日本殺人巡礼 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 47
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087441581

作品紹介・あらすじ

永山則夫連続射殺事件、女子高生コンクリート殺人事件、酒鬼薔薇事件、平成の八つ墓村事件……近代の軋轢が生んだ「闇」に肉薄する。

感想・レビュー・書評

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  • 八木澤高明『日本殺人巡礼』集英社文庫。

    日本で起きた殺人事件の現場と事件の背景などに迫るノンフィクション。興味惹かれる事件もあるが、一部の事件の背景や考察については胡散臭い部分もある。

    日本で毎年起きる殺人事件は約1,000件らしい。毎日約3件の殺人事件が起きていることになるが、そこまで殺人事件が起きているという印象が無いのはテレビや新聞で報道する殺人事件はほんの一部に過ぎないからなのだろう。

    本作に描かれる殺人事件の背景を読むと、犯人が暮らす土地の歴史や因習、近隣との関係が犯罪に駆り立てる原因になっているように読み取れるものが多い。環境が殺人者を産み出すということなのだろうか。津山30人殺しと同じ山陰地方で起きた平成の八つ墓村事件が土地が産み出した殺人なのか、北関東で発生した複数の殺人事件も土地柄なのか、大いに疑問を感じる。一方で、差別が殺人事件の背景にあるという考察もあり、地域や環境が殺人事件の背景という一種の差別的考察とは矛盾しているように思う。

    また、栃木県今市市で起きた殺人事件の受刑者の冤罪の可能性は説得力に欠けるし、出所した酒鬼薔薇聖斗事件の犯人Aが暮らす地域で発生した動物の殺傷事件とAとの関連性も噂の域を出ていないように思う。

    本体価格940円
    ★★★

  • 2023/11/28

  • 表紙写真とか題字のインパクトが強いけど、内容は全然、おどろおどろしいものではない。むしろ、真摯に事件と向き合う作家の姿勢が滲み出る、渾身のルポって感じ。”誘拐”とか、”復讐するは~”とか、以前読んだ作品で取り上げられていた事件についても触れられていて、個人的には復習にもなった。ちょっと犯人寄り過ぎかな、とも思ったけど、カレー事件とか、妙に納得できる部分もあったりして。現代は、決して以前より犯罪が増えている訳ではない、というのはよく耳にする言説だけど、こうしてその裏側まで掘り下げると、なるほど時代によるのっぴきならない事情というのも存在するのかも、と思いたくもなる。示唆に富む書。ちなみに”文庫王国”から。

  • 2020年10月27日読了

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著者プロフィール

1972年神奈川県横浜市生まれ。ノンフィクションライター。写真週刊誌カメラマンを経てフリーランスに。『マオキッズ 毛沢東のこどもたちを巡る旅』で第19回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。著書に『黄金町マリア――横浜黄金町 路上の娼婦たち』(亜紀書房)『花電車芸人』『娼婦たちは見た』(KADOKAWA新書)『日本殺人巡礼』 『青線 売春の記憶を刻む旅』(集英社文庫)(亜紀書房)などがある。

「2022年 『裏横浜 グレーな世界とその痕跡』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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