LGBTとハラスメント (集英社新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087211276

作品紹介・あらすじ

「“知らなかった"と“知ってるつもり"が“知って良かった"に変わる、必読の一冊です」――小島慶子氏(エッセイスト)推薦!

いわゆる「パワーハラスメント防止法」が二〇一九年に成立し、あらゆる企業がLGBTに関するハラスメント対策をとり、プライバシー保護の対応を行うことが義務化された。
しかし、未だLGBTに関わる政治家の失言やネットでの炎上事例は後を絶たない。
本書では「よくある勘違い」を多くの実例をもとにパターン分けし、当事者との会話において必要な心構えを紹介。
また、職場における実務面での理解も促す構成となっている。
知っているようで知らない、LGBTの「新常識」がここにある。

◆目次◆
序章「性の多様性」についての基礎知識
第一章「LGBT」へのよくある勘違い―ネガティブ編
第二章「LGBT」へのよくある勘違い―一見ポジティブ編
第三章「LGBT」に限らないよくある勘違い
第四章「SOGIハラ・アウティング防止」法とは
第五章 LGBTをめぐる「人事・労務制度」
巻末付録「パワハラ防止指針」

◆著者略歴◆
神谷悠一(かみや ゆういち)
一九八五年岩手県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
労働団体の全国組織本部事務局を経て、現在は約一〇〇のLGBT関連団体から構成される全国組織、通称「LGBT法連合会」事務局長。

松岡宗嗣(まつおか そうし)
一九九四年愛知県生まれ。明治大学政治経済学部卒。ライター。政策や法制度などのLGBT関連情報を発信する一般社団法人fair代表理事。

感想・レビュー・書評

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  • 基礎的な知識を始め、よくある誤解から、法規制の話まで、幅広い内容で、LGBTを体形的に学べる本でした。

    子供の頃、男の子が女装して、みんなで楽しむみたいな行事が、学校単位で行われていたことを思い出して、胸が痛みました。

  • LGBTという言葉を仕事上も耳にするようになってきて、一度勉強しておこうと手に取りました。

    マイノリティに対する配慮は善意のつもりでも理解できていなければ裏目に出ることもある、制度があっても利用にはカミングアウトがつきまとうなど。

    多様性を考えるにあたり前提となる知識。これは全員が知っておくべきだと感じました。

    以下引用

    LGBTではない=普通の人?
    女性の医師のことは女医というのに男性医師は男医とは呼ばないように、マイノリティには名前がつけられる一方、マジョリティには名前がなかったり知られていなかったりする。
    セクシャルマイノリティではない人、つまりセクシャルマジョリティの人たちにも「普通の人」ではなく名前がちゃんとある。
    生物学上の性別と自認性が一致ひている人を「シスジェンダー」という。この反対が「トランスジェンダー」。
    同性愛者のことを「ホモセクシャル」、異性愛者のことを「ヘテロセクシャル」という。
    シスジェンダー・ヘテロセクシャルの人たちは典型的な性のあり方といえるかもしれないが、だからといってその枠に当てはまらない「非典型的」な性のあり方の人たちは異常なのか?「普通」「普通ではない」という優劣をつけるような置き方は注意したい。

    LGBTの他にもセクシャリティはグラデーションのように様々ある。Facebookアメリカ版では58種類の性別から自分の性自認を選べる。シスジェンダー・ヘテロセクシャルと認識している人のなかにも、もう少し細かく捉えてみると実は隣の人と全く同じセクシャリティというわけではないかも。全ての人が多様な性のグラデーションの中に生きている。

  • 心意気やよし、なんだけど。格差が開いていく中で、どうやって分断から連帯にもっていくのかを考えるとき、話し方としてこれがいいのかどうか。まさしくひとりひとり違う中で。

  • 本当に初心向けで初学者おすすめ

  • 大阪樟蔭女子大学図書館OPACへのリンク
    https://library.osaka-shoin.ac.jp/opac/volume/683321

  • 「LGBTとハラスメント」を読んでみた。
    基本的なことは大体知ってる……と思っていたけど、説明できるほど知ってるわけではないので『漠然とした知ってる』が『ちゃんと形になってる』と思った。



    でも……言葉が多すぎだし、カタカナにアルファベットばかりで、『知るかそんなもの!!!』という気分もある。
    興味範囲の知識はあるけど、それでも複雑と思ってしまうのだから、興味のない人からみると『何がなんだかわけが分からない』な感覚もわかる。



    ざっくりと基本は『いろんな人がいるから、言動(言葉や態度)には気を付けよう』と言う事。
    さらに『嫌だと言われたら、それはやめておこう』 「なぜなのか、わからない」でもいいから、『やめる』

    言葉はその後でいいし、「何かそんな感じ」程度の知識でいいんじゃなかろうかと、個人的には思う。



    章ごとの感想。
    序章は基本的な言葉の確認と、知識。
    ……大体知ってる。けど、ここにさらに複雑怪奇なものも入ってくるんだよなぁとか……思ってしまった私。
    性別の話だから、性別で区切られてるけど、『異生物』の場合や『無機物』の場合も入ってきたら……と考えてしまった。



    一章二章三章は「よくある勘違いのパターン」として、LGBTの困りごとを書いてある。
    読みながら、「あー。あった。あった」と思いつつ、でもこれ、別のジャンルでもよくある事だろうなと思った。
    「LGBT」だけじゃなくて、「発達障害」「鬱病(メンタルヘルス)」etc.
    さらにここに、非当事者の勘違いではなくて、当事者自身もまた勘違いに囚われていたりする。
    ……非当事者なら「お前に分かるものか」で済ませるけど、当事者だと……色々地獄な感じがしてどう対応していいのか分からなくなる。



    パターン1の「LGBTではない=普通」というものなんて、ありきたりすぎるけど。
    非当事者だけじゃなくて、(ビアン)当事者も「私たち普通じゃないから、辛いよね」と、こっちに同意を求めてきたりする。
    いや。『普通ではない』と思ってしまう事が辛いのであって、『普通ではないから辛い』のではない。
    そして私は、恋愛なんて千差万別だと思ってるので、異性愛者だって辛いこと沢山あるさと思っている。なので、「同性愛は普通ではないから辛い」には同意できない。



    パターン8のLGBTの友達はLGBT
    昔々、SM趣味の知り合いがいた。で、ある時、旅行に誘われた。
    行かなかったけど、その知り合いが友達も一緒に来るから……と言っていたので一応聞いてみた。
    「もし私が、あなたと一緒に行く事になっていたら、もしかして私はその友達からSM仲間だと思われてた?」と
    「当然。みんな知ってるから」と返ってきた。
    ……。
    LGBTに限らず、友達は同類と思うのはよくある事。
    でも、勝手に同類と思われるのは困る。
    人類という同類であることに違いはないけど、それ以外の事を勝手に『同類』にしないでほしい。

    パターン9「LGBTのようにみえる」と勝手に決めつける人たち
    これの逆パターン。
    「えー。(ビアン:女性同性愛者に)みえない」と、他のビアンさんから言われたことが、何度かある。
    ……すみません。ビアンの世界がよく判りませんが、『ビアンっぽい』ってあるんですか?と聞きたくなった。
    どうやら、ボーイッシュ(男っぽい感じ)な人=ビアンっぽい……のかなと思ったのは、かなり後になってから。
    かと思えば、「ボーイッシュな人の何が良いの? 女の子同士でイチャイチャしたいのに」というビアンさんもいる。
    よくわかりませんが、ボーイッシュ同士かフェミニン(女の子っぽい感じ)同士かで別れているのか???と未だに疑問に思う。
    ビアンの世界の謎。

    パターン15「私は気にしない」が「差別しない」だと思ってしまう人たち
    とある異性愛者(既婚さん)にカミングアウトした後、「私は気にしないよ。そんなの」と言った人がいる。
    その後で「男性が嫌いだから、女性なの?」と盛大な地雷を踏んでくれた。
    『気にしない』というのは、本当にそのまま『気にした事がない』だけで、分かっているわけではない。
    気にしない人間ほど、地雷を踏む可能性が大きい。

    パターン16「私はLGBTの友人がいるから理解がある」と思い込む人たち
    昔、「自分は鬱病になった事があるから、鬱になってる(診断されたことはない)ミラクの事が分かる」と豪語した人がいる。
    当時私はおそらくうつ状態で、自傷行為も酷かった。
    が、その言葉を聞いて、「わかるわけないだろ」と思える平常心は持ち合わせていた。
    同じ状態だと診断されたとしても、『人それぞれ』なので『わかる』なんて事は口が裂けても言えない。
    私は同性愛者らしいが、他の同性愛者の事なんぞ全く分からないし、理解できるとも思えない。
    もちろん、理解出来たらいいと思うし、分かり合いたいとも思う……でも、出来るのはそこまで。
    ……そして大体、理解できずに終わっていく。

    パターン18 制服の問題がトランスジェンダーだけの問題だと思う人たち
    雪国暮らしなので、冬は寒いです。
    ずっと制服の学校で小学校はズボンがあったのに、中学に入ると消え去りました。
    高校も同じく……私の足が凍える冬を6年間耐えました。
    寒さ対策として、『防寒具』を要求したいです。トランスジェンダー云々ではなくて。
    むしろなぜ、トランスジェンダーが絡まないと制服が変わらないのか謎すぎる。

    パターン20初対面ですぐ「彼氏/彼女いるの?と聞く人たち
    昔々、「彼氏いるの?」と聞いてました。私。
    初対面でいきなりではないし、ちゃんと相手の様子を探りながらだけれども。
    そこで、言いよどむ。誤魔化す。などの反応を見て、こちらがカミングアウト。
    同性愛者を探すには最適な質問なのです。
    今はやらないケド……。


    四章・五章は人事や労務など、会社での話がほとんど。
    ……ちょっと難しいので、読み流し。
    色んな施策があるんだなと思った。


    カミングアウトのお話しも書いてあった。
    上記にも私がカミングアウトをしたという話を書いたけど、
    これは『職場で一部の人(同性愛者)にのみ』と『話の流れで話した、趣味仲間』のみ。
    職場の年齢層が低かったのもあって、恋愛話はよく出て来てたので、性別を言わずに話していた。
    ……個人的にはいつ気がつかれてもいいやと思ってたけど、「相手は変わった男性なのね」で終わった。
    意外と気がつかないものなんだなと思った。
    一応、家族にも言ってあったけど……家族の反応は『冗談でしょ』と言った感じで流された。
    父には、ネタにされるという地獄付き。

    カミングアウトは世界が変わるとも思わないし、特に必要がないので、理解も求めてない。
    地雷を踏んでも……まぁ。凹むけど、『分からないモノ』に対しては誰でもそんな感じなんだろうなとも思う。
    私もうっかり地雷を踏む事はあるので、人の事は言えない。

    悪意だけは勘弁してほしいけど、幸い同性愛者であることで悪意を向けられたことはない。
    むしろ、女性である方が生きづらい(平気で踏まれる事が多い)と思ってしまった。
    同性愛者でも「体で誘惑したんでしょ」なんて言われないけど、女性と言うだけで「体で稼いだんでしょ(営業の仕事を体で誘惑して稼いだ)」と言われたことはある。
    LGBTの本なので、LGBTの生き辛さを書いてあるケド、イマイチピンと来ない。それは女性差別の方が酷いからだと思う。



    でも、LGBTの基本を押さえるには良い本かなと思う。

  • <シラバス掲載参考図書一覧は、図書館HPから確認できます>https://libipu.iwate-pu.ac.jp/drupal/ja/node/190

  • 重版

  • 最近は、ハラスメントの研修をしている側だったけれど、LGBTに関しては理解が浅かった。一人一人価値観は異なるので個別に対応すれば良いのだと思っていたが、すでに性別欄があったり男女の結婚が当たり前だったりする大前提で苦しんでいる人が多く、ハラスメント対策に組み入れなければいけないものだったのだと改めて感じた。
    少しずつ勉強して、進めていきたい。

  • ■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
    【書籍】
    https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1001174491

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