- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087201864
作品紹介・あらすじ
本書は、廃墟が歴史的にどのように登場し、時代と場所の違いに応じてどのような変容をかさね、いかなる人物が廃墟概念の成立にかかわってきたのかを、詳細に考察していく。廃墟の視覚的表象を中心に、関連するさまざまな言説を分析しながら、廃墟の本質を明らかにする。著者の廃墟論の集大成であり、知的刺激にみちた「廃墟の表象史」、廃墟学入門である。
感想・レビュー・書評
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廃墟についての西欧芸術論的アプローチ。モンス・デジデリオについては一章を割いており読み応えがあった。
人工の廃墟置きまくりの頭がおかしい(褒め言葉)イギリスのストウ庭園、そのうち行ってみたいです。 -
引き続きローマの表象について知りたくて。すでに知っていることが多かったけれど、取りこぼしていた部分も知れたのはよかった。最後の文献案内がすごく充実している!
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廃墟のもつ美について美術史上の事例を参照し、簡明な見取り図をえがき出している本です。
本書では、18世紀中ごろのイギリスにおいて「ピクチャレスク」ということばが特殊な意味を担うようになり、とくに「絵のように」美しい素朴な自然美とそこに居合わせる古代の建造物の廃墟に価値が認められるようになったことや、ジョバンニ・バティスタ・ピラネージの建築画において壮大なローマへのあこがれが廃墟のモティーフとともに表現されていたことに触れています。ただし、そこでの廃墟へ向けられていたまなざしは「うつろひ」の美学のようなものではなく、古代ローマ帝国の強大な権力とみずからの位置をかさねあわせることによって自己を永遠化しようとする意図だったと論じられています。
さらに著者はサー・ジョン・ソーンのコレクションにおいて廃墟のモティーフが断片化されていった経緯などを解説しています。そのうえで、廃墟が特別な関心を向けられるようになった背景に、廃墟というモティーフが「断片」となり「フェイク」となったことをたしかめています。
最後に、著者自身が監修を務めた『廃墟大全』(中公文庫)の諸論文の紹介と、廃墟にまつわる文献の案内がなされています。
廃墟について美学的な観点から考えるうえで踏まえておくべき美術史上のいくつかの事例を紹介するにとどまっており、著者自身の「廃墟の美学」を提示するまでには至っていない印象を受けました。 -
2003-00-00
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廃墟の美学というよりも、芸術的題材としての廃墟の美学と、歴史的関わり。
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豊かな知識に感服
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立原道造の論文についてから始まる
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「廃墟の半分は廃墟をめぐる物語」
魅せられる。
廃墟画を生で見たい。 -
[ 内容 ]
本書は、廃墟が歴史的にどのように登場し、時代と場所の違いに応じてどのような変容をかさね、いかなる人物が廃墟概念の成立にかかわってきたのかを、詳細に考察していく。
廃墟の視覚的表象を中心に、関連するさまざまな言説を分析しながら、廃墟の本質を明らかにする。
著者の廃墟論の集大成であり、知的刺激にみちた「廃墟の表象史」、廃墟学入門である。
[ 目次 ]
1 没落のヴィジョン
2 モンス・デジデリオあるいは建築の狂気
3 ピクチャレスクの円環
4 ピラネージの世紀
5 廃墟趣味と断片の美学―サー・ジョン・ソーンズ・ミュージアム
6 廃墟のトポス
7 補論としての私的文献案内
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