- Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087203615
作品紹介・あらすじ
大学を休学した「僕」は、一年間にわたりバイク便ライダーの仕事に従事する。そこで出会ったのは、不安定雇用の立場に甘んじながら、危険労働の現場に積極的に飛び込む、同僚ライダーたちの姿だった。広く他業種を見渡しても、ニート問題や引きこもりでやり玉にあがることの多い若者たちは、むしろ、自ら進んでワーカホリック状態に陥っている。それは一体なぜなのか?東京大学大学院に在籍中の著者が、自らの体験をもとに、同世代の団塊ジュニアが直面する労働・雇用問題を分析した、衝撃の論考。
感想・レビュー・書評
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東大大学院を休学中に、バイク便ライダーの仕事を体験していた著者が、参与観察の手法を通して、バイク便ライダーたちの「やりたいこと」を仕事にしたいという彼らの思いが、彼ら自身の不安定な働き方を受け入れることへとつながっていく構造を明らかにしている本です。
わたくし自身は、本書よりも先に鈴木涼美の『「AV女優」の社会学―なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか』(青土社)を読んでおり、基本的にはおなじ問題に焦点をあてている本だという印象を受けましたが、本書のほうが先に刊行されているようです。もっとも鈴木のばあいは、参与観察の手法だったことは後から暴露されたわけですが。
『13歳のハローワーク』(幻冬舎)の示す人生観・労働観が、現在でも多くの若者たちに知らず知らずのうちに受け入れられていることを想えば、本書はそれに対するするどい問題提起としての意味はあるのでしょう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
東京大学大学院で社会学を学ぶ学生である筆者が、1年間のバイク便ライダーの実体験を基にして若者の「ワーカーホリック」を分析した新書。
正直に言って内容は薄い。バイク便ライダーの実態を知りたければ読む価値はあるかもしれないが、社会の実態を探ろうとするのであれば読むべき本は他にある。内容が薄くなっている原因は、一面的な具象の量に対し、そこから導き出される抽象の薄さであろう。バイク便ライダーというひとつの世界を調査・報告し、バイク便ライダーの落とし穴や心理的傾向を分析していくのだが、そのバイク便ライダーの事例分析に150項の内130項は費やしている。問題を一般化して書かれた部分が最終章の20項だけではあまりにも少ないような気がする。そもそもの筆者の狙いが「実体験からの報告」に近いのだろう。それにしても、本書の内容は要約してしまえば3~5ページに収まるのではないだろうか。
社会全体のことを論じるのであれば、もっと多くの経験をしてからの方が良いのではないか?と思わずつっこんでしまいたくなった。 -
バイク便ライダーの実態が、わかりやすく描かれていて面白かった。
何かにはまり込む事は、人生における幸せの一つであると思うけど、一方ではまらせるように仕向ける機能が、職場で使われるというのは恐ろしいことと思う。 -
バイク便という仕事を通して労働問題について述べている。
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バイク便ライダーたちの過酷な労働現場の実態。2006年に出版された本だが、いま厳しい目が向けられているブラック企業の問題を予見していたかのよう。それでも、なぜ若者は働き続けるのかについての考察は、団塊ジュニア世代の著者だからこその説得力があった。
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2011/12/14
バイク便ライダーのブラック業界ぷりの紹介。
知らないことを知りました。
資料として持っててもいい