- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087212679
感想・レビュー・書評
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まあ、よくまとめました。
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シャープな視点と映画を宇野さん独特なエモーショナルな筆致が滲み出してて、とても良かった。どうしても最近の映画の状況に対してノスタルジックになりがちな映画人に比して、ジャーナリスティックな視点を提示してくれる筆者はとても貴重。
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マーベル作品を全く観ないので、第二章の内容には殆どついていけなったが、配信プラットフォームの発展やキャンセルカルチャーの余波により、映画産業が直面している問題を2020年以降の公開作品と共に紐解く論著。映画館の運営は一部のブロックバスター作品に支えられているとはいえ、似たり寄ったりの作品が軒を連ねている未来には失望を禁じ得ない。俳優及び脚本家組合によるストライキの真っ只中にある映画の都ハリウッド、その行く末に明るい兆しはないように思える。トム・クルーズ亡き後、映画界を牽引するスターは金輪際現れないだろう。
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私個人の問題かとは思うけれど、玄人向けというか、映画にそれほど詳しくない人が読んでも、よくわからないと思う。社会現象としてのハリウッドの終焉とはなんだろう、と思って手に取ったためかもしれない。
映画の紹介にもなるように配慮したような記載もあったけれど、ストーリー概要もないので、あまり見てみたいというとっかかりにはならない。前提として読書が詳しいことが前提が故の構成なのかもしれないが、あまり親切ではないし、後書きにあるような汎用性も獲得していないように思える。 -
・面白かった。なるほど〜と、あ、そう言えば、に溢れる本だった。
・映画好きだったら、(好き嫌いは別として)無視出来ない現代の作品を20数本を軸に、その評論と背景を通して現在の映画業界とその未来を読んで行く、みたいな内容。作品の評論はあるけれど、それを含むより大きな物、「映画」の現在地とその未来、みたいな事がメインになっている。
・正直に言うと今の映画の現状自体に良いとも悪いとも自分は思ってはいない。というか、把握しきれていなくて判断がついていないだけなのか?と思った。良い補助線。 -
コロナ禍の影響で(ただし本書を読めば加速装置ではあれど起爆装置ではないと分かる)凄まじい勢いで変容が進んだ映画産業。2020年以降の16作品をガイドに何が起きているかを紐解いていく一冊。作家のキャリアという縦軸と同時代の作品との比較という横軸を通して映画の中身以上に外側の産業的側面が浮かび上がってくるのが面白い。もちろん「ポリコレ」とだけ言って分析した気になっている凡庸な論調とは一線を画している。逆に言えば映画は好きでもそういった外側の話題に馴染みのない人が読むと面食らうかも。自分は今でも毎週末映画館(生活圏内にある某シネコン)に通っているが、やっぱりIMAXフォーマットみたいな映像体験として金が取れる作品が増えていくのかなと思う一方で本書を締めくくる1本が『TAR/ター』というのにほんの少しだけ夢を見たくもなる。各作品の批評内容に首肯したり、個人的に2021年ベスト級に好きだった『ラストナイト・イン・ソーホー』にはなるほどそういう構造上の難点もあるのか、といった新たな見方を知れるのも面白かった。あとフェーズ4を観るのに要する時間を可視化されると半脱落組の自分がMCUを再度追うのはもう無理に思えるw
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どう足掻いても最早手遅れな「ハリウッド映画」の状況とタイトル通りの行く末を避けられない事実をこれでもかと噛み締めさせられますが、読後感は意外と悪くない。この状況を把握できているからこそ翻弄されずに済むし、立ち向かえる。正に「武器のような本」。
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宇野維正は人格は嫌いだけど評論は嫌いになれない。
SNSや対談で滲み出るエゴや傲慢さが、今作のようなジャーナリズム的文章では出てこないからかな。 -
取り上げた映画についての評価、とりわけハリウッドにおいてどういう位置づけになるのかを解説している。裏話というほどの驚きはなく、ネタバレも多少はなくはないが、たいしたことはない。