ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち (集英社新書)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087212334

感想・レビュー・書評

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  • 受け取る情報量が肥大化・多様化する中で、教養が放つオーラは悪魔的。自分を正当化することだけに魂を捧げないようにしよう。

  • 「ファスト」とつくものに興味があったため、手に取った。
    ファスト映画に続き、ファスト強要もろくでもないなという印象で最初から最後まで読み終えた。

    何のための教養なのか、何に役立てようとしているのか、それらが全て「とにかく今より儲けるため」「周りと肩を並べるか差をつけるため」という下賤な考えのもとに教養は成り立たないなと改めて思った。

    ざっと読んでしまってメモを残していないが、最後のほうでいくつか良さそうな書籍を引用していたので、図書館にいって控えておこうと思う。

  • 桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/1313909

  • 1.この本を一言で表すと?
    ファスト教養が広まりつつある現状、その歴史、これからのファスト教養に対する!!処方箋、をまとめた本。
    2.よかった点を 3~5 つ
    ・自己責任論の台頭が教養を変えた(p78)
    →小泉内閣の構造改革路線から叫ばれ始めた「自己責任」というキーワードと「スキルアップ」「公共との乖離」など
    の社会的な潮流を分析しているのは著者の凄いところだと感じた。
    ・ファスト教養の時代に持つべき考え方はお金儲けの役に立たない情報は無駄というスタンスからひたすら距離をと
    ることである。それを基本とした上で、自分の置かれた局面に応じて必要な情報収集も適宜行えばよい。この順番を
    間違えてはならない。(p228)
    →この意見に同意するが、実際に実行するのは難しいと思う。
    ・ファースト教養論者とエンタメ的専門知を活用する(p195)
    →著者の言う通り、ホリエモンのインターネットについての語りから得られる情報は、雑な教養論よりもはるかに価
    値の高いものだと思う。
    ・好きを見つける、好きを続ける(p201)
    →好きを見つけて、それを掘り下げていくのが知識となり教養と言えると思う。
    2.参考にならなかった所(つっこみ所)
    ・「教養」はビジネスの役に立つと謳う自己啓発本に投じる時間とお金を「ビジネスに必要な知識を深いレベルで学ぶ
    ことでビジネス以外の場面でも通じる力を得られる」ようにつくられた書籍に振り向けることで安直なファスト教養
    の世界と距離を保ちながら「生き残る」「成長する」といった今の時代の必要悪とでもいうべき概念にも対応すること
    ができるはずである。(p195)
    ・ファースト教養時代に抗う、という表現が本書の中で何度も出てくるが、なぜ抗う必要があるのかというところが
    明確ではなかった。
    →この点には同意するが、このような本を、読む前にどのようにして見分ければいいのか?
    3.議論したいこと
    ・みなさんが考える教養とは何か?
    5.全体の感想・その他
    ・私自身「ファスト教養」の考えに流されてきたことを改めて自覚できた。
    ・そのため、著者が言うファスト教養に対する疑問というのは理解できる部分もあるがきれいごとを言っているよう
    に感じる部分もある。読後感としてはすっきりしないものがある。「おわりに」に書かれている、「その時信じていた
    価値観を揺さぶるノイズに少しでもなっていればいいなというのがささやかな願いである」という部分に関しては、
    私は著者の狙い通りになっていると思う。
    ・ファスト教養の歴史的潮流とそれぞれの時代の社会的文化的背景を分析した内容は著者独自の分析力であり、その点は素晴らしいと感じた
    ・本書の中で何度か出てくる日経ビジネスアソシエは、かつて自分はよく読んでいた雑誌だが、いつの間にか休刊に
    なっていたことを初めて知った。
    ・「歴史を面白く学ぶ Colten Radio」「USJ を劇的に変えた、たった 1 つの考え方」「イシューからはじめよ」

  • 問題はファストに知識を得ようとする意識ではない。

    全ては金儲けのためにやっているんだ。
    金儲けに繋がらないことは意味が無いんだ。
    金を儲けられない奴はバカにして良いし、価値は無いんだ。

    そんな短絡的で一面的な思想を持った者が危険なんだ、と示唆される一冊。

  • ファスト教養が日本で広く共有される背景とそれと(あえて)抗うにはどうするかがテーマの本。
    前半の背景の部分は筆者の綿密な調査もあり、非常に納得させられた。また後半は著者が企業で働いているため身の丈の提言でわかりやすかった。

    ネタバレ部分
    自身の内発的に ビジネス含む 勉強を通して自身を変えていくこと を胸に留めておきたい

  • 最近ずっと疑問に思っていたファスト教養について、すごい的確に記された本であった。この本では、ファスト教養を作り出しているプレイヤーのスタンスやファスト教養が流行ってきた背景、ど、この時代にファスト教養と向き合うかという所が記されていた。
    スタンスや背景と言うのはすごい納得がいった。自分自身もすぐビジネスで役にたつような知識と言うのにすがりついてしまうところはある。ただ、一方で、それを生み出しているプレイヤーに対しての嫌悪感みたいなものが無きにしもあらずというかかなり強かった。中田敦彦の知識が浅いと言うのはすごい感じていて、こないだの松本人志への提言なんかも特にそうだった。実際、中田敦彦計ってファクトチェックをほとんどしていないと言う。ファスト教養は浅く、その分野を理解したいと言う点においてはとても使えると思うが、深く理解したいとなったときに利用するのは良くないと思う。最後の方にも出てきた、ビジネスにおいて、深く役立つようなものに関しては、どんどん活用していくべきだと言うこと。
    要は情報の取捨選択が大事なのだと言うこと。それに加えて、自分の好きと言うのを大事にしておくことが重要。麦くんのようにどんどん好きから離れていって社会人になって消耗していく、そしてそれは全てお金につながるものビジネスに役に立つものの発想になってしまうのはとても悲しい。それ以外の発想で生きていくためにも。いろんなものに触れていく事は大事にしておこうと思う。

  • ファスト教養というタイトル自体が、この本のメインターゲットとなる(と思われる)ここ10年前後生きづらさを感じている人たちに届きづらいかもなーと余計な感想。

    内容は素晴らしいの一言。教養をコンテンツ化し浅く売り歩くインフルエンサーを小馬鹿にして終わるのかなと思いながら読み進めると見事に裏切られるだけでなくて、それらをビジネス化して売るインフルエンサーとそれを消費するビジネスマン、それを「ナナメ」に見ている自分のような人間も含めて前向きに肯定する処方箋を提示してくれる。
    その処方箋は特効薬でもないし、対症療法的にすぐ効く薬でもない。でもじわじわ効く、そんな印象です。

    あとがきに若林さんの本が出てきた文脈と共感でとてもエモく読み終わりました。

  • 名指しされているインフルエンサー達を批判し小馬鹿にする内容を期待して本書を手に取った。目的は大いに達した。しかし当前のことだが名指しされているインフルエンサー達も全員教養が無いわけではなく商業的ニーズに基づいた振る舞いの結果、ファスト教養的なアウトプットを生み出している。
    また読んでるうちに、自分も職場で結果を残せない同僚や部下を同じような視点(いわゆるファスト教養的文脈)で批判したり笑ったりしたことがあることを思い出す。
    「ファスト教養をのぞく時、ファスト教養もまたこちらをのぞいているのだ」早急に解毒が必要と悟る。

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著者プロフィール

1981年生まれ。海城高校、一橋大学商学部卒。大学卒業後の2004年から現在に至るまで、メーカーのマーケティング部門およびコンサルティングファームにて事業戦略立案、マーケティング戦略立案、新規事業開発、新商品開発などに従事。会社勤務と並行して、2012年7月に音楽ブログ「レジーのブログ」を開設。アーティスト/作品単体の批評にとどまらない「日本におけるポップミュージックの受容構造」を俯瞰した考察が話題となり、2013年春頃から外部媒体への寄稿を開始。主な寄稿媒体は「Real Sound」「MUSICA」「M-ON! MUSIC」など。

「2022年 『増補版 夏フェス革命 音楽が変わる、社会が変わる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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