- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087451962
作品紹介・あらすじ
犬猫の殺処分ほぼゼロを10年がかりで実現した、熊本市動物愛護センターの歩みを追う、感動ドキュメンタリー。奮闘を続ける職員たちの姿を通じて「ペットの幸せとは?」を問いかける。(解説/森絵都)
感想・レビュー・書評
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殺処分0に向けて本気で取り組んだ熊本の動物愛護センターのドキュメント。
無責任に飼い主に手放されてしまった動物たちを一匹でも救いたいっていう職員やサポーターたちの本気が伝わる作品だった。
勿論、病気だったりでどうしても殺処分しなければならないケースもあるでしょうけれど、ただ世話ができなくなっただの、闘犬としては弱いからだの、本当に身勝手な理由で手放していく人間に憤りを覚えました。
新しく家族を迎え入れる全ての人に読んでもらいたい一冊です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「北里大学獣医学部 犬部!」の
片野ゆかさんが素敵な一冊を届けてくれました。
「死」と隣り合わせにる
「犬」と「猫」の「命」を助けるために
奮闘されておられる人たちのドキュメンタリー
動物の殺処分をゼロにすることなど、
絶対に不可能だ。
その不可能を可能にした人たちのドキュメンタリー
その智慧の寄せ集め方
その人たちの結び方、
それも敵対関係にある
人たちの結びつき方が
とてつもなく素晴らしい。 -
「動物翻訳家」の著者が書いた保護動物殺処分ゼロを目指した熊本市動物愛護センターのドキュメンタリー。涙なくして読めない。それにしても中途半端な気持ちで動物を飼いだして、それを捨てに来る無責任な飼い主がこんなにいるものだと驚く。さらに熊本市が殺処分しないという名声を聞いてわざわざ熊本まで捨てに来る不届き者がいるというのには怒りがわく。 狂犬病予防法があるため野良犬は少ないが、猫は野放しなので圧倒的に猫の殺処分が多いというのも改めて知った。 昔からボランティアや地域猫保護活動はあったように思うが、殺処分削減、譲渡会や野良猫の避妊去勢活動といったものが本格化したのはほんのこの15年ほどのことというのも知らなかった。
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Kinoppy
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こんなかわいらしい表紙だけれども、内容はかなりハードなものだった。ショックだった。ただ可愛いから、流行っているからと、生き物を衝動買いする人間がいて、いらなくなった、面倒くさくなった、引っ越す、ペットが年を取った、かわいくなくなったからと簡単に捨てる鬼畜がいる。可愛そうだから避妊をしない。でも、生まれてきた新しいたくさんの命の面倒は見られないから、引き取って(代わりに殺して)っていう飼い主や動物愛護の人たち。かわいそうの基準は一体なんだろう。猫の子殺しでは、某女性の作家もたたかれたことあったね。かわいそうだから避妊しないけど、子猫は生まれてきたその場で殺すってしゃーしゃーと書いて。私もいずれ犬がほしいな、って思ってるけど、15年も生きる動物。Tierheim(動物保護センター)で貰い受けよう。この本に書かれていた状況よりもうちのまちの動物保護センターはずっと頭数は少なかったけど、大きな犬達は目がどよんとしていた。希望がないような顔だった。愛玩犬あるいはペットという存在を作るのならば、人間には大変な責任が生まれることになるのを絶対に忘れてはいけない。こちらのTierheimでもやっぱり老齢犬の貰い手をよく探している。施設ではみんなの面倒をみるのにも限りがあるからと、医療費がかかるからのようだ。
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たまたまTV番組で保険所の話が出てたのを記憶に、本屋で見かけたタイトルを見て、入手、読了。
小動物は苦手で、今まであまり関わることはなかったが、飼い主起因の悲惨な最後を送る犬、猫の存在を知り衝撃をうける。さらに調べると、残念ながら国全体では多少改善は見られるものの
まだまだというところ。そんな中での熊本市の話はすごい。自分のような無知な人に、どうやって啓蒙活動を行うのか、というところもとりあげられている。さぞや頭を悩ませたことだろう。職員のみなさんの意志に敬服。公民ならではのローテーション人事や、無理解層の存在にもかかわらず、すごい。これしか言えない。
現在の自分の住むところの状況等にも興味が出てきた。そして動物を飼うことの意味、意義を考えるようになった。処分の様子も調べて、またショックを新たにすることになったが、今後も色々考えながら生きたい。 -
地方公共団体の職員が行う業務は、法令で定められている。
動物行政施設の職員も、法令に従い動物の処分を実行していた。
しかし、「とにかく動物を殺すのが、嫌でしかたがなかった」職員たちは、定められた法令の中で、動物たちを活かすために自分たちができることを最大限行うよう努力をした。
そして、やはり動物行政のあり方に問題があると感じていた、まわりの人間をどんどん巻き込んでいって、みんなを本気にさせた。
殺処分を実行する場所だった熊本市動物管理センターは、現在、熊本市動物愛護センターとして、熊本市動物愛護推進協議会とともに殺処分ゼロを目標に、活動している。
その2000年から2010年の記録。
本書は動物愛護活動の記録として、充分に参考になるし、動物たちのために闘った職員、そしてその周りで巻き込まれ渦を作っていった人々たちの活動には敬意を表したい。
また、現在なお劣悪な環境におかれている動物たちのために戦っている多くの人たちに勇気をあたえ、ひとつの指針となる本だとおもう。
また、あわせて、本書は決められた枠があるから、その枠の範囲内でしか活動できない。と諦めるのではなく、枠があるならその枠の中いっぱい全部埋め尽くすよう努力したか? 枠を押し広げるよう努力しているか?なんなら、枠を作り変えちゃっても良いんだと問いかける。
できることをする。と、考える時に、人が決めた制限ありきで動くのではなく、と。 -
しかし、この本を読むと、無責任な飼い主のなんと多いことか。
センターの職員や関係者の皆さんの御尽力には、本当に頭が下がります。
ウチのワンにも、もっと優しくしてやらねば。