搾取される若者たち ―バイク便ライダーは見た! (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 360
感想 : 55
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087203615

作品紹介・あらすじ

大学を休学した「僕」は、一年間にわたりバイク便ライダーの仕事に従事する。そこで出会ったのは、不安定雇用の立場に甘んじながら、危険労働の現場に積極的に飛び込む、同僚ライダーたちの姿だった。広く他業種を見渡しても、ニート問題や引きこもりでやり玉にあがることの多い若者たちは、むしろ、自ら進んでワーカホリック状態に陥っている。それは一体なぜなのか?東京大学大学院に在籍中の著者が、自らの体験をもとに、同世代の団塊ジュニアが直面する労働・雇用問題を分析した、衝撃の論考。

感想・レビュー・書評

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  • 東大大学院を休学中に、バイク便ライダーの仕事を体験していた著者が、参与観察の手法を通して、バイク便ライダーたちの「やりたいこと」を仕事にしたいという彼らの思いが、彼ら自身の不安定な働き方を受け入れることへとつながっていく構造を明らかにしている本です。

    わたくし自身は、本書よりも先に鈴木涼美の『「AV女優」の社会学―なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか』(青土社)を読んでおり、基本的にはおなじ問題に焦点をあてている本だという印象を受けましたが、本書のほうが先に刊行されているようです。もっとも鈴木のばあいは、参与観察の手法だったことは後から暴露されたわけですが。

    『13歳のハローワーク』(幻冬舎)の示す人生観・労働観が、現在でも多くの若者たちに知らず知らずのうちに受け入れられていることを想えば、本書はそれに対するするどい問題提起としての意味はあるのでしょう。

  • 結論は、特に驚くようなものではなかったが、バイク便ライダーに焦点を合わせたところが、やや異色と言えようか。若年層に限らず、労働問題・サービス残業問題などは、一般論としても解決を迫られているし、本書はその一例を提示したと言える。

  •  東京大学大学院で社会学を学ぶ学生である筆者が、1年間のバイク便ライダーの実体験を基にして若者の「ワーカーホリック」を分析した新書。

     正直に言って内容は薄い。バイク便ライダーの実態を知りたければ読む価値はあるかもしれないが、社会の実態を探ろうとするのであれば読むべき本は他にある。内容が薄くなっている原因は、一面的な具象の量に対し、そこから導き出される抽象の薄さであろう。バイク便ライダーというひとつの世界を調査・報告し、バイク便ライダーの落とし穴や心理的傾向を分析していくのだが、そのバイク便ライダーの事例分析に150項の内130項は費やしている。問題を一般化して書かれた部分が最終章の20項だけではあまりにも少ないような気がする。そもそもの筆者の狙いが「実体験からの報告」に近いのだろう。それにしても、本書の内容は要約してしまえば3~5ページに収まるのではないだろうか。
     社会全体のことを論じるのであれば、もっと多くの経験をしてからの方が良いのではないか?と思わずつっこんでしまいたくなった。

  • 期待外れ。がっかり。

    こんなに内容の薄い本は初めて。
    著者は社会学専攻の学生だという。しかし社会学の緻密さは無く、読後感はルポルタージュに近い。しかもルポとしても中途半端。

    品位の無い文章に辟易。
    カジュアルな語り口をねらった積もりか…。

    さらに最終章では、ネットで検索した情報の引用が連発され、怒りが沸騰した。
    自身で取材すべき情報である。 大いにあきれた。

    著者、編集者に猛省を促す。

    星一つもつけたくない。  せいぜい星半分。

  • バイク便ライダーの実態が、わかりやすく描かれていて面白かった。
    何かにはまり込む事は、人生における幸せの一つであると思うけど、一方ではまらせるように仕向ける機能が、職場で使われるというのは恐ろしいことと思う。

  •  社会学を勉強していた学生であった著者が実際にバイク便のライダーを経験し、危険な状況で働く彼らの姿から、搾取されていることに気づかない団塊ジュニアの問題点をあぶりだしている。
     著者の主張は「自分の好きなことを仕事にする」という価値観の対極にある。少し分析が浅いような感じもするけれど、団塊ジュニアの特性とワーカホリックを結びつける発想はユニークだと思う。

  • バイク便という仕事を通して労働問題について述べている。

  • バイク便ライダーたちの過酷な労働現場の実態。2006年に出版された本だが、いま厳しい目が向けられているブラック企業の問題を予見していたかのよう。それでも、なぜ若者は働き続けるのかについての考察は、団塊ジュニア世代の著者だからこその説得力があった。

  • 2011/12/14
    バイク便ライダーのブラック業界ぷりの紹介。
    知らないことを知りました。
    資料として持っててもいい

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著者プロフィール

阿部 真大(甲南大学文学部教授)

「2022年 『質的調査の方法〔第3版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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