赤ちゃんと体内時計 胎児期から始まる生活習慣病 (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087211566

作品紹介・あらすじ

2歳で完成したヒトの体内時計は生涯、健康に影響する

赤ちゃんのひどい寝ぐずりや夜泣きの原因には諸説があるが、著者は長年の臨床経験から以下のように想定している。
それは「誕生直後は『超日リズム』で生活していた赤ちゃんが、乳児期になり『概日リズム』を身につけるときに、自身の体内時計と社会活動のリズムとの間でずれが生じることで、睡眠障害や不機嫌さを起こす」というものである。
この状態は赤ちゃんが"時差ぼけ"を起こしているようなもので、心身に様々な影響が出ることを意味する。
ヒトの体内時計は生後1歳半から2歳にはほぼ完成し、生涯にわたり健康に強い影響をもたらす。
本書では、体内時計の知識、睡眠障害と発達障害との関連性、睡眠治療の検証などを提示する。


【主な内容】
・体内時計の準備は胎児期後半に始まる
・概日リズムと超日リズム
・健康な乳幼児に必要な睡眠時間
・脳の海馬は睡眠欠乏に弱い
・遅刻リズムと不登校リズム
・概日リズム睡眠障害と発達障害
・眠るタイミングがつかめない赤ちゃん
・フランス人の睡眠教育
・赤ちゃんに「時間」を教えよう
・夜間授乳は定期的な覚醒のリズムを作ってしまう
・うつ、糖尿病、認知症、がんとの関連性

【目次】
はじめに―ヒトはリズムで生きている―
第1章 ヒトと体内時計
第2章 体内時計は発達する
第3章 赤ちゃんと概日リズム睡眠障害―発達障害との関係―
第4章 眠れない赤ちゃん―生後1カ月まで―
第5章 眠るタイミングがつかめない赤ちゃん―生後1カ月から2歳まで―
第6章 胎児期から始まる生活習慣病の予防
第7章 治療 正しい眠り方を教える―体内時計の調和を図る―
あとがきにかえて―身体のリズムを取り戻すことはできるか―

【著者プロフィール】
三池輝久(みいけ てるひさ)
小児科医、小児神経科医。一九四二年生まれ。熊本大学医学部卒業。熊本大学名誉教授。日本眠育推進協議会理事長。
三〇年以上にわたり子どもの睡眠障害の臨床および調査・研究活動に力を注ぐ。
二〇一六年、熊本県玉名地域保健医療センターにて「子どもの睡眠と発達外来」を開設。著書に『子どもの夜ふかし 脳への脅威』(集英社新書)など。

感想・レビュー・書評

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  • 日本の社会に合った睡眠リズムを獲得させることが大事。
    自閉症や発達障害の傾向がある子でも、社会のリズムに合った睡眠習慣をつけることで、症状が緩和、改善することがある。

  • 赤ちゃんの体内時計を整えることがいかに重要か、最新の論文、著者の臨床経験を元に書かれた本。

    引用された国際論文は140報近く!
    2021年2月出版の本でありながら、2020年8月の論文まで引用されている。
    一般向けに書かれたレビュー論文の様な本だった。

    時計遺伝子が体の機能に深く寄与しており、生活習慣病にも関連すると話題になったのは2010年ごろからだろうか。
    本著では、体内時計が崩れると、赤ちゃんでも生活習慣病など様々な病気になると警告されている。

    また、発達障害は体内時計混乱と言い切る。
    親の夜型化によって子供の体内時計が狂わされていることが子供の発達障害を引き起こす原因という。

    子供は夜寝ないもの、夜泣くものと思っていた自分からは驚きの内容だった。

    •夜8時には寝て、朝8時までに起きるリズムを作ることが、子供の将来的な健康にも繋がる
    •夜まとまった睡眠時間を確保するため、夜間断乳は早いうちから着手すること
    •先天的な問題があるのでなければ、薬剤投与でリズムを作ることがメリットとなる症例もある

    実際、自分の子供は夜にまとまって寝ない。
    お腹が空いているのではと授乳している。
    しかし生後4ヶ月を過ぎれば、夜はそもそも食べる時間ではないと教えることが大事と、フランスの教育例や各論文引いて著者は言い切る。
    小児科医と相談しつつ、断乳を進めてみたい。

  • 読みやすい。仮説ベースの話もあるので注意(明記されている)
    2歳までに概日リズムを身につけることで、社会に適合して生きていける。今までは発達障害の一症状として睡眠障害が捉えられてきたが、睡眠障害(といっても新生児期の超日リズム不調)が原因で発達障害が起きている可能性がある。

  • 出産後ももう一度読みたい本
    睡眠サイクルを考え直す

  • 新生児期は超日リズムが作り出している。速やかに寝つく。2〜4時間周期の睡眠、覚醒リズム。1日の睡眠時間は9時間以上。日中機嫌良く過ごす。乳児期は夜の眠りは夜7時から朝7時までの間にとること。睡眠時間は夜中に頻回に目が覚めることなく持続して9〜11時間寝ること。ある程度たったら夜間の授乳は必要ないのか。確かにたいして飲まないで寝ちゃってて、一歳すぎで断乳した途端持続して寝てたっけ。と、上の子の時のこと思い出した。睡眠欠乏から脳機能の発達にゆがみが生じる恐れがある。赤ちゃんに時間を教えようか、難しいことかも。

  • 出産入院中に読破
    まさにこれからという時にとてもためになる内容
    睡眠はとても大切だということは認識していたが、どれぐらいの影響があるのか、
    具体的にどんな生活をしたらいいのかを
    考えるよい機会となった

  • 非常に面白く読んだ。睡眠と発達の関係について、最近の研究をまとめつつ自身の仮説、取り組みを説明。
    この本だけじゃないけど、知育とかより先にまず寝ることだよなと強く思わされる。

  • 体内時計を整えることの重要性を説いた本。
    早寝早起きの大切さを伝えている本。
    たくさんの論文を引用しているがとてもわかりやすくかかれた本でした。

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著者プロフィール

小児科医
兵庫県立総合リハビリテーションセンター・リハビリテーション中央病院「子どもの睡眠と発達医療センター」長

「2011年 『子どもとねむり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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