やってみなきゃ よろず相談屋繁盛記 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087440287

感想・レビュー・書評

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  • よろず相談屋繁盛記の第4弾。まあ、ちっとも繁盛していないけどね。同時に始めた将棋会所の方は順調な具合で、開所一周年記念に将棋大会を開こうということになる。そのためにいろいろやり方を考えるのだが、結構これが柔軟な思考で修正しつつやっていくのだ。このあたりの慎吾や周りの人間や大会参加者の動き・思いの描写が面白い。さて、将棋大会にいちゃもんを着けて金をふんだくろうとしたならず者を鮮やかに撃退した慎吾は、それをたくさんの人々に目撃されたことから窮地に陥るが、ここからの展開も見ものだ。よろず相談屋にやってきた狸の子がかわいいね。

  • <よろず相談屋繁盛記>シリーズ第四作。

    今作は、将棋会所<駒形>を開いて一年になるのを記念した将棋大会の話がメイン。その途中途中で小さな事件が起こるという展開。

    大会は常連客だけでなく広く参加者を募ったうえに上位三人には賞金も出るため、最終的には百八十三人もの参加者になった。なのに総当たり戦のため、一体大会が終わるのにどのくらいかかるのかと素人目にも心配になる。
    一度に行う対局数も膨大になるため、<駒形>はぎゅうぎゅう詰め。

    なのに大会に乱入してきた浪人者を信吾が颯爽とやっつけてしまったことから、常連客たちの口だけでなく瓦版にも書かれ、大会の見物客だけでなく信吾そのものへの野次馬や他の瓦版書きまでお仕掛けて大変な騒ぎになってしまう。

    見た目が良くて知恵も回り、武術も出来て荒れくれ者を片付ける力もある。こんなスーパーマン・信吾を娘たちが放っておく筈がなく、まるでライブ会場の出待ちのファンのように信吾が<駒形>に出入りするのをキャアキャア言って見ている娘たちがいれば、信吾の実家<宮戸屋>にお見合いよろしく押しかけて信吾との会食を頼む者もいる。

    肝心の相談屋の方はと言えば、今回もこれと言った客はなし。前作同様、興味本位で近づく輩のような男が二人、そして…狸。
    狸の相談事の方は至極シンプルで可愛らしかった。しかしお礼に大会の結果を知ることはなかったのでは?先が分かって面白くなかったし。

    こんなに相談屋の方が盛り上がらないのは、信吾が考え至ったように、自分の弱い部分や秘密の部分を赤の他人に打ち明けるということが相当ハードルが高いことが根本にあるようだ。
    特に商人やそれなりの身分の人ともなればその弱点を人に知られること自体がリスキーなことだろう。そのために自分の悩みを話すまえに、信吾という人物が本当に信頼に足る者なのか自分の悩みを解決できるだけの力を持った人間なのかを知りたいと思うのも当然だろう。
    結局今回のような回りくどい客ばかりで信吾にとっては少しも相談事に乗っている気がしないということになる。しかしこれも試練、そこを乗り越えて少しずつ人々の信頼を勝ち取っていくしかない。

    今作は全体的にテンポが悪くて読み終えるのにいつも以上に時間が掛かった。大会の話がメインで特にこれと言った山場もなく淡々と過ぎた上に、狸に教えてもらったおかげで事前に上位三名も分かってしまって興味を削がれてしまったこともあるようだ。
    せっかく少女棋士のハツちゃんも善戦したのに、そちらも盛り上がらなかったことも残念だった。

    次回は表紙絵から想像するに、信吾のお見合いから結婚までということだろうか。といっても信吾はまだ二十一才。急がなくても良いんじゃない?とも思うが、当時としては普通だったのだろうか。また相談屋としては所帯を持って落ち着いた感を出した方が良いのだろうか。
    いずれにしても新たな風が入ってきて<駒形>も相談屋も盛り上がってくれることを期待。

    シリーズ作品レビュー
    第一作「なんてやつだ」
    https://booklog.jp/users/fuku2828/archives/1/4087457753#comment
    第二作「まさかまさか」
    https://booklog.jp/users/fuku2828/archives/1/4087458288#comment
    第三作「そりゃないよ」
    https://booklog.jp/users/fuku2828/archives/1/4087458938#comment

  • 将棋会所がオープンして1年。記念に将棋大会を催すことに。賞金も出るという事で集まった総勢183人の総当たり戦。皆の協力を得ながらキッチリ対策をたて大会は始まるが…「やってみなければわからないことって、けっこうあるものだな」開始早々に出てくる様々な問題に臨機応変に対処したり、難癖つける刃物を持った破落戸ともやりあう信吾。武勇伝の噂で詰めかける野次馬やら女性たちに大忙しの信吾だが、今回は、相談の解決とか事件に巻き込まれる面白さが弱かった。次回、ホントにお見合いしちゃうのか?狸の恩返しはあるのか?楽しみです。

  • 202110/よろず相談屋繁盛記シリーズ・めおと相談屋奮闘記シリーズ既刊全10作まとめて。毎回平積で新刊を見かけ気になっていたので読み始めることに。最初は、設定てんこ盛り(幼少時に大病、生き物の声が聞こえ会話できる、老舗料理店の長男、鎖双棍の使い手、相談屋と将棋会所を経営)だな~と思ったけど、主人公は勿論、登場人物達が生き生きと描写されているのでこの世界に入り込んで楽しめた。最初は使い物にならずぼんやりしてた小僧の成長ぶりやちゃっかりぶりも微笑ましい。相談事の内容や解決手法等、物語としてパッとしないものや偶然の産物だったりも多いし、自分の好みではない話(将棋会所で皆が艶話や与太話をただただ話すだけとか)もあるし、時代物とはいえ書いている今の時代にそぐわない描写や設定も感じるけど、総じて面白かった。「主人公と話してたら何故か解決してしまう」のと同様、とらえどころのないなんかわからない面白さもあった。

    よろず相談屋繁盛記シリーズ(なんてやつだ/まさかまさか/そりゃないよ/やってみなきゃ/あっけらかん)
    めおと相談屋奮闘記シリーズ(なんて嫁だ/次から次へと/友の友は友だ/寝乱れ姿/梟の来る庭)

  • 信吾くん、祝・開業一周年!
    てことで将棋大会を開催するのだが、観客に破落戸がいて信吾がぱしっと追い出したのを瓦版に書き立てられて、一躍時の人。
    野次馬や女の子ファンが押し掛け、実家の料亭にも座敷の場持ちに毎晩呼ばれる始末。
    うんざりしつつも、相談屋の仕事をしたい信吾は時間をやりくりして走り回る。
    今回は、動物と話せる、という設定があまり活きていなかった感じかな。少し残念です。
    というか、信吾くんがスーパー万能くんすぎて、逆につまんなくなっている気がする。スペック高すぎて機能もたくさんありすぎて、結局使えてない、ぼやけた印象だった。

  • 個人的にあまりテンポ良くない

  • よろず相談屋繁盛記の第4巻。
    将棋会所を始めて1年になる、それを記念して何かと、考えて記念の将棋大会を開くことに。決まり事や賞品、戦い方など古株を交えて考える。
    誰でも参加可能の総当たり戦に。

    そんな折、なんとも面倒を持ち込みそうな輩が見学し、席料を払わないと揉めに揉めた。外に出て話ことにしたのだが、大会をしていたので、見物人が大勢跡をついて様子を見ていた。
    懐から匕首を出し信吾に切り込もうとした瞬間、急所をひねってやっつけたことから、子供の頃から和尚より護身術、棒術などを教えを受けていたことが世間にバレてしまう。
    大会を盛り上げようと瓦版を出そうとしていたので、記事を書く天眼が見ていたことから事件が瓦版に大変な騒ぎになる。。。。。。。


    目立つことが嫌いな信悟さて、どうなることか?

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著者プロフィール

1944年、徳島市生まれ。さまざまな職業を経験し、ラジオ・ドラマ脚本・戯曲を執筆。1993年、一人芝居「風の民」で第3回菊池寛ドラマ賞を受賞。日本脚本家連盟会員、日本放送作家協会員。2011年、『軍鶏侍』で時代小説デビュー。同作で歴史時代作家クラブ新人賞を受賞、同シリーズにより多くの時代小説ファンを獲得。ほかシリーズに「ご隠居さん」「手蹟指南所『薫風堂』」「新・軍鶏侍」「よろず相談屋繁盛記」「めおと相談屋繁盛記」など、単著に『からくり写楽 蔦屋重三郎、最後の賭け』など著書多数。演劇にも造詣が深く、小説、戯曲、芸能、映画、音楽、絵画の多ジャンルでのシェイクスピア派生作品を紹介した著作『シェイクスピアの魔力』がある。

「2022年 『逆転 シェイクスピア四大悲劇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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