は、いつも笑顔でいるものの、心に孤独を抱えていた。
ある時、とある事情でクラスメイト五人だけで三日間、授業を受けることに。
一匹狼の大北くん、優等生の怜ちゃん、委員長と呼ばれる落合くん、いじめられっ子の若尾くん。
いやで仕方なかったのに、気づけばその時間が大切なものになっていて――。
無限に積み重なる空の下、五人のひとりぼっちたちの物語。

今まで目に見えていた星だけが、この世にある全てだとでも思っていたのかもしれない。
校舎の屋上で夜空を見上げ、驚きの声が漏れた。
見えないものや触れられないものは、存在していないのと同じだった。
けれど。
「ねえ」
隣にいる彼に声をかける。
「この関係に、絆はあるのかな」

目に映る小さな世界で、目に見えない絆を探した。
ひとりぼっちの、わたしたち。

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりにこの物語に会えて、懐かしいような、かつての地元の友人たちに再会したような気分です。

    櫻いいよは、世界に優しいというより切り取られた世界の一部に優しいんですよ。

    見過ごされてしまいそうな小さな世界を見過ごさず、かといってその世界を変えるような一方的な暴力もなく、ただそこにいていいと言ってくれるのです。
    答えがなくてもいい。そう言ってもらえるほうがラクな時もある。変わらなくてもいいし、変えなくてもいい。答えが見つからないなら見つからないまま生きていってもいい。
    そう言われて、呼吸がラクになる人がいる。
    彼女の物語は、そういう人達のためにある。

    無理矢理仲間にならなくてもいいし、無理矢理ひとりぼっちになることもない。
    自分の目で、耳で、ハートで、自分の息がラクになる場所を見つけて、そこで深呼吸してほしい。

    わたしの10代に氷室冴子さんやコバルト四天王がいたように、令和の時代の10代には櫻いいよがいる。うむ、よかったよかった!

  • 私にはアオハルはなかった。だから、憧れはある。だけど、全部過去なんだよ。前を向くには勇気がいる。変わらないかもしれないけれど、前を向く勇気から、何かが始まるのかもしれない。

  • 罰を受けなかった5人が学校で課題をする。
    無理矢理な設定だが、個性の違う個々の問題を抱えた5人の交流の日々が主なストーリーであり、高校生達が素敵なのでそこは目を瞑る。

    #中高生

  • 苦手意識って実際のところはもっときっかけがあれば仲良くなれるんだなと思った。
    私は苦手と感覚で思うと、そう距離感を保ってしまう。
    このストーリーでの5人の絆がうらやましく思いました。

  • たったの5日間だけど、5人にとってはかけがえのない5日間。この5日間はとてもよかったけど、そのバックグラウンド、過去の話がちょっと不自然な感じ。それでも十分よかったですけどね。

  • 両親の離婚で、母親の故郷に引っ越してきた高校一年生の奈苗。1学年に1クラスしかない高校で、周りは地元の生徒ばかりだが、なんとか周りと仲良く過ごしている。そんな時、体育祭の打ち上げで飲酒が発覚し、参加した生徒らは3日間自宅謹慎することになった。その反面、奈苗を含め参加しなかった五人は、学校で自習することになった。
    3日間に休み2日間を合わせた5日間の中で、バラバラだった五人は共に繋がっていき、相手の知らなかった一面がわかってくる。


    爽やかな表紙、アオハルらしい雰囲気など青春の要素がいっぱい詰まっていました。高校生でしか味わえない友情や恋、はたまた苦い思い出も加わっていましたが、終始心地よい余韻がありました。

    それぞれの五人が抱えている苦悩を徐々に紹介しながらも、その内容に対応する他の生徒が、真摯に向き合っていて、みんな良いやつじゃんと思わずにはいられませんでした。

    一見、見た目はとっつきにくい人たちでも、話してみることで知らなかった一面を引き出せるかもしれません。
    安易に見た目だけで判断するのではなく、「中身」を見ることも大切であると感じました。

    でも、それらを実行することは容易ではありません。一歩踏み出してもいいし、半歩でもいい。はたまた今じゃなくても良い。色んな人がいます。

    どれが正解なのかもわかりません。大切なのは、自分で導き出す事なのかなと思いました。それが相手から促されて答えを出したとしても、それは自分の答えです。

    自分のペースで、自分の流れを作る。そういったことを作品を通じて学んだように感じました。

    ストーリーとしては、短い5日間でありながら、それぞれの苦悩の披露、恋に発展?、両親の離婚についてなど、ここまで話が展開するとは濃厚でもあり、驚きでもありました。ちょっと都合良すぎる?といったことが頭の片隅を通ったのですが、これはこれで良いのかなとも思いました。

    友情って良いなと昔を振り返りながら、感じました。

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著者プロフィール

2015年、スターツ出版文庫創刊を飾った『君が落とした青空』が22年に実写映画化。また17年からロングヒットの「交換ウソ日記」シリーズは累計40万部を突破し、10代女子を中心に人気を博している。他著に『わたしは告白ができない。』『世界は「」で沈んでいく』『世界は「」で満ちている』など人気作多数。

「2023年 『小戸森さんちはこの坂道の上』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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