うつと自殺 (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
3.17
  • (2)
  • (10)
  • (24)
  • (3)
  • (2)
本棚登録 : 101
感想 : 13
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087202397

作品紹介・あらすじ

激増する中高年男性の自殺。その多くはうつ病が引き金になっている。うつ病をまねくのは、経済問題や人間関係の悩みだけではない。他の病気や手術などでからだが弱っていることが、うつ病を引き起こすケースもある。そのうえ、慢性化した頭痛や腰痛、インポテンツ、食欲不振など、さまざまな身体症状にうつ病は隠れたり、共存しながら心身を蝕んでいく。しかし、うつ病は治せる病気である。本人はもとより家族や会社、医師にもその症状や治療方法の情報が充分でないため、みすみすたすかる命が失われているのである。本書は、心療内科の第一人者が、豊富な実例をまじえて、うつ病の知られざるすがたを明らかにし、あなたとあなたの大切な家族を守る方法をあますところなく伝える、現代人必読の書である。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「うつ病」とはどういう「病気」なのか、症状の現われ方を中心に詳しく説明している。時には頭痛や腰痛、高血圧、更年期障害等といった身体的症状の形で「うつ病」が現われることもあるというのが興味深い。さらに、ガン患者の間に「うつ病」が現われ易いそうで、その因果関係についても一章を設けている。
    身体の病気の療養中に、不安や薬がひきがねとなって「うつ病」になってしまうことも多いという。

     著者は、心療内科のパイオニア的医師であるだけに、心の病と身体の病は表裏一体であることを繰り返し述べる。そして、身体の部位で専門性が別れている現状の診療体制では、心身両面で「うつ病」を捉えて治療しケアしていくことが難しいとし、精神科・診療内科の医師がそれ以外の内科・外科の医師達と横断的に連携していく体制のあり方を提言している。

     全体的に、成人病等の記述も多く、本書ではうつを中高年者の側面から捉えている。うつについて関心を抱く若い世代の読者向きでは無いかもしれない。

     自殺のサインについて以下のような記述があった。
    「SOSのサインは、はっきりはしなくても注意すれば見えてくるともいわれるが、非常にわかりにくく、実際は後になって「そういえばあんなことがあったな」とわかる程度なのだ。」
     本書によると、うつ病の人は、死への思いを周囲に気付かせないようにしがちなのだという。

     

  •  この本は,自殺に大きな影響を与えているうつ病に関する本です。
     自殺だけではなく,さまざまな身体の病気とも大きな関係があることが書かれています。うつ病を初期の段階で発見するためにもその身体の病気との関係を知っておくことは重要だと書かれています。特に,睡眠障害は重要です。
     うつ病の当事者だけではなく,家族や精神保健福祉の専門職としても知っておく必要があることについての記述もあります。
     身体の病気と心の病気は非常に影響しているのに,別々の病気として扱われるために現れる問題についても触れられています。

  • 薬を飲めば鬱が治ると信じることが、自殺を考え直す一番効果的な方法だと思った。

  • 【要約】
    自殺者を減らすために何をどうすべきかを本気で考えている、数少ないお医者さんによる概説書。

  • うつ病になった人のためにも、また、自分自身のためにも読んでおきたい一冊。

  • こんな医者はほんの僅かである。

  • うつ病について丁寧に分かりやすく説明されてあります。またうつ病の典型的な症状、どういう人がうつ病になりやすいか、うつ病かうつ病でないかの見分け方についてもきちんとポイントをついて説明してあります。外科手術を受けて入院する人にもうつ病が起こりやすいと言うのはわたしも知りませんでした。

  • 30ページ、

    >>うつ病は、一言でいうと、「生きる意欲」が失われてしまう病気である。

    これは簡潔にして本質をついた言葉だと思う。

    今では少々古いところもあるが、うつ病の全容を知るにはいい本。

    個人的に、うつ病の診断をもらって最初に読んだ啓蒙書。

  • [ 内容 ]
    激増する中高年男性の自殺。
    その多くはうつ病が引き金になっている。
    うつ病をまねくのは、経済問題や人間関係の悩みだけではない。
    他の病気や手術などでからだが弱っていることが、うつ病を引き起こすケースもある。
    そのうえ、慢性化した頭痛や腰痛、インポテンツ、食欲不振など、さまざまな身体症状にうつ病は隠れたり、共存しながら心身を蝕んでいく。
    しかし、うつ病は治せる病気である。
    本人はもとより家族や会社、医師にもその症状や治療方法の情報が充分でないため、みすみすたすかる命が失われているのである。
    本書は、心療内科の第一人者が、豊富な実例をまじえて、うつ病の知られざるすがたを明らかにし、あなたとあなたの大切な家族を守る方法をあますところなく伝える、現代人必読の書である。

    [ 目次 ]
    序章 中高年男性の自殺
    第1章 うつ病とはどんな病気か
    第2章 うつ病の症状七つのポイント
    第3章 うつ病をみつける
    第4章 からだの病気と共存するうつ病
    第5章 「実はうつ病だった」という症例
    第6章 うつ病とまぎらわしい心の病気
    第7章 ガンとうつ病
    第8章 高齢者とうつ病
    第9章 精神科と心療内科
    第10章 うつ病を予防し、「うつ自殺」を防ぐために

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • うつ病についての基本的な知識が載っています。改めて、うつ病はうつ病という病気であり、うつ病患者には自殺念慮があることを認識しました。
    作用機構などは載っておらず、特に、うつ病が様々な他疾患と共存して起こることを症例を挙げて広く浅く述べています。
    患者・周りのサポート者・さらには、医療従事者に向けてメッセージが書かれています。

全13件中 1 - 10件を表示

筒井末春の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×