宝石商リチャード氏の謎鑑定 少年と螺鈿箪笥 (集英社オレンジ文庫)

  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086804516

作品紹介・あらすじ

ドラッグストアで絆創膏を万引きをしようとした少年は、不思議な男と出会ってしまう。ポケットの中にあったはずの絆創膏は、いつの間にか男の手の中にあった。数奇な出会いから二人の運命は交錯してゆく。病に伏せがちな母、楽しくない学校、乏しい家計の収入、そして誰も住んでいないはずの屋敷に出没する『幽霊』。少年の世界の全てを変えてしまった男は『中田正義』と名乗り――? 大人気シリーズ、第三部開幕!

感想・レビュー・書評

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  • みのるくん、いいこ…!

  • ラスト、エピローグ。
    「ヴィンスさぁぁぁぁん!!!!!うぉぉぉぉ!!」と叫びたくなりました。
    久々のシリーズ読了、そして久々の連作短編形式、とても面白かった!
    視点がみのるくん視点に変わったことで、とても新鮮になり、また正義くんの成長、見え方も印象的でした。シリーズを通して読んでいるからわかるネタがあり、締め付けられるような気持ちもある。
    沢山のフレーズも響き、三部としては始めのノリが良いと感じました。

    ********************************
    以下、響いたフレーズ一覧(長いです)

    P.58リチャード
    「人は、本当に望まない場所に行くことはできません。肉体的に移動することはできるとしても、魂の伴わない場所には、その人は本当の意味で『赴いている』わけではないのです。イギリスで生活していた頃の私の魂が、(中略)書の世界に遊離していたように」

    P.68正義
    「そんなにいつも大丈夫じゃなくていいよ」

    P.94正義
    「俺は、自分が『友達になりたい』って思う人と友達になりたいけど、誰でもいいから友達になりたいとは、あんまり思わないな。友達が少なすぎるのは嫌だって人もいると思うけど、俺は逆に、友達が多すぎても嫌なことがあると思う」

    P.102正義
    「同情されるのって嫌だよな(中略)俺は運がよかったんだよ。俺には母親だけじゃなくて、近くにはばあちゃんもいたから。ばあちゃん大好きだったし(中略)うん、時々すごく会いたくなる」

    P.118リチャード
    「水は、もとの形に戻ることはありません。常に動き続けている。同じ場所、同じバケツで海の水をすくったとしても、同じ水ではないのと同じです。これは人間のありかたにも通じる話です(中略)くだいて言えば、『今日のあなたと明日のあなたはちょっと違う人』ということです」

    P.118リチャード
    「人間は成長する生き物です。(中略)小さなスパイスであっても考え方や感じ方は変化している」

    P.119リチャード
    「裏を返せば、変わり続けることこそが人間の本質とも言えるでしょう。何故ならこの世界とまたたえず変化し続けているのですから」

    P.234正義
    「時間は戻らないよ。でも、もっと何かできたんじゃないか(中略)って、ずっと考えてる」

    P234みのる
    「あの、それ、時間の無駄です(中略)『時間の無駄』っていうのは、お母さんの口ぐせなんです。『過去はやり直せない。くよくよしても、時間の無駄』って」

    P.292地の文
    ワンダフル・インクレディブル・リチャードさま

    P.294地の文
    リチャードは優しい。俺が知る限り誰よりも。

    P.295リチャード
    「ではあなたの幸せは、私の幸せの隣に座っているのでしょう」

    P.298リチャード
    「ご心配なく。何の心配もありません(中略)私は辛抱強い。あなたが言うべきことがあるというのなら、百年でも待ちましょう」

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  • シリーズ第3部!
    第3部では、正義が日本に戻ってくる!
    今回のメインとなる人物は、中学1年の霧江みのるという男の子。
    横浜市の公立中学校に通うみのるの元へ、正義がやってくる。
    みのるは正義のことを知らない。
    正義は自身のことをみのるの親戚、という。…どういうこと??

    本作ではいわゆる「宝石」ではなく、螺鈿細工が登場する。表紙のイラストは、まさに螺鈿細工!
    精神疾患を持つ母、生死不明の父。曲がりなりにも裕福とは言えない暮らし。
    そこに登場する正義は、さながらあしながおじさん。
    言葉にできない怒りなのか、悲しみなのか、胸に広がるもやもや。
    それを受け止め、心の奥底にあった「愛してほしい」「大切にして欲しい」という思いに応えてくれたのは正義だった。
    誰よりも愛して欲しかったのは母だが、自分のことなど視界に入っていないんじゃないか。
    しかし、そうではなかったことをみのるは知る。
    優しさと愛に溢れたシリーズ、次作刊行が楽しみだ。

  • 第三部開幕は新たに加わった中学生、みのるくん目線で語られていく(^^)みのるくんと正義との関係は?(・_・?)リチャードのことを幽霊だと思っているみのるくんが真実を知った時は驚くんだろうな(^。^)と、いろいろ想像しながら楽しく読了♪この先、どうなるんだろう?(゜゜;)がちょいちょいあって、気になるわ~(>.<)

  • あんまり宝石商と関係ないエピソードが多いのと、時間がどれくらい経過したのかよく分からないので、モヤモヤしながら読みました。何か読み飛ばした巻があるのかと思うくらい。

  • 「少年と螺鈿細工」
    遠い親戚であった。
    無理をして大丈夫と言い続けていたら、段々心は荒んで正常な判断が出来なくなるだろ。

    「友人とブレスレット」
    喧嘩をした翌日は。
    売り言葉に買い言葉だが、あんな侮辱をされれば大人でも頭に血が登り手が出るだろう。

    「女の子とダイヤモンド」
    紹介してほしい人。
    夢のような時間を過ごした後だからこそ、自分だけ楽しんで等と思ってしまうのだろう。

    「少年と螺鈿細工と真実」
    幽霊とした約束は。
    関係性をハッキリと伝えてなかったが、こんな事を簡単に伝えるわけにはいかないよな。

    「大人たちと名刺入れ」
    探し物は見つかり。
    どちらかを選ばなければいけなくなったとしても、天秤にかけるには重い内容だよな。

  • 2023/06/08

    正義視点じゃなくなった。正義めっちゃかっこいい人になってる。最後の草むしりしてる二人がいつもの感じですき。

  • みのるくん、両親とも(父に関しては記憶も曖昧、でも置き去りとか…ひどい!)なかなかの手合いだろうに優しく育ったものだなと感心してしまう
    少しずつ心を通わせて、リチャードも正義もスーパー親友たちもみのるくんにとって『大切な人』になっていく様子がとても嬉しい
    正義のリチャードの負担を減らすための努力、すごすぎる…本当に大好きやん…
    またあの父親が関わってくるのかもと思うと少々しんどいけれど…新章の続きが楽しみ

  • 23.05.04読了
    3部はそんな感じで展開?
    日本に戻ってきて、義理の弟発見!からの保護者?!って感じかー。宝石よりもストーリー重視で、普通に平和な物語になってる。
    このほのぼの感もすきだなー。

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著者プロフィール

9月24日生まれ。神奈川県出身。『時泥棒と椿姫の夢』で2014年度ロマン賞を受賞。受賞作を改題・加筆改稿した『螺旋時空のラビリンス』で文庫デビュー。

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