- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087457896
作品紹介・あらすじ
福島から上京し早稲田大学ラグビー部の一員となった一年生が体験する濃密な日々。レギュラーから控え選手まで貫かれる精神、同期とのひりつくライバル関係……愚直で武骨な青春小説。(解説/清宮克幸)
感想・レビュー・書評
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1月16日のNHK「クローズアップ現代+」では大学ラグビー日本一になった明治大学を特集していました。題して「組織大改革明大ラグビー部育成術」。イマドキ学生をどうモチベートし、どうプロアクティブ人材に育てるのか、というテーマでした。その内容は帝京大学の岩出監督の著書「常勝のプリンシパル」に相通じるものがありました。その帝京の10連覇の夢を天理が破り、それをまた明治が破るという結果は、今までの「体育会系」文化に限界を感じされるものだったりします。日大アメフト事件で顕在化したスポーツ・ハラスメント体質からの脱却とかいう以前に、そうしないと強くなれない、いや、チームが作れないのが時代の流れ。しかし、本書は早稲田ラグビーというプランドのもとに理不尽の自分事化に青春をかける若者の群像劇であります。無名校出身の実績のない、もしかしたら才能がない選手の成長物語は、とてもスィートで鼻の裏がツンと来るものがありますが、でも、オヤジの懐メロになってしまっているような気もします。イマドキ学生は、こういう物語を自分事にできるのだろうか?と心配になりました。
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日本一を目指すということはこれほど過酷な練習を積み重ねていくことが必要なのか。
脈々と受け継がれてきた早稲田ラグビーの本流がまざまざと描かれており、レギュラーしか着ることのできない赤黒のユニフォームがいかに神聖なものか。
「意識」「緊張」「ベストの限界を知る」、早稲田のラグビーを奥深く知ることができる。 -
福島から上京した草野点は、早稲田大学ラグビー部の一員となった。チームに息づく精神、同期とのライバル関係…。日本一を目標に掲げる伝統のクラブでの日々を描いた武骨な青春小説。
ノンフィクションライターでJ-SPORTSのラグビー中継の解説を務める筆者による小説はまさに『無骨な青春小説』だった。スクラム(筆者はFBらしいけど)やタックルの描写、早慶・早明戦前の部内の緊張は、経験者でなければ書けないだろう。清宮克幸元監督による解説も素晴らしい。ちなみに作中よく登場する西武柳沢の札幌ラーメン店は私もよく通った経験があり、懐かしかった。
(A) -
あぁ、大さん
ほんとそれに尽きる -
作者の藤島大さんも早稲田大学ラグビー部OB、この作品では福島のツッパリ少年が、地元高校でラグビーと出会い、上京し早稲田へ。無骨な青春小説。
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80年代の早稲田大学ラグビー部。
フッカーとして入部した新入部員の熱い一年間。
レギュラーじゃなくても保たれる高いモラルは先輩からの指導の賜物。これが引き継がれていくのが伝統なんだろうな。
同期や先輩の描写がリアル‥登場する部員はモデルがいるんだろうな。 -
藤島大の青春小説『北風 小説 早稲田大学ラグビー部』を読みました。
廣瀬俊朗、生島淳の作品に続き、ラグビー関係の作品です… 藤島大の作品は6年半くらい前に読んた『楕円の流儀―日本ラグビーの苦難』以来なので久し振りですね。
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早稲田大学ラグビー蹴球部、創部100周年。
本書は、まさに早稲田ラグビー部の本流を当時の匂いまで再現している。──清宮克幸氏。
「ひとつしかできねぇ」不器用だが常に全力、そんな福島のツッパリ少年、草野点は高校でラグビーと出会う。
上京し早稲田大学に入学した彼は、日本一を目標に掲げる伝統のクラブの一員となった。
「グラウンドを一秒でも歩くな」それが早稲田。
技術、体力、精神力。目指すべき高みは遠い。
凄絶な練習の描写に、OBからレギュラー、補欠にも貫かれる早稲田ラグビーの本流が宿る。
武骨な青春小説。
(解説/清宮克幸)
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第10回ラグビーワールドカップ(RWC)2023フランス大会が開幕しました… ということで、蔵書の中からラグビー関係の書籍を選択しました、、、
早稲田大学ラグビー部出身のスポーツライター藤島大が、母校を舞台に描き、2018年に刊行された作品です
■第一章 春の北風
■第二章 俺、何?
■第三章 青いタオル
■第四章 グラウンドの無限
■解説 清宮克幸
福島から上京し早稲田大学ラグビー部の一員となった一年生・草野点(くさのともる)が体験する濃密な日々… レギュラーから控え選手まで貫かれる精神、同期とのひりつくライバル関係…… 愚直で武骨な青春小説。
レベルの違いはありますが… 私と同世代以上の学生ラグビー経験者が経験してきたことがリアルに描かれていました、、、
初めて履いたソールがブルーのスズキスポーツのスパイク、
唾液で磨く本革のボール、
ゴールデンウィーク、夏休み(夏合宿)を越えて、どんどん減っていく部員、
下級生を対象とした特訓(早稲田大学ではシボリ、私の母校ではハシリ)、
肘や膝、腿が擦過傷で化膿するセービング、
身体中の膿と腫れと痺れ、
へばって、へばって、もうひとつへばって、それでも足が自然に動き、ボールに飛びつき、とっさの判断を正確に行うことができるまでの理屈を超えた肉体の酷使
等々、無性に懐かしさを感じ、タイムスリップしたような感覚で読むことができました。
物語の体裁が取られていますが、ノンフィクションに近い物語… そういう面ではどっちつかずの感じで中途半端な印象、、、
リアルを追及しているが故にマニアック度合いが高く、エンターテイメント性もないので、ラグビー経験者意外には読み辛く共感が得にくい作品だと思いました… また、主人公の「点(ともる)」という名前の読み方にずっと違和感があり、個人的には感情移入し難かったですね。
学生ラグビーへの懐かしさ、自分の経験とシンクロする内容がなければ最後まで読めなかったかも。 -
まさに粗削りな小説です。そもそも本当に小説なのか?打ち立ての腰が強すぎるうどんを、粉も落とさず茹で上げた、そんな物語です。今の科学的なスポーツや部活の指導からは、想像もできないような練習の数々が紹介されていますが、その中に宿る魂は忘れてはいけない大事なものでした。何か大切なものを思い出させてくれる一冊でした。
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1970年代の最後のあたりから1980年代なかばの早稲田大学ラグビー蹴球部を舞台とした小説である。主人公は福島県出身のフッカー・草野点(くさの・ともる)。彼の大学一年生の一年間が描かれている。※「岡田次郎」という大学二年生のキャラクターが、早大学院(早稲田大学の付属高校)が昭和52年度に初めて花園出場した時に高校3年生という設定なので、時代背景としては「1979年」の要素が大きいか。
作者・藤島大は早稲田大学ラグビー部出身のスポーツライターで、卒業後はコーチを務めるなど長く早稲田大学ラグビー部に関わっているため、文章のあちこちから往時の「ワセダラグビーのリアル」が色濃く感じられる。もともと藤島大の書く記事も叙情的なスタイルであり、その文章に度々触れているせいか、フィクションであるこの小説の登場人物たちも実在するプレイヤーのように感じられるのがおもしろかった。
とりあえず今作だけでも完結はしているのだが、主人公・草野点の成長を読んでみたいなと感じさせられた。 -
風景がよみがえる。