反米大陸―中南米がアメリカにつきつけるNO! (集英社新書 420D)
- 集英社 (2007年12月14日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087204209
作品紹介・あらすじ
中南米の近代史はアメリカによる侵略と支配、収奪の歴史である。アメリカはその政策をまず中南米で実践し、その後中東、アジアなど他の地域で大規模に展開してきた。中南米がたどってきた道を知れば、アメリカがこれから世界で、日本で何をしようとしているのかが分かる。そして今、アメリカが推し進める新自由主義経済政策による格差の拡大から、ブラジル、ベネズエラをはじめとして、中南米のほとんどの国が反米左翼政権となり、反米大陸といわれるほど独自の路線を打ち出している。最新のデータを駆使しながら、アメリカと中南米諸国の歴史と実情、未来に迫る。
感想・レビュー・書評
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非常に参考になる。これより前に新米保守の藤井厳喜氏による『日本人が知らないアメリカの本音』を読んで、おバカに説明するようななんちゃってアメリカ史を読んでしまったので、丁度良い脱洗脳&消毒ができて大変ありがたい。
それにしても、アメリカの汚いやり方に読んでいる途中で何度も吐き気を催した。
「おわりに」ある、従米だけでは日本がアメリカの餌食になるだけとの指摘は正しく現実のものになりつつある。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
アメリカが中南米に対してどんなに酷いことをしてきたのか告発するような内容。かなり一方的にとらえてるように感じたが、アメリカという国に対しては十分な警戒心が必要であることは伝わった。
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2019.02―読了
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2007年刊行の本なので、サブタイトルのような「中南米がアメリカにつきつけるNO!」のような状況が中南米にあるかどうかは疑問だ。ベネズエラのチャベス大統領は死去したし、ベネズエラは経済破綻してしまった。
しかし、それでも読む価値は大いにある。
アメリカが中南米にどんなことをしてきたか、私たちはあまりに知らない。この本を読んだ私の第一印象は、日本が朝鮮半島や中国でかつてやってきたことと変わらないではないか、というものだった。
決して、過去に日本が大陸や朝鮮半島でやってきたことを擁護するつもりはない。しかし、アメリカは中南米で同じことをやってきたのだ。日本が傀儡政権を作ったのは中国だけだ。朝鮮半島や台湾は併合した。
しかし、アメリカは初期においては、先住民やメキシコから土地を奪ったし、中南米では、敵対的な政権は転覆させ、傀儡政権をいくつも樹立している。
中南米を通じて、アメリカの暗い一面がわかる本である。 -
【要約】
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【ノート】
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中南米の国々の政治、経済事情を通してアメリカという国がどういう歴史を辿ってきたかの大まかな流れが理解できる良書。
7年以上前に書かれたものだが、今の中東情勢に関してもアメリカのこういった視点を持ってみるとアメリカのやり方は変わっていないと感じる。しかし、中東にはその同じやり方は通じなくなっているし、世界はアメリカのやり方の限界に気付き始めているのではないだろうか。
今の日本があるのは冷戦構造によりアメリカとしての戦略的位置づけによるものという話は知っていたがそれがアメリカがやってきた流れとして理解でき腑に落ちました。 -
2012.9.20
反米に寄りすぎてる感はあるが、アメリカという国がどういう国かがよくわかる。これ読んでると日本はまだマシかと思えるが、本当はそうじゃないのか? -
米州関係における反米の系譜を知る上で面白い。少し偏った見方だなあという気もしたが。
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▼国際統合論Ⅱの参考書として通読。「南米南部共同体(メルコスール)」への言及こそ微々たるものではあったが、どうしてまとまろうとするのか、その動因が良く分かる一冊であったと思う。
▼努力すれば報われる――はずだったが、上へと登るハシゴを外され、それが叶わない夢であるのだと私たちが痛感するようになったいま、ようやく新自由主義が万能であるという“神話”に疑いの目が向けれられるようになった。
▼しかし、これが国内に存在するアン・フェアな貧富格差の構造の問題であるだけならまだしも、国境を越え、それこそグローバルに展開していたのである。その理解なしに、彼らを「反米」「左翼」と一括りにしてしまえば、多くの事実を見過ごしてしまうだろう。
▼本書はアメリカ近現代(政治・外交)史を違った視点から見直すには良いと思。だが、キューバの話をするのにソ連が出てこなかったり、あるいは各国の現状への言及が好意的なものばかりであったり、やや物足りなさを感じたのも事実である。 -
文章も内容も朝日新聞的なのは否めず、その部分でまず好き嫌いははっきり別れそう。書き方も一方的だが、報道も少ないこの地域で何が起きているか、それを知る意味ではためになる一冊。
個人的には一度は読むことをおすすめしたい。