反米大陸―中南米がアメリカにつきつけるNO! (集英社新書 420D)

著者 :
  • 集英社
3.62
  • (8)
  • (30)
  • (23)
  • (5)
  • (0)
本棚登録 : 190
感想 : 24
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087204209

作品紹介・あらすじ

中南米の近代史はアメリカによる侵略と支配、収奪の歴史である。アメリカはその政策をまず中南米で実践し、その後中東、アジアなど他の地域で大規模に展開してきた。中南米がたどってきた道を知れば、アメリカがこれから世界で、日本で何をしようとしているのかが分かる。そして今、アメリカが推し進める新自由主義経済政策による格差の拡大から、ブラジル、ベネズエラをはじめとして、中南米のほとんどの国が反米左翼政権となり、反米大陸といわれるほど独自の路線を打ち出している。最新のデータを駆使しながら、アメリカと中南米諸国の歴史と実情、未来に迫る。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 非常に参考になる。これより前に新米保守の藤井厳喜氏による『日本人が知らないアメリカの本音』を読んで、おバカに説明するようななんちゃってアメリカ史を読んでしまったので、丁度良い脱洗脳&消毒ができて大変ありがたい。

    それにしても、アメリカの汚いやり方に読んでいる途中で何度も吐き気を催した。

    「おわりに」ある、従米だけでは日本がアメリカの餌食になるだけとの指摘は正しく現実のものになりつつある。

  • アメリカが中南米に対してどんなに酷いことをしてきたのか告発するような内容。かなり一方的にとらえてるように感じたが、アメリカという国に対しては十分な警戒心が必要であることは伝わった。

  • 2019.02―読了

  • 2007年刊行の本なので、サブタイトルのような「中南米がアメリカにつきつけるNO!」のような状況が中南米にあるかどうかは疑問だ。ベネズエラのチャベス大統領は死去したし、ベネズエラは経済破綻してしまった。
    しかし、それでも読む価値は大いにある。
    アメリカが中南米にどんなことをしてきたか、私たちはあまりに知らない。この本を読んだ私の第一印象は、日本が朝鮮半島や中国でかつてやってきたことと変わらないではないか、というものだった。
    決して、過去に日本が大陸や朝鮮半島でやってきたことを擁護するつもりはない。しかし、アメリカは中南米で同じことをやってきたのだ。日本が傀儡政権を作ったのは中国だけだ。朝鮮半島や台湾は併合した。
    しかし、アメリカは初期においては、先住民やメキシコから土地を奪ったし、中南米では、敵対的な政権は転覆させ、傀儡政権をいくつも樹立している。
    中南米を通じて、アメリカの暗い一面がわかる本である。

  • 【要約】


    【ノート】

  • 中南米の国々の政治、経済事情を通してアメリカという国がどういう歴史を辿ってきたかの大まかな流れが理解できる良書。

    7年以上前に書かれたものだが、今の中東情勢に関してもアメリカのこういった視点を持ってみるとアメリカのやり方は変わっていないと感じる。しかし、中東にはその同じやり方は通じなくなっているし、世界はアメリカのやり方の限界に気付き始めているのではないだろうか。

    今の日本があるのは冷戦構造によりアメリカとしての戦略的位置づけによるものという話は知っていたがそれがアメリカがやってきた流れとして理解でき腑に落ちました。

  • 2012.9.20
    反米に寄りすぎてる感はあるが、アメリカという国がどういう国かがよくわかる。これ読んでると日本はまだマシかと思えるが、本当はそうじゃないのか?

  • 米州関係における反米の系譜を知る上で面白い。少し偏った見方だなあという気もしたが。

  • ▼国際統合論Ⅱの参考書として通読。「南米南部共同体(メルコスール)」への言及こそ微々たるものではあったが、どうしてまとまろうとするのか、その動因が良く分かる一冊であったと思う。
    ▼努力すれば報われる――はずだったが、上へと登るハシゴを外され、それが叶わない夢であるのだと私たちが痛感するようになったいま、ようやく新自由主義が万能であるという“神話”に疑いの目が向けれられるようになった。
    ▼しかし、これが国内に存在するアン・フェアな貧富格差の構造の問題であるだけならまだしも、国境を越え、それこそグローバルに展開していたのである。その理解なしに、彼らを「反米」「左翼」と一括りにしてしまえば、多くの事実を見過ごしてしまうだろう。
    ▼本書はアメリカ近現代(政治・外交)史を違った視点から見直すには良いと思。だが、キューバの話をするのにソ連が出てこなかったり、あるいは各国の現状への言及が好意的なものばかりであったり、やや物足りなさを感じたのも事実である。

  • 文章も内容も朝日新聞的なのは否めず、その部分でまず好き嫌いははっきり別れそう。書き方も一方的だが、報道も少ないこの地域で何が起きているか、それを知る意味ではためになる一冊。
    個人的には一度は読むことをおすすめしたい。

全24件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

ジャーナリスト。1949年、山口県生まれ。東京大学法学部卒業。1974年、朝日新聞に入社。サンパウロ支局長、バルセロナ支局長、ロサンゼルス支局長などを歴任、40年にわたり主に国際報道の分野で取材を続けた。2014年に朝日新聞退職後も、フリーのジャーナリストとして各国の取材を続け、精力的に執筆と講演を行っている。「コスタリカ平和の会」共同代表。「九条の会」世話人。

大学時代、キューバで半年間、サトウキビ刈り国際ボランティアとして汗を流した。4年生の夏休みに朝日新聞社から内定を得るが、産経新聞社が進めていた冒険企画に応募。スペイン語とルーマニア語の知識があったことから「東大ジプシー調査探検隊」を結成して東欧へと旅立った。東欧では「日本のジプシー」を名乗り、現地のジプシーと交わって暮らした。日本初のジプシー語辞書を作り、帰国後は新聞にルポを連載、ジプシーを扱った映画『ガッジョ・ディーロ』ではジプシー語の翻訳を担当した。ジプシー調査でジャーナリズムの醍醐味を知り、1974年、再度入社試験を受けて朝日新聞社に入社した。

朝日新聞時代も、学生時代の突貫精神そのままに、市街戦の銃弾をかいくぐりながら、そしてときには会社とも闘いながら取材を続けた。フリーになった現在も変わらない記者魂を、本書の随所で感じることができる。

「2019年 『世界を変えた勇気 自由と抵抗51の物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

伊藤千尋の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×