偏差値70の甲子園 僕たちは文武両道で東大も目指す (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087441031

感想・レビュー・書評

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  • この本の前編とも言える「偏差値70からの甲子園」では、近年甲子園出場を果たした公立校を採り上げており、まさに甲子園出場と難関大学進学の両方に軸足を置いている学校が対象となっていましたが、本書の場合は、その軸足はかなり学業に重きを置いているケースという印象です。採り上げられているのは、湘南高校(神奈川)、北野高校(大阪)、札幌南高校(北海道)、刈谷高校(愛知)、国立高校(東京)、となっています。
    東大、京大など超難関国立大学や、大学医学部への進学実績があり、かつ真剣に部活動に打ち込んでいる学校が今回の取材対象という印象で、「超難関大学への進学を考えつつ高校野球に打ち込んでいる高校生(あるいはその学校)はどんな考え方(あるいは指導方針)の持ち主なのか」というのが基本姿勢です。
    自己顕示とかではなくて正直に述べさせてもらうと、私自身も進学校に在籍し、難関と言われる大学へ進学したので、周囲には難関大学へ進学した同級生や、その大学の同級生が大勢います。本書で登場する高校生が進路や勉強に対して非常に意識の高い見解を述べている様子には「そうそう!自分の周りにも、こんな奴もおったなぁ」という印象でした。
    一方で自分が子供を持つ親となってからこの手の本を読んだとき痛切に感じるのは、「どう育てたら、こういう考え方の子供になるんだろう」ということです。我が子の教育にもそれなりに意識を持って関わっているつもりですが、我が子(まだ小学生ですが)の行動は”コツコツ努力するの苦手”、”しんどい事からは逃げたい”みたいな感じです。かと言ってそれを子供の性格に起因するとしてしまうのは、親としての責任を放棄している気もしてしまいます。
    本のレビューから逸脱してしまいましたが、私自身の葛藤はともかく、本書に登場する指導者や高校生の皆さんは本当に素晴らしい人ばかりです。練習でミスをしても注意しないのは”彼らは勉強で十分にミスを経験しているから…”と語る監督。高校3年で受験を理由に退部を申し出た部員に退部に際して”高校野球に一瞬でも入ったってことは、お前が外から見るのとは違うってことが分かっただろ?果てしなく凄いってことが分かってくれたんなら、お前にとってはプラスだよ。この世界を体感したってのは凄いことなんだからな”と語る監督。
    こんな先生と出会って、自分で考えて進路や部活との関わり方を切り拓いている高校生の様子からは、我が子にもこういう指導者や同級生との学校生活を経験させてあげたいと切に感じました。

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著者プロフィール

1968年生まれ。岐阜県大垣市出身。琉球大学卒業。現在、琉球大学大学院人文社会科学研究科在学中。『沖縄を変えた男 栽弘義‐高校野球に捧げた生涯』は映画化され、17年第3回沖縄書店大賞受賞。

「2022年 『第二の人生で勝ち組になる 前職:プロ野球選手』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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