これは経費で落ちません! 10 ~経理部の森若さん~ (集英社オレンジ文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086804790

作品紹介・あらすじ

天天コーポレーションへの税務調査が始まった。やって来た四人の調査官の対応は経理部の仕事のため、沙名子も気合が入る。調査官たちは想像していたよりも穏健だが、抜け目のない印象。詳細の説明のために呼び出された社員が余計なことを喋りそうになるなど、想定外の事態もあるので緊張は解けない。社交性豊かな営業部員などは特に要注意だ。大きな懸念は、吸収合併したトナカイ化粧品関連だ。合併前のものに関しては経理処理も修正納税も済んでいるはずだが、もしかしたら何か新事実が出てくるかもしれず…? そして先日、沙名子が太陽に言われた「結婚しよう」という言葉。太陽も沙名子も、結婚というものをどう捉えるかに悩み、じれったいままに時間は過ぎていくが…?

感想・レビュー・書評

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  • やっと、やっとかよ!
    というのが1番の感想。

    今回は天天コーポレーションに税務調査が入った話。いつもみたいに、ちょっとした謎解きはない。その代わり、税務調査官との攻防が見どころ。

    それよりも前巻で太陽がプロポーズをして終わったので、それがどうなるかが、この10巻の一番の関心。

    大団円に向かって行きつつあるのかなと思うと、少し寂しくなりつつある10巻でした。

  • シリーズ最新作。
    今回は〈天天コーポレーション〉に税務調査が入る話と、前作からの森若・太陽の関係進展の話を軸に進む。

    税務調査をする国税局は『警察なのか営業なのか』という話だが、わたしが読む警察物はこの理論で言えば『営業』なので、結局国税局も警察も『営業』ということになるのだろうか。
    〈天天コーポレーション〉のようにきっかりきっちりした経理部員揃いの会社ですら、様々な解釈の違いでグレーな処理がある。
    ましてや元〈トナカイ化粧品〉に至っては過去の作品からして怪しさ満載。どうなるのかとハラハラしたが、その結果は。

    意外だったのは〈トナカイ化粧品〉は社員が固い絆で結ばれた家族的な会社なのかと思っていたら、そうでもなかったということ。人の思いも考え方も価値観も人それぞれだった。

    国税局の人間もそれぞれ。もっと腹黒い人がいるのかと思ったが割と常識的な人たちだった。杉原をもう少し深堀して欲しかったように思う。

    相変わらず営業部の鎌本のねちっこさが気持ち悪い。このままエスカレートすると次作あたりで大爆発が起こりそうで怖い。

    そして森若と太陽の関係がついに…というのはシリーズを追いかけてきた者としてはホッとするが、途中喧嘩腰な感じもあってハラハラしてしまった。
    そして最後に太陽に突きつけたタスク表には笑ってしまった。実に森若らしい。

    次が完結編になるのだろうか。真夕ちゃん目線のエピローグも好きだったので、真夕ちゃんのエピソードももう少し読みたい気がするが。

  • 沙名子と太陽がついに結婚に向けて進みだして終わった。
    ついにというか、やっと!!
    真夕は普段が付き合っていることすら知らないから、公にされたときにかなりショックなんじゃ?

    今回もチラチラと出てくる美華さんが好きでした。
    脳内再生は江口のりこさんで。

    税務調査もなかなか興味深かった。
    うちの会社にも来ないかなーなんて思ったり。

  • あの森若さんが遂に結婚かと思うと感慨深い。
    プロポーズ承諾のシーンはヤキモキしながら、最終的には素敵なシーンだった。
    このシリーズは変に裏切られないところが好き。安心して読める。
    次回辺り最終回なのだろうか。寂しいなぁ。

  • 2023.2.10読了。
    (デジタル書籍で登録してしまったので、登録し直しました)
    東野圭吾さんの加賀恭一郎、畠恵さんの若旦那、そして森若さん♡私の大好きなキャラクターにここのところ縁があって、とても幸せな読書生活を送っております。特にこの「それは経費で落ちません」シリーズは感想を書いておられる方も安定のうまさ(笑)そして皆さん、森若さん&太陽くんを温かく見守っておられて、感想を読ませてもらってまた、ほのぼのした気持ちになりました。
    今回は税務調査、という聞いたことはあるけど、事務をしたことのない私には縁のない出来事を中心にお話が進んでいきます。税務調査って本当に大変そうですね〜
    縁のない私でも、税務官の細かさ、鋭さはわかるような気がします。天天コーポレーションの優秀な経理課のメンバー、普通なら難なく済ませられる税務調査も今回は合併、という2つの対照的な経理管理をしてきた会社が加わって、予期せぬ追求が次々とやってきます。税務調査の1カ月、本当にお疲れ様でした。読んでいる私も終わってやれやれ、という気持ちでした。ずっと税務調査のお話が続くので、太陽くんは出番ないのかなぁ、と寂しく思っていましたが、今回とってもキュンキュンな場面があり……嬉しかったです。ただ、最後に太陽くんが固まってしまう場面で終わったので、次回どんなことが起こるのか待ち切れないくらい楽しみです。
    そして、最後のこれも大好きな真夕ちゃんのコーナー
    「天天コーポレーション経理課は、今日も平和だ」
    いつも充実感と寂しさを感じながら読み終えます。
    真夕ちゃん、またライブに行けるようになって良かったね〜♪♪アレッサンドロ見てみたい(笑)
    真夕ちゃんコーナーで、太陽くんが結婚する、という噂が天天コーポレーションを駆け巡っている様子が描かれているので、相手が森若さん、とわかった時、天天コーポレーションのメンバーがどんな反応をするのか、それぞれの反応も含めて、2人のこれからがまだまだとっても楽しみです。

  • シリーズ10作目。
    経理としては一大事の税務調査をメインに描いた今作。
    今作は税務調査員との駆け引きがほとんどで、本来の沙名子の活躍はほぼない。
    経理のお仕事物で、こんなに長くシリーズが続くとは思ってもいなかったが、ただただ波風を立てないように仕事をしたいと思っている人ほど、いろいろ厄介ごとがやってくるのよね、と思いながら、読んでいる方もダラダラ10作も読んでしまった。
    経理の仕事が分からない人も、今作を読んで、少し経理の仕事を理解してくれたら嬉しい。
    それにしても、太陽との恋愛もようやく婚約に進展。
    こちらも長かった・・・

  • 大好きなシリーズ。
    今回は税務調査という緊張感のあるお話しがベースで、沙名子の仕事ぶりを読むのが好きなので嬉しい。太陽との関係も進展があり、また次回作も楽しみに待っています。

  •  天天コーポレーション経理部OLの森若沙名子の日常を描くシリーズ。10作目となる本作も、4話と沙名子の同僚の真夕の視点で語られるエピローグで構成されている。

         * * * * *

     珍しくストーリーにミステリー要素はなく、本巻の核の1つになると思われた沙名子と太陽の結婚問題も、終盤にお茶を濁すかのように手短に語られただけでした。

     けれど、物語全編を貫く「税務調査」の模様がハードで惹きつけられたし、最後の「手みやげ」のひと幕もリアリティが感じられておもしろかった。
     普段は地味な部署と見られがちな経理部の、社の命運を背負った最前線での戦いを堪能することができました。優れたお仕事小説としての展開もなかなかいいものでした。

     太陽と婚約した沙名子。喜ばしい(沙名子ファンとしては少し寂しい)話だけれどこのままオーラスに向かって物語は進むのでしょうか?

     格馬新体制に不満を持つ古参の吉村・新発田ら部長級の動きは予断を許しません。また、大悟の昼行灯ぶりも妙に気にかかります。さらに、ザコキャラ・鎌本の様子も不気味です。

     もうひと波乱もふた波乱もありそうな天天コーポレーション内部。クールビューティー・沙名子の活躍は、まだまだ見られそうだと思います。(願望です。)

  • 税務調査官の着眼点、経理部員との駆け引き。被監査側としてこころがけることなど、小説として多少は誇張されている点があるとしても、勉強になる。また、森若沙名子の考え方や行動のありようは、財務会計の姿をあらわし、麻吹のほうは管理会計や経営戦略としての視点にもウェイトがあり、田倉は双方の視点を持つ、というように経理部の機能がキャラクターに投影されている。ラブコメのほうは、お仕事小説としての共感を喚起するためのサイドストーリーだな。

  • 税務調査、とプロポーズの返事でまるっと1冊。
    しかし、真夕ちゃん、なんで気づかないんだろう。
    というか、本当は気づいてるけど、「いいや、そんなはずはない!」って打ち消してる?
    そして、大阪の川本さん、するどいっ!
    (帯についてるおまけエピソードの感想です)

    沙名子も薄々気づいてドキッとしてたけど、本社営業部と本社経理部が夫婦ってのは、やっぱり会社的にまずいと思う。
    逆に、もっと大きい会社で、都内でも各所に営業所があるレベルだとなんとでもなるし、逆にもっと小さい会社でもあるあるなのでなんとかなる。
    そういう意味では天天コーポレーションは中途半端である。

    となると、沙名子が辞めるか、異動するかして「経理部の森若さん」ではなくなって終了、か、二人とも辞められては困る人材として、会社がなんとかするのか。

    なんとかした場合、第二章開幕になって、いくらでも話が続いてサザエさん的に続けることもできそうだ。

    勇太郎と織子さんの件も完全には片付いてなかったと思うけど、あれはどうなっているのか。
    経理課長と広報部長も、会社的に結構まずそうだし。

    あと、鎌本はどっかで大きな事件(セクハラ的な)を起こして、会社クビになったりしないかな。
    基本的に、悪い人がいないシリーズだと思うけど、鎌本だけは全く同情も共感もできないし、キモいし、意図的にそういう人物として設定している気がする。
    山崎が馬垣の時みたいになんかやりそう。

    そして、いつものように前巻を読み返したくなるのである。

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著者プロフィール

あおき・ゆうこ
『ぼくのズーマー』が集英社主催2002年度ノベル大賞を受賞してデビュー。『これは経費で落ちません! 経理部の森若さん』シリーズがドラマ化、コミック化され人気を博す。『派遣社員あすみの家計簿』も好調!

「2021年 『コーチ! はげまし屋・立花ことりのクライアントファイル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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